近世（1590-1870）

1868

明治元年(1868)戊辰閏④

大久保忠礼 大久保忠良

1.15　大久保忠礼,甲府城代を解任され,領内・箱根関所等の警備増強を命じられる[Ⅰ-291] 1.17　小田原藩,小田原町に町方防備の準備や婦女子・老人の疎開等を命じる[県5-133] 1.21　小田原藩大坂詰役人,目録をもって征討将軍仁和寺宮に米300俵を献上する[Ⅰ-291] 2.9　伊豆国の所領4371石余が上知となり,駿河国駿東郡に替え地となる[Ⅰ-291] 2.12　小田原藩,領内に農兵の大隊編成(採用380名)を申し渡す[Ⅲ-303]≪農兵編成≫ 2.21　和田河原・吉田島両組合が農兵の対象・給金・稽古などについて申し合わせる[開1-7] 2.25～29　征討軍に徳川家存続嘆願のため上京途中の輪王寺宮が小田原で足止めされる[町誌上] 2.27　小田原藩家老加藤直衛,藤枝宿で征討軍へ勤王の誓詞を提出する 〃　小田原藩・荻野山中藩,総督府参謀より官軍通行時の馬継ぎ・兵粮提出を命じられる[Ⅰ-291] 2.28　小田原藩,駿府の総督府より箱根関所警衛を命じられる[Ⅰ-291] 2.━　領内三筋組合ごとの農兵不参人数を書き上げる[Ⅲ-305] 3.26　先鋒総督橋本実梁が小田原到着,本陣久保田甚四郎に宿泊する[町誌上] 〃　小田原藩,箱根・根府川・矢倉沢各関所通関につき先鋒総督府参謀より命令を受ける[Ⅰ-291] 4.11　駿府より江戸に向かう大総督有栖川宮が小田原に宿泊する[町誌上] 4.━　岩村(真鶴町)が石切業廃止につき漁場渡世許可を願い出る[真資-46] ④.9　小田原藩,駿府の大総督府参謀より遊撃隊の探索・追討を命じられる[Ⅰ-291] ④.11　林昌之助率いる遊撃隊200名余が真鶴に上陸し小田原藩へ挙兵を打診する[Ⅰ-291] 5.5～13　中津藩が箱根関所の警衛に加わる[Ⅰ-291] 5.6　豆相軍監中居範五郎らが小田原に到着,脇本陣島屋太郎兵衛(のち本陣久保田甚四郎)に宿泊する[Ⅲ-306] 〃軍監,城下の江戸口・上方口・井細田口に番兵を配置する[町誌上] 5.11　小田原藩,東海道総督府の命令により甲府へ警固援兵300名を派遣する[Ⅰ-291] 〃　金銀通用は太政官布達に従うよう小田原町年寄が各町に通達する[県5-134] 5.17　小田原藩,軍監の命令を受け箱根関所警固のため加番を派兵する[Ⅰ-292] 5.18　小田原藩,東海道総督府の命令により荻野山中へ援兵を派遣する(途中で中止)[Ⅰ-291] 5.20　小田原藩兵が遊撃隊先鋒と箱根関所で打ち合うが,のち休戦して遊撃隊を通関させる[Ⅰ-292,Ⅲ-306]≪箱根宿の戦い≫ 5.21　官軍兵吉井顕三らが山角町見付で小田原藩番士に殺害される[町誌上] 〃　増水で酒匂川が川留めのため軍監三雲為一郎らは小田原浦より漁船で逃走する[Ⅰ-291] 5.22　関一臈,江戸上屋敷で小田原の経緯・状況を年寄衆に説明する[町誌上] 5.23　江戸より急きょ帰国した中垣謙斎が小田原年寄衆へ勤王を説く[県5-135] 〃　藤沢の問罪使のもとに家老渡辺了叟らが弁明に赴く 〃　浄心院(忠修室・大久保忠愨母)・藩主後室が久野村総世寺へ避難する[Ⅲ-306] 5.24　大磯の問罪使のもとに年寄蜂屋重太夫らが赴く[Ⅲ-306] 5.25　大磯の問罪使のもとに家老岩瀬大江進・吉野大炊介が赴く 〃　忠礼,大工町本源寺へ立ち退き謹慎の意を表明する[Ⅲ-306] 〃　小田原町中へ新御蔵より玄米1000俵,郷中へ御蔵米3000俵が下賜される[Ⅲ-306] 5.26　入生田村山崎で小田原藩と遊撃隊の戦闘がはじまる[Ⅰ-292,Ⅲ-306]≪山崎の戦い≫ 〃　酒匂川口開きにつき官軍が小田原入りし,家中屋敷・城下に止宿する[Ⅲ-306] 5.27～28　小田原藩兵は遊撃隊を追って箱根山中・日金山で掃討戦を繰り広げる[Ⅰ-292,Ⅲ-306] 6.3　小田原領町郷一同が藩主大久保忠礼に対する寛大処置を鳥取藩下参謀河田左久間に嘆願する[Ⅲ-306] 6.6　家老渡辺了叟・吉野大炊介・年寄早川矢柄・御用人関小左衛門が江戸へ護送される[Ⅰ-291] 〃　日の丸を掲げた蒸気船により小田原藩の鉄砲・武器・道具類が江戸に運ばれる[町誌上] 6.7　小田原領内寺院一統が藩主忠礼に対する寛大処置を出張参謀に嘆願する[Ⅲ-306] 〃　官軍へ兵粮米等供出につき大磯宿年寄岩田慎右衛門ら6名が太政官より苗字・帯刀・羽織着用が許される[大磯2-241] 6.9～10　小田原へ出陣した官軍は津藩兵を残して江戸へ引き上げる[県5-135] 6.29　長州藩兵ら官軍が小田原城を接収する[大磯2-241] 7.2　小田原町郷が藩主忠礼に対する寛大処置を軍監安永又吉に再嘆願する[県5-135・138] 7.14　小田原藩,御用金献上につき御用達辻村秩作に藩主着用の小袖を下賜する[Ⅲ-308] 7.━　家中一同が津藩家老に藩主宥免の嘆願書を提出する[県5-139] 〃　小田原出張監察が寄場役人に村内取り締まり等を申し渡す[県10-566] 〃　小田原藩,米1000俵を郷中へ下賜する[大井近代1-8] 8.5　箱根湯本の三枚橋近辺に関門が新設され,通行人の取り調べがはじまる 8.━　領内神主一同が藩主宥免を出張軍監に願い出る[湯1-120] 9.27　忠礼,永蟄居となり,所領7万5000石に減封のうえ家名存続を許される[Ⅰ-2] 9.━　小田原出張監察が町郷へ取り締まり条目を申し触れる[県5-140,県10-584] 10.2　荻野山中藩主大久保忠義長男岩丸(11),大久保忠礼の養子となり宗家を相続し,小田原藩主となる[Ⅰ-291] 10.8　大久保岩丸,忠良と改名する[Ⅰ-2] 〃　東京行幸中の明治天皇が本陣清水金左衛門に宿泊する 10.14　小田原城が大久保家に引き渡され,豆相監察が小田原を引き払う[県10-585] 12.6　忠良,小田原へ初入部する[Ⅰ-2] 12.9　明治天皇,京都に還幸の途中,小田原に宿泊する[町誌上]

1.15　松原明神の祭礼を中止する[町誌上] 1.16　下田沖に薩摩藩軍艦18艘出現という噂が小田原に広まり市中混乱する[県10-659] 2.━　御厨領下和田村(裾野市)の農兵落札人が杉名沢村に買い上げ人を頼む[裾3-371] 4.━　吉浜・鍛冶屋村(湯河原町)が「こうじ山かんか沢」での苅敷入会について岩村(真鶴町)を藩に訴え出る[真資-110] 4.━　山田村(大井町)と金子村との秣場出入が近隣4か村の仲裁により内済する[大井2-216] 〃　外国人の熱海湯治許可につき不法なきよう大総督府より根府川・吉浜・門川3か村へ通達がある[伊叢3] 5.19　遊撃隊先鋒が箱根宿を占拠する[Ⅲ-306] 〃　大風雨で酒匂川が増水する[Ⅲ-307] 5.20　遊撃隊先鋒,箱根宿に放火する[町誌上] 5.21　朝,遊撃隊先鋒が権現坂で軍監中井範五郎らを殺害する[Ⅰ-291] 〃　遊撃隊148名が小田原城下に入り,本陣・脇本陣・旅籠屋に分宿する 〃　軍艦で下田に到着した慶喜が脱走隊3000名を率いて2,3日中に小田原へ到着するという噂が流れる[Ⅲ-306] 5.22　城下町人が荷物をまとめ近隣村の縁者方に避難をはじめる[Ⅲ-306] 〃　遊撃隊人見勝太郎は宮前町米屋三右衛門方に止宿する[町誌上] 5.24　午後,遊撃隊が小田原を出て湯本(箱根町)福住九蔵方等に引き移る[Ⅲ-306] 5.25　遊撃隊は三枚橋・湯本茶屋・畑宿・箱根新谷に分散止宿し,湯本の米屋門右衛門を本陣とする[町誌上] 5.26　敗走する遊撃隊が湯本茶屋の民家を焼く[町誌上] 5.27　遊撃隊,箱根新谷に放火する[町誌上] 5.28　林昌之助ら遊撃隊残党は熱海より船にて逃走する[Ⅰ-291] 5.29頃　官軍が小田原城下・近隣村で暴虐無尽な振る舞いをする[町誌上] 6.10　藩主宥免を願う遺書を残して家老岩瀬大江進が切腹する[Ⅰ-291] 6.28　報徳方として小田原仕法の推進役であった山崎金五右衛門が死去し,誓願寺に葬られる[金石2-30] 8.━　中沼組合村が極貧者・村外奉公人等を取り調べる[南2-181] 9.28　福泉村(南足柄市)紋蔵が官軍菩提所となっている竹花町法援寺へ線香を永代寄進し,線香製造公認を願う[南3-234] 10.10　家老渡辺了叟が江戸上屋敷で切腹し,吉野・早川・関の3人は国元で謹慎となる[Ⅰ-291] 10.━　明治天皇行幸につき蓮正寺・中沼組合村むらが孝子・義僕・出精人・奇特人・70歳以上の者を書き上げる[Ⅲ-309] 11.18　松原明神が正月に中止した祭礼を行う[町誌上] 12.17　上大井村(大井町)三島明神別当円泉坊が神仏分離令にともない最明寺からの離檀を願い出る[大井1-205]

1.3　鳥羽・伏見の戦い(戊辰戦争がはじまる) 1.8　徳川慶喜,大坂を出帆し江戸へ向かう 1.10　新政府,慶喜らの官位を奪い,旧幕府領を直轄とする 1.25　英・米・仏・伊・蘭・プロシアの6か国が局外中立を宣言する 1.29　新政府,京坂の豪商に300万両の献金を命じる 2.3　新政府,徳川慶喜親征の詔を発する 2.9　有栖川宮熾仁親王が東征大総督となり,東海・東山・北陸3道への征討軍を指揮する 2.12　慶喜,寛永寺に謹慎し恭順の意を表する 2.20　新政府,洋銀1枚=金3分での貨幣通用を許可する 2.23　新政府,京都で「大政官日誌」を創刊する 3.6　幕府,横須賀製鉄所の建設を中止する 3.14　明治天皇が「5か条の誓文」を発布する 3.15　新政府,「五榜の掲示」を発し,徒党・強訴・キリスト教などを禁ずる 3.19　新政府,横浜裁判所を設置,東久世通禧を総督とする 3.28　新政府,神仏分離令を発令する 4.11　新政府軍,江戸城に無血入城し,慶喜は水戸に退去する 〃　徳川慶喜,水戸に退隠する 4.22　横浜裁判所が神奈川裁判所と改称する 4.━　最初の海外移民として,ハワイへの移民143名が横浜から出航する 4.3　林昌之助に率いられた遊撃隊が請西藩陣屋を出立する 4.15　遊撃隊,韮山に到着する 4.21　新政府,7官両局の新官制に改める 4.27　新政府,三権分立の「政体書」を発表する 5.1　遊撃隊,黒駒村(山梨県御坂町)から甲府へ向け出発するが,山岡鉄舟らの説得で引き返す 5.3　奥羽25藩が同盟を決議し,のち奥羽越列藩同盟に発展する 5.5　遊撃隊,香貫村(沼津市)の霊山寺に駐屯する 5.15　江戸上野に立て籠もっていた彰義隊が新政府軍と戦う(上野戦争) 〃　新政府,太政官札を発行する 5.22　新政府,横須賀製鉄所を接収する 5.24　徳川宗家を相続した徳川家達が駿府藩(のち静岡藩)70万石に封じられる 6.17　神奈川裁判所が神奈川府と改称,東久世通禧が知事となる 6.29　韮山県成立,江川英武が知事となる 7.17　江戸を東京と改称する 8.19　榎本武揚ら,艦船8隻で品川から脱走する 8.23～9.22　新政府軍が会津若松城を包囲する(会津戦争) 8.27　明治天皇の即位式が行われる 9.8　明治と改元,一世一元の制が定められる 9.20～　明治天皇が東幸する 9.21　神奈川府を廃止し,神奈川県を設置,寺島宗則が県知事となる 10.2　新政府,箱根関所の警衛担当を小田原藩に命じる 10.25　榎本武揚らが箱館五稜郭を占領する 10.28　新政府,藩治職制を公布する 11.19　東京が開市され,築地に外国人居留地が設けられる 〃　新潟が開港する 12.10　諸国川々国役金・普請が廃止される