近世（1590-1870）

1867

慶応3年(1867)丁卯

大久保忠礼

3.10　御厨領所領村・新柴村(小山町)が蒲原宿代助郷・原宿加助郷免除訴願につき小田原藩へ届け出る[小山2-58] 4.━　小田原藩,御宝塔用石材の土肥筋(湯河原町)での切り出し御用を拝命する 5.20　金子村(大井町)名主亀之輔が酒匂川の公儀普請について相談するため流域14か村の名主を招集する[大井2-182] 6.28　小田原藩,軍制改革への献金により中里村名主原源右衛門に苗字・袴着用,柳川村名主熊沢長右衛門・壗下村名主加藤与惣右衛門・金井島村名主瀬戸五郎左衛門に苗字,御厨領神山村名主源右衛門に脇差・袴着用,神山村名主六左衛門・駒形新宿名主兵右衛門に脇差,飯田岡村名主権左衛門・萱沼村名主弥源治・矢作村名主星崎字三郎に袴着用,福浦村名主露木浦右衛門・沼田村名主安藤為之助に倅一代脇差をそれぞれ許す[Ⅲ-278～285など] 〃　小田原藩,軍制改革への献金と宿相続方主段への尽力により大磯宿役人らを褒賞する[大磯2-234～236] 7.━　小田原藩,郡奉行の職掌分担(公事方・勧農方)を廃止する 9.6　大久保忠礼,甲府城代(役知2000石)を拝命する[Ⅰ-2]≪大久保忠礼,甲府城代就任≫ 9.16　小田原藩,用水開発(久野堰)の功績により池上村名主宮内太次兵衛に給米3俵・紋付上下を支給し,苗字・倅脇差袴着用を許し,沼田村名主安藤為之助に倅苗字・袴着用を許す 〃　小田原藩,用水開発などの功績により谷ケ村(山北町)名主武尾梅吉に苗字・袴着用,御厨領中山村(御殿場市)名主格名左衛門に袴着用を許す 〃　小田原藩,荒れ地開発の功績により今井村名主幸左衛門に給米1俵・脇差・袴着用,飯泉村名主両毛半右衛門に給米1俵・苗字,栢山村名主小沢弥六郎に給米1俵・袴着用・苗字・倅脇差,飯田岡村名主高橋権左衛門に給米1俵・苗字・倅脇差袴着用,鬼柳村又五郎に名主格・脇差,神山村(松田町)名主六左衛門に袴着用,大平台村(箱根町)名主庄右衛門に脇差・袴着用,萱沼村(松田町)名主安藤弥源治に紋付上下・苗字,金井島村(開成町)名主瀬戸五郎左衛門に倅一代脇差・袴着用をそれぞれ許す[Ⅲ-288～298など] 〃　小田原藩,久野村畑成田新堰(久野堰)開削の功績により塚原村(南足柄市)善吉に名主格・脇差を許す[南2-46] 9.━　曽屋村(秦野市)が小田原宿助郷役の軽減を藩に願い出る[秦3-245] 10.11　忠礼,甲府城代の役料として幕府より年2000両を追加支給される 10.16　小田原藩,武家伝奏飛鳥井雅典より上京を命じられる≪朝廷よりの藩主上京命令≫ 10.━　関本村(南足柄市)が田地有り合わせ請け戻し出入について内済への助力を藩に内願する[県5-254] 〃　御厨領6組合村むらが小田原宿当分助郷の免除を藩に願い出る[御2-18-26] 11.8　忠礼,甲府城代賄い米500俵の現地調達を幕府に願い出て許可される[Ⅰ-289] 11.━　中沼組合8か村が積み立て金200両を藩に預けて,利息を組合運営費にあてる[南2-165] 〃　米価高騰につき津久井県16か村が年貢上納の物成相場引き下げを藩に願い出,所相場での納入を許可される[県5-255] 12.16　小田原藩,荻野山中藩陣屋焼き討ちの浮浪者徘徊につき領内に厳重取り締まりを命じる[県5-131] 12.18　早川村が船橋11艘分の船役金500文を割り付けられる[県9-交334] 〃　忠礼,老中稲葉正邦より至急甲府赴任を命じられる 12.19　小田原藩大坂詰役人より藩主上京猶予を朝廷に願い出る[町誌上] 12.23　忠礼,小田原より甲府へ出発する[町誌上] 12.26　小田原藩,献金の功績により一丁田町町年寄格辻村甚八郎を宿老・人足肝煎座とし,倅秩作とともに御用達に任ずる[Ⅲ-301・302] 〃　藩主甲府出張のため領内村に高100石につき3両の夫役金が賦課される[大磯2-237] 〃　小田原藩大坂詰家老加藤直衛から藩主上京猶予を朝廷に再願する[町誌上] 12.27～28　小田原藩兵,矢倉沢往還沿いに浪士隊残党を追跡する 12.28　忠礼,甲府に到着する[Ⅰ-2] 〃　小田原藩,村内復興尽力・献金等を褒賞して中沼村(南足柄市)名主杉本田造の田地1反余の年貢を10年間免除する[南2-166] この年　領内35か村の煙草仲買が鑑札下付を藩の国産方役所に願い出る[県5-256]

1.━　大磯宿役人が宿方取り続きのため質素倹約を申し合わせる[大磯2-141] 2.━　御厨領印野村(御殿場市)の小前百姓が山稼ぎの際に物価引き下げ訴訟を話し合い,徒党がましき行動を村役人に咎められる[御2-14-41] 6.━　蓮正寺村小前一同が田地請け戻しの不正で入牢・手鎖処分を受けた者たちの赦免を願い出る[Ⅲ-286] 8.4　堀源治(省三)・小野毎太郎(恒鋼),藩命で福沢塾(慶應義塾)に入門し英学を学ぶ 8.━　矢倉沢往還の人馬継ぎ立てについて継ぎ立て場の神山村(松田町)と駄賃稼ぎの松田惣領村町屋とが争論となり,取り決めを結ぶ[Ⅲ-287] 9.━　御厨領阿多野新田(小山町)ほか6か村が宝永富士山噴火後の伊奈忠順の仁政を讃える御宮・顕彰碑建立について計画する[小山2-354] 10.28　筋違橋町餅屋七兵衛宅に御札が降る[Ⅲ-300]≪「ええじゃないか」の流行≫ 10.━　小田原藩が許可した大磯宿楊谷寺での歌舞伎興行を関東取締出役が見とがめる[大磯2-206] 11.1　中宿町に生人形,本町に藤棚ができ,太神楽・御輿・囃子が出る[Ⅲ-300] 11.8　山西村(二宮町)の薬師堂に小判型の光る石が投げ込まれる[県10-651] 11.17　小田原町に御富士様・八幡様の御札が降る[Ⅲ-300] 11.18　赤飯2俵・白米1俵が炊かれ小田原城下の漁師に配られる[町誌上] 11.20　馬入村(平塚市)で天照太神宮の御札が降る[平2-34] 12.16　荻野山中陣屋等を襲った浪人らの到来に備え,町中で荷物をまとめ,ある者は土蔵を塗り込める[町誌上] 12.18　今井村に浪人が逃げ込んだという噂が立つ[大井近代1-6] 12.27　関東取締出役広瀬障平が薩摩屋敷脱走者(浪士隊)の行方につき報告する[秦3-247] 12.30　島村又市宅より出火,小田原城下過半を焼失,浪人放火の噂が立つ[町誌上]≪小田原大火≫ 12.━　堀斎藤村(秦野市)と千村との境論で村役人が郷宿新宿町佐五兵衛・台宿町太吉方で内済する[秦3-248]

1.9　睦仁親王(16,明治天皇)が即位する 1.11　幕府の遣欧使節徳川昭武(15)が横浜を出航する 1.26　幕府,関東郡代を廃止し関東在方掛と改める 2.6　仏公使ロッシュ,大坂城で将軍慶喜に薩長の倒幕動向とイギリスとの結託を告げる 3.━　幕府,物価高騰のため関東に買い占め・売り惜しみの禁止と囲穀・余分米の販売促進を命じる 4.27　幕府,旗本の軍役人数を中止し,幕府領村に高100石につき3両の兵賦金上納を命じる[県10-533] 5.21　土佐藩の板垣退助・中岡慎太郎らと薩摩藩の西郷隆盛らが討幕を密約する 5.25　幕府,大番頭を廃止する(荻野山中藩主大久保教義ら解任) 6.29　幕府,外国事務・陸軍総裁・海軍総裁等を置く 〃　神奈川奉行,外国人遊歩区域内の見張番所34か所を撤廃する 6.━　坂本竜馬が大政奉還等を内容とする「船中八策」を土佐藩の後藤象二郎に示す 7.━～　三河で「ええじゃないか」が始まり,全国へ広がる 9.12　江戸～大坂間に蒸気飛脚船の運航がはじまる 9.13　幕府,五街道の人馬賃銭を5倍5割増,船渡賃を2倍増とし,無賃の御用人馬徴発を廃止する 10.3　元土佐藩主山内豊信(容堂),将軍慶喜に大政奉還を建言する 10.13～14　朝廷,長州藩・薩摩藩に討幕の密勅を出す 10.14　徳川慶喜が大政奉還を朝廷に上奏する 11.15　坂本竜馬(33)・中岡慎太郎(30)が京都で暗殺される 12.7　兵庫が開港し,大坂が開市される 12.9　朝廷,「王政復古の大号令」を宣言し,徳川慶喜に辞官・納地を要求する 12.15　荻野山中藩陣屋・烏山藩厚木役所が武力倒幕派の薩邸浪士隊(相州隊)によって焼き討ちされる[県10-657・658] 12.16　荻野山中藩,領内浪士鎮撫のため江戸城一橋御門警備免除を願い出る 12.17　韮山代官江川英武,浪士隊残党の探索を命じられる 12.23　江戸城二ノ丸が焼失する(薩邸浪士隊の放火) 12.25　浪士隊の拠点江戸薩摩藩邸が旧幕府軍に襲撃される 12.28　江川英武が浮浪人横行につき甲州境へ農兵を派遣する[秦3-247] 12.29　江川英武,大山に潜伏の浪士追討のため農兵を派遣する[県10-546]