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小田原の自然

表紙 コアジサシ
小田原の河原で夏に営巣します。

扉 アサギマダラ
1000㎞以上もの旅をして日本にもやってきます。

小田原の自然

「小田原の自然」刊行によせて

 皆さんが暮らすこの小田原は、箱根に連なる緑の山々に囲まれ、南部は恵み豊かな相模湾に面し、中央部を南北に酒匂川が流れ、肥沃な足柄平野の大地が広がっています。
 山、森、川、田園、海など、あらゆる自然環境を備えており、温暖な気候と豊かな自然が生み出す大地の恵みが私たちの生活を支えています。
 小田原の歴史や文化は、こうした自然を礎に長い年月にわたり築かれ、中世には小田原城を中心とする関東最大の城下町、また近世には東海道屈指の宿場町として繁栄しました。現在は、神奈川県西部の中心都市として発展し、様々な役割を果たしています。
 小田原市がめざす「持続可能な地域社会モデル」の中に、「いのちを支える豊かな自然環境がある」「自然と共存し人々と手を携えていく意識と力を持つ人間が育っている」とあります。豊かな自然や環境を保全、充実していく取組を進め、みなさんとともに、これまで先人たちが残してくれた自然を次世代に引き継いでいくことは、「世界が憧れるまち“小田原”」の実現にもつながると考えています。
 児童・生徒の皆さんが、この本をきっかけに、一つでも多くの小田原の自然を知り、触れることで、共に暮らす喜びを感じていただくことを期待するとともに、豊かな自然を守り育てる、希望と活力あふれる市民の一人として、健やかに大きく成長していくことを願っています。

令和3年3月
小田原市長 守屋 輝彦

 豊かな自然は、私たちの命と生活を支えています。私たちのまち小田原は、その豊かな自然から多くの恩恵を受けながら歴史を刻んできました。
 小石1つから地形の成り立ちが見えます。動物や植物の生態から環境の状態がわかります。年ごとに地域の自然を観察すると、生態の変化に気づくことができます。自然は私たちに癒しを与え、生きることの素晴らしさとともに厳しさを教えてくれます。ゆっくりと長い年月をかけて変化し、時には激しい姿を見せることもあります。
 近年、全国各地で自然災害が頻発し、これまでの想定を超えた被害や日常生活への影響を与えています。このような地球規模の気候変動に対しても、私たち一人ひとりが自然への関心や理解を深め、身近にある自然から学び、これからの環境のあり方を考えていくことが大切です。
 小田原市小中学校理科副読本『小田原の自然』は、平成9年に発刊され、多くの小・中学生に活用されてきました。その後も小田原の自然環境の変化を反映させながら、改訂を行っています。ぜひ、この本を手に、小田原の自然に触れ、自然の素晴らしさを感じるきっかけにしてほしいと願っています。
 最後になりましたが、副読本作成にあたり、ご尽力・ご指導いただいた先生方に、心から御礼申し上げます。

令和3年3月
小田原市教育委員会教育長 栁下 正祐

はじめに

 自然は、いつも当たり前のように私たちを取り囲み、何気なく変化を( ) り返していて、よほど注意深く観察していなければ、その素晴らしさや美しさに気がつかないものです。
 野山や荒れ地に、ひっそり( ) いている花をよく見ると、庭に咲いている花以上に美しいことがわかり、「ああ、この草花たちも確かに生きているんだ。」と共感できます。また、今までは「( こわ ) い」「( きたな ) い」「( あぶ ) ない」と思っていた虫たちや生き物たちが、精一杯命の営みを重ねていることに気づき、私たちと同じ命を持っているのだということを考えさせられたりします。
 私たちの回りでは、いろいろな生き物が、生まれ、育ち、そして死んでいっています。生きるために、他の生き物の命をうばい、子孫を残すための一見( みにく ) い争いをくりひろげています。しかし、よく観察すると調和のとれた、自然の大きなしくみをとらえることができますし、切通しや川で( けず ) られた( がけ ) などを良く見ると、土地を造っているものの色や形、含まれているものの性質の違いから、その土地の過去の成り立ちを読み取ることができます。
 けれども、よい案内者なしでは見過ごしがちな身近な自然をより深く観察し研究することはなかなか難しいものです。
 そこで、小田原の身近な自然を観察し、研究できるようにするために、理科の副読本として、ガイドブックを作成しましたが、今回の改訂により、さらなる活用の充実をめざし、題名を小田原市小・中学校理科副読本としました。
 理科の学習時はもとより、課外学習や自分自身の学習等、生涯にわたってこの本を活用し、身近な自然に対する理解を深め、自然を深く観察する力や科学的に考える力を身に付けてほしいと思っています。しかし、それ以上に私たちを取り囲んでいる自然の中の、多様な生命の( いとな ) みを知り、それを尊重( そんちょう ) し、愛護( あいご ) しようとする優しい心を育てていってほしいと思っています。

この本の使い方

 小田原には海があれば、川もあり、山や平野もあって、色々な自然環境に恵まれています。そして、それぞれの自然環境の中で色々な動植物が生命の( いとな ) みを( ) り広げ、命の( かがや ) きを見せてくれています。また、あちこちで見られる地面や崖などの地層や化石が、小田原の地形の成り立ちを語りかけてくれています。
 この本は、そんな豊かな小田原の自然を観察したり、調べたりして自然にふれ、親しむための案内書です。
 小田原の自然環境を、海岸・河原・平地・丘陵・山地の5つに分け、どこに行けばどんな動植物が観察できるか分かるように、写真やイラストを中心にして説明してあります。
 例えば、山に行って自然観察をしようとしたら、まず、観察ポイントをどこにするのか山地のガイドマップで調べてください。代表的な観察地点のコースを説明してあります。また、そこには現地に行くまでに利用できるバス停や駅名などが書いてありますので参考にしてください。注意事項も参考にしてください。
 次に山の花を見たい人は植物のページを、山の虫を見たい人は虫のページを見てください。小田原の山で見られる主な物が分かります。鳥やその他の生き物についても同様です。
 海岸や河原では水中の生き物についても( あつか ) っています。地質については、小田原全体をまとめて説明しました。
 現地で観察するときも使えるように、持ち運びができるようにしましたので、必ず、持っていって活用してください。
 本書で紹介した18の観察コースに足を運び、小田原の豊かな自然とたっぷりふれあってください。
 自然は本当に多様で( なぞ ) の多い世界です。この本にのせたものはその中でよく目につくもののほんの一部です。より深く、より広く調べてみたい人は、他の専門書を見たり、観察会に参加したりしてください。きっと素晴らしい小田原の自然を発見できるでしょう。

小田原の自然のあらまし

(1)地形と自然

 小田原の地形は大きく分けると、西側の山地、中央の低地、東側の丘陵の三つに分けることができます。
 西側の山地は箱根外輪山の一部である明星( みょうじょう ) ( ) ( たけ ) (924m)、白銀( しろがね ) 山(993m)、( ひじり ) ( たけ ) (838m)の斜面です。ここは主にミカン畑やスギ・ヒノキの植林地として使われていますが、上部に自然林や草原が残っていて自然の観察ができる所があります。白銀山、聖岳の斜面は相模湾と断崖 ( だんがい ) となって接し、磯浜となっていて海の生き物のよい観察場所となっています。
 中央の低地は丹沢山地や富士山の麓を水源として流れる酒匂川によって造られた足柄平野です。ここはほとんどが水田や住宅地として利用されていて自然の少ないところですが、空き地や休耕田などには野草が花開き、虫や鳥が生きていますし、人間との関わりの深い生き物が活動しています。足柄平野は砂浜となって海に接しています。中央を流れる酒匂川の河原や河口は、豊かできれいな水に恵まれたよい自然の観察場所となっています。
 東側の丘陵は国府津から曽我山に続く200m内外の小高い丘でできています。ここは主にミカン畑や梅林として利用されていていますが、自然観察のできる場所もまだたくさん残っています。

小田原市の地形と自然

(2)気候と自然

 箱根外輪山の一部を成す高さ700m以上の山地を除いた小田原地 方の気候を一言で言えば、暖かく雨の多い気候と言えます。それは、小田原が中( ) 度に位置していることと同時に、背後に山をひかえ、南に黒潮( くろしお ) の流れる相模の海に( のぞ ) んでいるからです。
 年平均気温は16度前後で、12月から2月までの気温でも0度を下回ることは余りありません。また、太平洋岸気候に位置しているので、冬は晴れる日が多く雨は少ないのですが、それでも平均50ミリ以上の雨に恵まれていて、年間の総雨量は2000ミリを( ゆう ) ( ) えています。
 このような気候によって、小田原地方の平地や丘陵は暖帯性の草木が( しげ ) り、それを基盤( きばん ) にしたたくさんの生き物が生息していただろうと考えられます。けれども現在は人間生活のために開発されてしまって、自然はほとんど残っていない状況です。しかし、寺社林や( ほこら ) の周辺に自然林のおもかげが残っていますし、保存地区には貴重な自然の森も残されています。海岸には海浜植物が多く生育していますし、水田や畑・住宅地の空き地などでは、色々な生き物が生活しています。
 700m以上の山地には植林地の合間に温帯林の一部が残り、落葉樹を中心とした豊かな自然があります。

小田原の気温と降水量

自然観察のしかた

自然観察のしかた

 自然観察をするには、自分の決めたコースをできるだけゆっくりと歩いてみることが大切です。本書で紹介したコ-スは、2kmから5kmくらいの距離ですから急いで歩けば1~2時間で歩けますが、自然観察をしながら行くと3~4時間はかかります。よく観察するためにはそれ以上時間がかかるかも知れません。
 目、耳、鼻などの五感を働かせ、じっくり観察してください。きっと色々な動植物に出会うことでしょう。それが何なのか知りたいときはこの本を使ってください。その時に動植物がどんな環境に育ち、生活しているのかをまわりの自然と関係づけてみることも大切です。
 ある季節に色々な環境の自然を観察して見ることもいいですし、一定の地域を一年間かけて観察することもおもしろいものです。観察したことや研究したことはまとめておくと理科の学習の参考になったり、市の科学展に出品したりすることができるかもしれません。

自然観察上の注意

1.計画は家の人に必ず知らせておきましょう。特に帰着予定時刻は必ず知らせておきましょう。
2.草や木の多いところではトゲのある草木もありますので、長袖のシャツや長ズボンを着るようにしましょう。
3.海や川で水生生物を観察するときには、( すべ ) らない( ) き物が必要です。
4.夏は危険な動物もいるので、深い( やぶ ) には一人では入らないようにしましょう。
5.雨具や帽子は必ず持っていくようにしましょう。
6.動植物の採集はできるだけしないで、スケッチをしたり、写真に写したりしておきましょう。
7.直接手で触ると危険なこともあるので注意しましょう。
8.自然を大切にすることからも、ゴミは持ち帰りましょう。
9.ル-ペや虫メガネ・双眼鏡などがあると、もう一つ違った自然を観察することができ、便利です。

服装や持ち物

長そでのシャツ長ズボン帽子( ぼうし ) を用意してください。
○ 両手を開けるために、リュックサックが便利です。雨具タオルは必ず入れておきましょう。
○ すべらないくつも大切です
服装や持ち物
虫めがね双眼鏡・採集物を入れるビニール袋は、あれば役に立ちます。
ノートえんぴつそしてこの「小田原の自然」を忘れずに!
交通費弁当水とうはコースを考えて用意してください。

観察ポイントとコース

観察コースガイドpicture_as_pdf

小田原の自然観察ノート No.1picture_as_pdf

海岸の自然観察

砂浜の自然観察ガイド

山王海岸

 酒匂川の流れによってつくられた足柄平野は、長い砂浜の海岸線で相模湾と接しています。そこには厳しい環境に耐え、いろいろな生き物がいます。さあ、砂浜をじっくり観察しましょう。

砂浜の自然観察ガイド

砂浜の自然観察ガイドマップ

 酒匂川の河口を中心に東側は酒匂海岸、西側は山王海岸から御幸の浜の海岸です。その中でも、山王海岸は砂浜の自然が豊かです。

砂浜の自然観察ガイドマップ
行き方 JR小田原駅から『国府津方面行き』バスに乗車、「小田原東高校前」下車
帰り方 バス停「東町交番前」で小田原駅行に乗車
注意  飲み水が必要です。波に注意してください。

砂浜の生き物

 神奈川県の海岸線の大部分を占めるのが砂浜海岸で、昔から「白砂青松」と言われて人々に親しまれてきました。砂浜には、深い穴を掘ってスナガニの仲間が生活しています。
 夜行性のスナガニは日が暮れると穴からはい出し、打ち上げられた海藻や動物質などを食べて生活していますが、冬になると冬眠して、翌春また活動します。

ツノメガニの死滅回遊( しめつかいゆう )

 ( まれ ) にツノメガニの子どもがみつかります。ツノメガニは沖縄( おきなわ ) などの熱帯地方を生息地とする大型のスナガニの仲間で、子どもの時にプランクトン生活をして黒潮の流れに乗って本州沿岸までやって来るのです。水温の高い夏から秋にかけて成長しますが、冬になると凍死してしまうようです。毎年この現象が見られるので「死滅 ( しめつ ) 回遊」といいますが、もし日本の気温や水温が上昇するとツノメガニも定住できるようになるのでしょう。生物はこのように大きな犠牲( ぎせい ) をはらって、いつも生息域( せいそくいき ) を広げようとしているのです。

沖縄のツノメガニ

スナガニ(甲長2cm)
オスのハサミには発音装置があって鳴きます。

ミナミスナガニ
前種より南方系だが、酒匂では本種の方が多いようです。

砂浜の植物

 光、水、温度、塩分など( きび ) しい環境条件の中で生活しています。内陸( ないりく ) に入るにしたがい、それぞれ環境に適した植物が生育し、森林 へとつながっていきます。海岸付近に生育する植物は、葉が厚くつやのあるものが多いです。

ハマヒルガオ(5月)
地中に白く長い地下茎をのばし、群落( ぐんらく ) をつくります。初夏に咲く桃色の花は、アサガオに似て美しいものです。

ハマボウフウ(5月)
小田原では、絶滅( ぜつめつ ) に近い植物です。
砂の中にうずまって生えています。
葉はさしみのつまとして利用されます。

ツルナ(5月)
緑の葉の表面が銀色に光るのは、表面に小さな丸い水を含んだ細胞がぎっしり並んでいるからです。
おひたしとして利用します。

ケカモノハシ(5月)
砂浜に群生( ぐんせい ) しておりはなれ小島のように点々と群落( ぐんらく ) が続くのが 見られます。名前は、穂が( かも ) のくちばしに似ているからです。

コバンソウ(6月)

オオフタバムグラ(7月)

 上の2種は、最近多く見られるようになった帰化( きか ) 植物です。かつては、湘南海岸に見られたものが、しだいに西に分布を広げてきました。

コウボウムギ(5月)
砂浜に群落をつくり、砂の移動( いどう ) をおさえるはたらきをします。砂が安定すると他の植物が進出します。名は弘法( こうぼう ) 麦の意味で、実は麦に似ています。

磯の自然観察ガイド

( ) 浦海岸

 早川から根府川や江( ) 浦にかけての海岸は、岩が波で( けず ) られてできた磯浜( いそはま ) です。ここでは、磯特有な植物や生き物が観察できます。
 潮だまりを中心にゆっくり自然観察をしましょう。

磯の自然観察ガイド

磯の自然観察ガイドマップ

 この観察コースは、交通機関を利用するコースです。車道も歩かなければなりません。けれども、目的地江( ) 浦に着くと、やさしい潮風( しおかぜ ) ( むか ) えてくれますし、楽しい磯の観察が楽しめます。

磯の自然観察ガイドマップ
行き方 JR「根府川駅」下車。真鶴有料道路で真鶴方面行きバスに乗車し、バス停「江( ) 浦港」下車(帰りも同様)
注意  ・すべらないくつ・帽子・手袋などが必要です。
・大波や上げ潮などに十分気をつけましょう。
・一人では行かないようにしましょう。

磯の観察【道具・注意点】2021

磯の生き物

 暖流( だんりゅう ) である黒潮( くろしお ) の支流が流入する相模湾は、南方系の魚なども多く見られます。特に夏季になって水温が上昇するとその数が増すことはよく知られています。
 一方、相模湾の深い所では親潮( おやしお ) 系の冷水が流入しているので、北方系の生物も生息しています。
 さらに相模川・早川や酒匂川などの河川からも丹沢・富士山麓・箱根の森林由来の栄養塩類( えいようえんるい ) が運ばれてくるので、相模湾は多種多様な生物が生活できる環境となっているのです。
 小田原地方の夏涼しく、冬暖かいという温暖な気候は相模湾の表層を流れる暖かい海水のおかげなのです。小田原を代表するウメやミカンなどの農産物も相模湾がもたらした産物ともいえます。

磯の観察【磯の生き物】2021

海岸線の区分

 海と陸の接する海岸線は、おおよそ砂浜、泥浜、岩礁( がんしょう ) 転石帯( てんせきたい ) に区分されます。相模湾の海岸線は砂浜が多く、早川から江の浦を経て真鶴半島までは貴重な岩礁海岸( がんしょうかいがん ) です。根府川には波で動きやすい丸石の転石海岸が見られますが、泥浜は三浦半島でしか見られません。岩礁海岸は磯とも呼ばれ生物相の大変豊富な区域で、右図のように潮位( ちょうい ) で区分されています。海岸は満潮と干潮で水位が変化するのです。
 私たちが磯の生物を観察するには干潮時に潮間帯( ちょうかんたい ) に行くのが良い方法です。この本では主に潮間帯内で見られる生物を紹介します。

岩礁海岸の垂直区分

動物プランクトンの代表種
カイアシ類の仲間は一生を浮遊( ふゆう ) 生活して( すご ) します。

植物プランクトンの代表種
ケイソウの仲間は光合成をし食物連鎖( しょくもつれんさ ) の土台を成しています。

プランクトンの重要性食物連鎖( しょくもつれんさ )

 植物プランクトンを動物プランクトンが食べ、その動物プランクトンがイワシなどの小魚に食べられる。小魚は大魚に食べられるという関係を「食物連鎖」と呼んでいます。暖流( だんりゅう ) 寒流( かんりゅう ) ( ) ざり、河川の水が流入する相模湾はプランクトンの発生にも大変適しているのです。そのために昔から良い漁場として栄えてきたのです。
 食物連鎖のつりあいが( こわ ) れて、ある種のプランクトンだけが異常に大発生することもあります。原因は水質が何らかの影響で変化するからでしょう。赤潮はこうして起こります。

春から夏に時々発生する夜光虫による赤潮。たいへん目立つが、害は少ない。

ヤコウチュウ(直径1mm)
渦鞭毛藻( うずべんもうそう ) のなかまで、刺激( しげき ) をあたえると青白く発光します。

ダイダイイソカイメン
スポンジ状で岩に付着し、プランクトンを食べる動物です。

クロイソカイメン
名前のとおり黒色で、夏に体内に黄色の卵が見つかります。

ザラカイメン
少し深い所に生息していて、海が荒れると打ち上げられます。

ヨロイイソギンチャク
体表に砂粒や貝殻片( かいがらへん ) をつけて、カモフラ-ジュしています。

ヒメイソギンチャク
転石の裏側などに付着している小型のかわいい種類です。

ミドリイソギンチャク
体側( たいそく ) が緑色の粒で( おお ) われていて、大きな潮だまりにいます。

ツノヒラムシ
原始的な動物で、消化管は行き止まりで肛門( こうもん ) がありません。

ミドリヒモムシ
紐形( ひもがた ) 動物というグループで、体長は50㎝にもなります。

ヤッコカンザシゴカイ
岩に付着した石灰質の管状の住家を作り、中に住んでいます。

ウズマキゴカイ
小さなゴカイで、潮間帯( ちょうかんたい ) の転石に多数付着しています。

ヒザラガイ
8枚の貝殻を持つ。満潮になると活動し付着藻類( ふちゃくそうるい ) を食べます。

ニシキヒザラガイ
いつも海中で生活しています。肉帯と貝殻がすべすべで美しい。

ヒメケハダヒザラガイ
肉帯に剛毛( ごうもう ) ( たば ) が並んでいます。住家は、転石の裏側です。

ウスヒザラガイ
転石の裏側で生活する小型種で、貝殻の模様に変異が多いです。

タマキビ類の生活

 小型の巻貝のタマキビ類は相模湾にもたくさんいます。アラレタマキビは潮上帯にいて、ほとんど海水には浸りません。イボタマキビは当地方では数が少ないようです。タマキビ類は空気呼吸するので水中に落とすとあわてるようにして( ) い上がってきます。

タマキビ類
上段 3個 タマキビ
下段右3個 アラレタマキビ
下段左2個 イボタマキビ

アラレタマキビの知恵

 海水の届かない高所に生活するアラレタマキビは夏の炎暑時に右図のように貝殻のへりの一部だけで岩に付着します。こうすることによって、高温の岩からなるべく体を離し、体温を維持しているのでしょう。夏の酷暑 ( こくしょ ) 時には特に多くこの現象が見られます。

炎暑を避けるアラレタマキビ
岩の表面温度は50℃にもなってしまいます。

イソニナ
磯の転石の下に多い巻き貝です。

イボニシ
肉食性の貝で、イワフジツボ等に穴をあけ食べてしまいます。

ヨメガガサ
岩礁( がんしょう ) に最も普通の( かさ ) 貝。名前は「( よめ ) の笠」の意味です。

ウノアシ
殻の模様が水鳥の( ) の水かきを持った足のようです。

キクノハナガイ
( から ) の白いすじが菊の花弁のようで、潮上帯で生活しています。

カラマツガイとその卵塊
潮が引き空気中に出ると活動します。ゼリー状のものは卵塊( らんかい )

カリガネエガイ
岩礁( がんしょう ) に二枚貝は少ない。本種は岩の隙間( すきま ) ( もぐ ) り込んでいます。

ムラサキイガイ
定置網やブイに足糸( そくし ) で付着し、害をなす漁業の厄介( やっかい ) 者です。

岸壁( がんぺき ) のカキ
カキの仲間はマガキ、イワガキ、ケガキなどが見られます。

アコヤガイ
真珠貝とも呼ばれる二枚貝で、足糸で岩に付着しています。

ヤマトウミウシ
ウミウシ類が少なくなった最近でも比較的多く見つかります。

オトメウミウシ
小型の種類で、海藻の付いている石の上にいます

( ) 浦海岸は磯の生物の宝庫

 江( ) 浦港の磯で、片浦中学校の生徒が生物調査をしました(平成7年)。
1㎡内の生物をすべてカウントする方法で調べましたが、なんと36種類もの生物が確認されました。磯は ( せま ) い場所にこれ程多くの生物が生活しているのです。江( ) 浦の磯全体では、一体どれほどの種類と数の生物が住んでいるのでしょう。

調査の様子

 アメフラシの仲間は雌雄( しゆう ) 同体で全ての個体が産卵します。ゼリー質の( ひも ) の中に小さな卵が入っていて、卵塊( らんかい ) 1個には数万粒もの卵が入っていました。
 卵がふ化すると子供(幼生( ようせい ) という)はプランクトン生活をして成長するのです。
 卵の数が多くないと海の生物は種を維持( いじ ) できないのです。

アメフラシの卵塊
早春の磯に産みつけられ、ウミソウメンとも呼ばれます。

アメフラシ
草食性で、海藻類を食べ、外敵に会うと紫色の液を出します

ウミフクロウ
小肉食性でイソギンチャクなど も食べてしまいます。

ミスガイ
貝殻の模様から「御簾( みす ) 貝」。殻を持っているウミウシの仲間。

イソアワモチ
背眼類( はいがんるい ) という仲間で、背の突起のほとんどに目があります。

ムラサキウニ
岩礁( がんしょう ) に普通のウニで、産卵期は夏。卵巣は食用になります。

バフンウニ
転石の下などに普通の小型のウニで、産卵期は冬です

イトマキヒトデ
5本腕の頑丈( がんじょう ) なヒトデ。胃を出して餌を包み込んで食べます。

ヤツデヒトデ
8本の腕を自分から自切( じせつ ) して2匹になることもできます。

ニッポンクモヒトデ
石の下の砂に( もぐ ) って、細い腕を砂の上に出しています。

マナマコ
磯の掃除( そうじ ) 屋で、( どろ ) を飲み込み、中の有機物を消化し吸収します。

ムラサキクルマナマコ
転石の下に数匹で寄り( ) うよ うに集まって生活しています。

ムラサキクルマナマコの骨片( こっぺん ) (×100倍)
ナマコ類の皮膚の中には顕微鏡で見ると骨片(小さな骨)があります。

フナムシ
磯の掃除( そうじ ) 屋。打ち上げられた海藻や動物の死骸( しがい ) 等を食べます。

マルエラワレカラ
ホンダワラなどの海藻にしがみついて生活しています。

岩礁( がんしょう ) 転石地帯の生物の生息状況

 江( ) 浦の海岸は石が重なりあっているので、表層部だけでなく、石の裏側やその下の砂の中も生物の住家となっています。まるで高層住宅のような立体構造が多くの種類と数の生きものを生活させているのです。
 石をひっくり返して、裏を観察した時は、石を元のとおりにもどしておきましょう。

クロフジツボ
潮間帯の上部に集団で付着し、波が来たとき( えさ ) ( ) らえます。

フジツボの殻の比較
左はクロフジツボ、右はアカフジツボの( から ) の断面です。

厳しい環境で生きるクロフジツボのからだの仕組み

 この仲間は岩に固く付着( ふちゃく ) していて、一度着いたら一生そこを動けません。磯で生活するクロフジツボは満潮の時にプランクトンを( ) らえて食べ、干潮のときは空気中に( さら ) されています。夏の炎天下と冬の厳寒( げんかん ) から身を守るための工夫が、この多孔質( たこうしつ ) の空気の層を持った殻の断熱効果なのです。
 一方アカフジツボは定置網のロープなどに着いていてほとんど海水中で生活しています。相模湾の海水温は冬の寒いときでも12℃程、夏の暑いときでも25℃程です。多孔質( たこうしつ ) の厚い空気の( そう ) を持った殻の構造が、厳しい磯という環境での生活を可能にしているのです。

アカフジツボ
沖の定置網等に付着して生活。磯には死殻( しにがら ) が打ち上げられます。

カメノテ
岩の割れ目に付着しています。フジツボと同じ仲間です。

ホンヤドカリ
磯に最も普通の小型のヤドカリで、足先の白色が目印です。

ケアシホンヤドカリ
足に毛が多く、触角( しょっかく ) 朱色( しゅいろ ) で右のはさみが大きい種類です。

イソヨコバサミ
はさみは左右同大で触角は青緑色。足先の黄色が目立ちます。

ケブカヒメヨコバサミ
足ヨコバサミの仲間は、はさみが左右同大です。

イソカニダマシ
カニの形をしているが、ヤドカリの仲間です。

オオアカハラ
カニダマシの仲間で、体長が3cmもある大型種です。

イソガニ
磯によく見られ、黄緑色と濃青紫のだんだら模様( もよう ) が特徴です

ヒライソガニ
転石の下の砂の中で生活し、甲の色は茶、白など多彩( たさい ) です。

イワガニ
岩のすき間で生活し、水の外で( えさ ) を食べていることが多い。

アカイソガニ
転石海岸のごろた石(丸い石)のすき間で生活しています。

ショウジンガニ
波のあたる岩礁( がんしょう ) で、岩にしがみつくように生活しています。

ヨツハモガニ
カモフラージュで海藻を体に付けています。

イソスジエビ
潮だまりによく見られる小エビ。黒と黄の縞模様( しまもよう ) が特徴です。

アシナガモエビモドキ
前種よりもさらに小型で、動きは大変すばやい。

メジナ
潮だまりに多いが、これは幼魚。成魚は磯釣りの対象魚です。

アゴハゼ
潮だまりによく見られ、底を( ) うようにエサに集まって来ます。

ヘビギンポ
海藻のはえた潮だまりに多い。体色の濃いのがオスです。

ウツボ
海のギャングなどと呼ばれ、歯がするどいので要注意です。

磯浜の植物

 波しぶきのかかる岩場からゆるやかな( がけ ) や切り立った崖のわずかな割れめやくぼみに生活している植物の中に海岸特有の植物を観 察することができます。
 伊豆半島や、伊豆七島の植物と深いかかわりのある植物もあります。

磯浜の植物

イソギク(11月)
限られた分布をしており、岩壁( がんぺき ) に自生しています。他の菊との雑種( ざっしゅ ) ができることもあります。

ハチジョウススキ(10月)
ススキによく似ていますが、ひとまわり大きく、穂や葉の様子から区別することができます。
伊豆半島、伊豆七島にかけて分布しています。

ハマボッス(6月)
波しぶきがかかる 岩場に多くみることができます。ホッスは、お寺の坊さんが使う道具で、穂の様子が似ているところから名づけられました。

ハマエンドウ(6月)
砂地や小石の多い浜に見られ、スイトピ一に似た花を咲かせます。

テリハノイバラ(6月)
岩場にはって生育し、日あたりを好み、山にも見られます。

イワトユリ(6月)
岩場や( がけ ) に咲いて いるユリで、岩戸( いわと ) 百合( ゆり ) と書きます。スカシユリは、それらの園芸種( えんげいしゅ ) につけられた名前で、花ビラと花ビラの間にすき間があるからです。

ハマエノコロ(8月)
岩場のすき間に見られ、エノコログサより背丈( せたけ ) はずっと低くなります。

ラセイタソウ(10月)
( がけ ) や岩場にへばりつくようにして生え、葉は厚く毛織物( けおりもの ) のラシャに似ています。

ツワブキ(10月)
岩葉につやがあるフキという意味で、ツワはつやがなまったものです。秋に、ひときわ目立つ黄色の花が咲きます。

アシタバ(11月)
明日葉( あしたば ) の意昧で、今日つみとっても明日には新しい葉が出てくるほど繁殖( はんしょく ) 力があります。おひたしや天ぷらにして食べることができます。

オニヤブソテツ(10月)
海岸の近くではどこでも見ることのできるシダ植物です。波しぶきのかかる岩場から、うす暗い林の中にも生育しています。

アスカイノデ(4月)
海岸に近い林の中に多く生育しています。イノデの仲間は種類が多く胞子のつき方や鱗片 ( りんぺん ) の形などが区別点となります。

コモチシダ(11月)
海岸に近い崖や岩場によく見られ、葉の表面に小さな たくさんの子をつけることから、この名がつきましたが子はほとんど( ) れてしまいます。

マルバグミ(10月)
波うちぎわの岩場に多く見られ、葉の表や裏は白く、銀色の鱗片( りんぺん ) があります。

オオバヤシャブシ(4月)
何も生えていない大地に、まず進出する木で、花は早春の訪れを知らせてくれます。

ガクアジサイ(6月)
ガクアジサイのガクは( がく ) で、かざり花が額ぶちのよ うに見えるのでこの名があります。
この植物は、フォッサマグナ地域の植物です。

ハコネウツギ(5月)
箱根空木( うつぎ ) の意味ですが、自生は海の近くや城山公園などに多く見られ、高い山にはなく、花は黄白色から紫色に変化していきます。

シロダモ(10月)
風に葉がヒラヒラゆれると、葉うらの白さが遠くからでもわかります。秋には赤い実と花を同じ時期に見ることができます。

オオシマザクラ(4月)
伊豆諸島や伊豆半島に多い桜で、桜もちの葉は、この木の葉を使います。

ヒメユズリハ(11月)
正月かざりのユズリハに似て、少し葉が小さいが、大木になります。

ヤブツバキ(1月)
暖帯( だんたい ) 林の代表的な樹木で、ツバキ は葉が厚くツヤがあることがその名のおこりです。花の( みつ ) は、野鳥の大好物( だいこうぶつ ) で、種子から椿( つばき ) ( あぶら ) がとれます。

キチジョウソウ(10月)
めったに花が咲かないので、咲くと良いことがあるということから吉祥草( きちじょうそう ) の名があります。
暖帯( だんたい ) 林の目印となる植物です

卜べラ(5月)
香りのある花は、白から黄色に変わっていきます。

カジイチゴ(5月)
海岸の林にそって生育し、イチゴは食用となります。

モクレイシ(11月)
小田原付近、伊豆半島、伊豆諸島そして九州へと飛び離れた分布をするめずらしい植物です。
このような分布を隔離( かくり ) 分布( ぶんぷ ) といいます。

タブノキ(11月)
海岸近くの林をつくる代表的な木で、生長が早く大 木となります。この木の樹液( じゅえき ) に、クワガタムシが集まることは、わりと知られていません。

スダジイ(6月)
シイの木と呼ばれることもあり、一年中緑で幅の広 い葉をつけるので常緑( じょうりょく ) 広葉樹( こうようじゅ ) といい暖帯の代表的な樹木です。

クスノキ(11月)
神社や校庭に大木を見ることができます。早川の紀伊( きい ) 神社のものは市内でも特に大きいです。
この木からは防虫剤( ぼうちゅうざい ) のショウノウを取ります。

海ソウ類

 早川から江( ) 浦の海岸には、多くの海ソウ類を見ることができます。海ソウは陸上の植物と違い、もっとも生育の盛んなときは、冬の時期です。そして大潮( おおしお ) の引き潮の時が観察には適しています。波うちぎわから海底まで、深さによって生育する種類も異なります。
 ふつう、緑色のもの(( りょく ) ソウ類)は浅いところに多く、茶色(( かっ ) ソウ類)、紅色(( こう ) ソウ類)と深いところに生育します。

ボタンアオサ(3月)

ヒジキ(3月)

ハバノリ(3月)

フクロフノリ(4月)

磯の鳥

 イソヒヨドリやクロサギのように磯を生活の場として利用している鳥もいれば、アオバトのように海水を飲みに来る鳥もいます。また( えさ ) となるカニや貝などの小動物がたくさんいるので、渡り鳥のシギやチドリが餌の補給( ほきゅう ) 休憩( きゅうけい ) をするために立ち寄っていきます。

イソヒヨドリ<留鳥>
背中は濃い紺色でお腹はレンガ色。よく通る声で複雑に鳴きます。最近は小田原駅、市役所、市立病 院など内陸部にも進出してきてい ます。縄張( なわば ) り性が強く、ビルの上などでもさえずります。

アオバト <夏鳥>
全身が鮮やかな黄緑または緑色のハトです。オスは肩のところが紫色に見えます。普段は山で生活していますが、群れで海水を飲みにやってきます。山の中でアオーアオーと悲しげな声を聞くことがあります

オオミズナギドリ<夏鳥>
( つばさ ) は長く、体を左右に傾けながら水面近くを飛びます。ちょうど水を( ) ぐように見えるのでミズナギドリと名づけられています。群れで飛び、漁師さんは魚のいる場所の目安にしています。

河原の自然観察

河原の自然観察ガイド

酒匂川の河原

 酒匂川は、堤防に囲まれた広い河原を持っています。栢山から飯泉取水堰( しゅすいぜき ) までは小石の多い河原で、それより下流は砂混じりの河原です。そこでは多くの自然が観察できます。

河原の自然観察ガイド

河原の自然観察ガイドマップ

 小田急「栢山駅」から東に行くと酒匂川です。河原におりて、石や植物、虫、鳥などをゆっくり観察しましょう。

河原の自然観察ガイドマップ
行き方 小田急「栢山駅」下車・乗車
注意  流れの速いところには入らないようにしましょう。

河原の植物

 河原の植物は大きく三つに分けることができます。第一は水中または水辺、湿地( しっち ) を好んで生えるもの、第二は砂や小石が続く高温、乾燥( かんそう ) のはげしい所に生えるもの、そして第三は、大雨で増水してもめったに流されない安定した所に育つ植物です。これらの他に流れついた植物、帰化植物の進出も見ることができます。

イヌコリヤナギ

タチヤナギ

オノエヤナギ

ヤナギの類は、河原に春を( ) げてくれます。酒匂川には7種類のヤナギが生育しています。イヌコリヤナギ、タチヤナギ、オノエヤナギ、その他ナガバカワヤナギ、シダレヤナギ、コゴメヤナギ、ウンリュウヤナギがあります。それぞれ葉や花のつくり、茎などの特徴 ( とくちょう ) をもとに見分けることができます。

ヒエガエリ(5月)
小田原の各所の川べりや用水路の土手などによく見かけます。アシを小さくした姿です。

クズ(9月)
茎(ツル)は長く伸び、10m以上にもなります。秋の七草の 一つです。

ノイバラ(5月)
河原でトゲが( いた ) くてやっかいな植物ですが、花の頃の小さな白いバラの花は見事です。

カワラケツメイ(8月)
茎や葉をお茶の代用として使っていました。葉は、ネムノキの葉に似ています。

アレチウリ(9月)
とげとげした実をつけて、一面に広がる様子が最近目につくようになりました。

ネナシカズラ(10月)
全体に葉緑素はなく、つるから寄生根を出して寄生した植物からその養分を取ります。

キショウブ(5月)
水田などによく生育しています。ショウブはサトイモ科の植物で花は目立ちませんが、これはアヤメの仲間で花は黄色で目立ちます。

マメグンバイナズナ(5月)
実の形が軍配( ぐんばい ) のような形をしているので、この名があります。
小田原では、よく見かける帰化植物です。

ビロードモウズイカ(8月)
全体に白い毛を密生させ、ビロードのようで、大きいものは背丈( せたけ ) が2m近くになります。
最近増えてきた帰化植物です。

ツルマメ(9月)
茎は他のものにからみつき、細く長く伸びます。紅紫色の小さい花を咲かせます。まれに白花も見られます。

カワラナデシコ(7月)
( あざ ) やかな色でよく目立ちます。全体のイメージはカーネーションに似ています。白花は、珍らしいものです。秋の七草のーつです。

ムシトリナデシコ(5月)
河原をピンクに( ) めるほどたくさん咲き、虫が( みつ ) を吸いにやってきます。茎に( ねば ) り気がありますが虫はつかまえません。

ミソハギ(5月)
湿った所に生育し、お盆の頃咲くので「ボンバナ」ともいいます。

メドハギ(5月)
河原にすうっと立った姿は目立ちます。夏に小さいうす黄色の花をつけます。

カワラハハコ(9月)
茎や葉が白い毛でおおわれています。花はハハコグサ(ホウコグサ)に似ています。

カワラヨモギ(9月)
若葉と生育した時の様子の違いに( おどろ ) きます。若葉は銀白色でフサフサしています。

クコ(10月)
花はナスに似て、秋になると赤い実をつけます。薬草として用います。

イヌドクサ(5月)
トクサやスギナに似ています。茎の先端にツクシ状の穂をつけます。

アレチヌスビトハギ(9月)
花はきれいですが、実は服にベタベタくっつきます。急に増えてきました。

コガマ(8月)
水の多い所でよく見かけます。休耕田( きゅうこうでん ) などに侵入( しんにゅう ) してきます。

オギ(10月)
ススキに似ていますが河原で見られるのはオギです。湿地( しっち ) や水辺を好みます。

ススキ(10月)
オギに似ていますが株立ちするので、区別できます。別名オバナ(尾花)で、秋の七草の一つです。

マコモ(9月)
葉は長く幅広で背丈( せたけ ) が1mにもなる大型イネ科の植物です。

アシ(9月)
アシは「悪し」につながるのでヨシということもあります。

ツルヨシ(10月)
アシと似ています。茎の下部は地面をはい、つるになります。

マツヨイグサ(6月)

アレチマツヨイグサ(8月)

コマツヨイグサ(5月)

コマツヨイグサ(5月)

マツヨイグサの仲間はあざやかな黄色の花をつけ、甘いにおいで( ) を誘います。夕方開き翌朝にはしぼみ、花びらが赤く変わるものもあります。マツヨイグサを押しのけ今や世界中に広がる雑草の王様がアレチマツヨイグサです。さやの中の種の多さに驚きます。

セイタカアワダチソウ(10月)
大群落( だいぐんらく ) をつくり、黄金色の花を咲かせます。秋の風物詩です。

アメリカセンダングサ(9月)
果実にトゲが2本あって、動物や人の衣服にくっつきます。

タコノアシ(9月)
花には花弁がなく、タコの足の吸盤( きゅうばん ) のようです。

オオイヌタデ(9月)
土手や河原等でよく見られ、白い花を咲かせる株と、赤い花を咲かせる株があります。

ツルフジバカマ(8月)
紅紫色の花穂( かすい ) をつけます。花の色やつるの様子からこの名がつけられました。

ウォーターレタス(9月)
ボタンウキクサとも呼ばれます。もとは園芸種で、栽培したものが増えて野生化したものです。熱帯原産です。

ミズハコベ(5月)
水田や川等に水につかった状態で生育していますが、あまり多くは見られません。葉はハコベに似ていますが別の科の植物です。

ホテイアオイ(9月)
花は淡紫色で、葉の柄がふくらみ浮き袋になる様子は、布袋( ほてい ) ( さま ) のお腹に似ています。熱帯原産の帰化植物です。

クロモ(9月)
今ではオオカナダモやコカナダモにおされ少なくなっています。黒っぽく見えます。

オオカナダモ(9月)
アルゼンチン原産の植物でアメリカから輸入され日本全土に広がりました。一番多く見られます。

コカナダモ(11月)
実験用としてアメリカ北部から輸入され野生化したものです。

オオフサモ(9月)
酒匂川の周辺の水路等に見られる( はん ) 水沈( すいちん ) 性の植物です。葉は明るい緑で目立ちます。茎が水面に浮いて広がっていきます。

ササバモ(5月)
酒匂川の流れの中でよく見ることができます。葉の形がササのように波うっています。夏に流れの上に花穂 ( かすい ) をつけ咲きます。

サンカクイ(9月)
酒匂川の河口の湿地に生育しています。茎が三角形なのでこの名があります。

クレソン(5月)
別名オランダガラシ、唐人( とうじん ) ゼリともいいます。水辺の至る所に広がってきて他種を圧倒してきています。

オオブタクサ(9月)
背丈( せたけ ) が3mにもなります。花粉症の原因になるので( きら ) われていますが繁殖( はんしょく ) 力が強く各地に広がっています。

イチョウウキゴケ(9月)
主に水面に浮き、まれに泥土上にも生育します。葉がイチョウに似ているので、この名があります。コケの一種です。

河原の石

 酒匂川は、丹沢・足柄山地そして富士・箱根山の河川を集めて流れています。したがって河原では、丹沢山地の大部分を作る凝灰岩( ぎょうかいがん ) ( るい ) 深成岩( しんせいがん ) 石英( せきえい ) 閃緑岩( せんりょくがん ) (トーナル岩)、その周辺部に分布する変成岩( へんせいがん ) のホルンフェルスや結晶( けっしょう ) 片岩( へんがん ) などの( れき ) が観察できます。また、それに混じって箱根山の安山岩や富士山の玄武岩の礫もたくさん観察することができます。早川は、箱根火山を流れるので外輪山・中央火口丘の安山岩類や、箱根火山ができる前の早川凝灰角礫岩 ( かくれきがん ) が観察できます。
 おおまかにいうと、これらの川でごま塩の石を見つけたら石英閃緑岩(トーナル岩)、黒っぽいのは玄武岩、灰色っぽくて白い長石や緑黒色のキ石などがぽつぽつ見えるのは安山岩、緑色に見えるのは凝灰岩類。( しま ) 模様( もよう ) の入っているのは結晶片岩。黒っぽくてつるつるしているのはホルンフェルスです。
 火山灰や軽石が積もってできたローム層の土を何度も洗って、残った小さな粒を双眼( そうがん ) 実体( じったい ) 顕微鏡( けんびきょう ) などで見てみましょう。色々な鉱物がたくさん観察できます。

箱根山のローム層の鉱物

石英閃緑岩(トーナル岩)

 白い結晶(チョウ石)と短冊状( たんざくじょう ) の黒い結晶(カクセン石)がごま塩状に見えるのが特徴です。マグマが丹沢の地下深くでゆっくりと冷えて固まってできた深成岩です。<丹沢山地の石>

安山岩( あんざんがん )

 灰色っぽい色をしています。箱根火山の多くがこの岩石です。マグマが地表で急激に冷やされてできた火山岩で細かい結晶の部分(石基( せっき ) )と地下で早めにできたやや大きめの結晶(斑晶( はんしょう ) )が入った(斑状組織( はんじょうそしき ) )をしています。斑晶のうち黒っぽいのはキ石、白いのはチョウ石です。<箱根火山の石>

玄武岩( げんぶがん )

 黒っぽい色をしています。たくさんの穴があいているものもあります。流れやすい溶岩が地表で急に冷やされ固まった火山岩で斑状組織をしています。穴はその時にガスが抜け出てきたものです。斑晶にはアメ色のカンラン石が見られます。富士火山はほとんどがこの岩石です。<富士山の石>

礫岩( れきがん )

 堆積岩の仲間で、大きさが2mm以上 の岩片( がんぺん ) が集まって固まったものです。酒匂川を流れて来るものはおもに足柄層群のものですが、削られやすいため下流ではあまり見られません。<足柄山地の石>

凝灰岩( ぎょうかいがん )

 火山灰が堆積して固まった堆積岩の一つです。丹沢山地のものは海底の火山活動で噴出した火山灰が堆積したため、全体的に緑色がかっているのが特徴です。<丹沢山地の石>

凝灰角礫岩( ぎょうかいかくれきがん )

 火山灰に大きさが32㎜以上の軽石や火山岩片が混じっている堆積岩で、これらを盛んに噴出している火口の近くで堆積したことがうかがえます。酒匂川でみられるのは丹沢山地のもので、緑色をしています。<丹沢山地の石>

ホルンフェルス

 堆積岩のうち、泥岩や砂岩が主に熱によって変化してできた変成岩です。黒っぽく粒がちみつでかたい岩石で、割れ口が鋭くとがるのでホルン(角)の名が付いています。<丹沢山地の石>

結晶片岩( けっしょうへんがん )

 地下で強い圧力を受けて変成した岩石です。結晶が一定方向にならんで見えます。丹沢山地には緑色片岩、カクセン岩と呼ばれる結晶片岩の仲間が見られます。<丹沢山地の石>

石の名前を調べよう(酒匂川の河原のおもな石)

参考
火山岩:地下のマグマが噴出して急に冷えて固まった岩石
深成岩:地下のマグマが地下でゆっくり冷えて固まった岩石
堆積岩:土砂や火山灰などが積み重なってできた岩石
変成岩:マグマの熱や圧力で性質の変わった岩石

河原の虫

トノサマバッタ (緑色型)

トノサマバッタ (茶色型)

河原の代表的なバッタ。近づくと大きく羽ばたいて逃げます。 色彩は変化が多く、まれに大発生し、農作物に害を与えます。

オンブバッタ
メスの上にオスがおんぶしています。

セスジツユムシ
高い草の上でチチチ・ジーチョジーチョと鳴きます。

イオウイロハシリグモ
草や低木の葉の上で、すばやく獲物( えもの ) をつかまえます。

ネコハエトリグモ
常緑の葉の上でよく見かけます。ハエなどの獲物( えもの ) に、とびかかってとらえます。

カバキコマチグモ
ススキやアシの葉を丸めて巣を作ります。かまれると( いた ) い。

ササグモ
草の間を素早く動きまわります。ジャンプすることもあります。

ウラナミシジミ(表)

ウラナミシジミ(裏)

羽を半開きにして止まっている様子をよく見かけます。幼虫はマメ科の植物を食べて育ちます。

アオモンイトトンボ
河原の草に止まっていることが多いです。

アジアイトトンボと間違( まちが ) えやすいのですが、見分け方は図のとおりです。

姿( すがた ) 形は、似ていますが、小田原では、河原に住んでいるので、( さが ) してみましょう。

ノグチアオゴミムシ
河原の石の下などにいます。小さな虫などを食べます。

ウズラカメムシ
じっとしていると豆のようなかわいい虫です。イネ科の草の穂によくいます。

ヒシバッタ
小さなバッタですが、よくとびはねます。体を上から見ると、ひし形をしています。

アオバアリガタハネカクシ
短い前羽の下に長い後ろ羽を折りたたんでしまってあります。強く握るとひふが赤くはれる液を出します。

スナゴミムシダマシの仲間
河原などの石の下や落ち葉の下などにいます。くさった植物を食べます。

エダヒゲナガハナノミ
水辺の草の葉の上にいることが多く、くしのような触角が特徴です。

河原の鳥

 川の中の小魚を( えさ ) にするカワセミや、水際の石についた水生昆虫などを餌にしているセキレイの仲間、岸辺を歩き回って餌を( さが ) すシギやチドリの仲間、中州( なかす ) や岸のアシ原などで主に生活をするオオヨシキリ、さらにススキやチガヤの草原ではセッカが見られます。

カワセミ<留鳥>
背中はコバルトブルーでお腹はオレンジ色。水中に飛び込み、長い( くちばし ) で魚を( ) らえます。 ツィーと強く鳴いて一直線に水面すれすれを飛んでいきます。嘴の下が赤いのがメス、黒いのがオスです。

イソシギ<留鳥>
河原でもっとも多く見られるシギ。背中は薄茶色で胸から腹が白く肩の所も白いです。ピピピピピと速く鳴きながら( つばさ ) ( ふる ) わすようにして水面すれすれに飛びます。お( しり ) を上下に動かして歩きます。

イカルチドリ<留鳥>
河原の石と同じような目立たない色をしています。首の周りの黒帯は幅が広く、コチドリより脚や( くちばし ) が長めです。ピュイッ、ピュイッと歯切れよく鳴きます。河原に生息し、コチドリのように畑に現れることはあまりありません。

コチドリ<夏鳥>
イカルチドリよりもひと回り小さく、目の周りの黄色い輪が目立ちます。ピォッピォッ、ビューッビューッと鳴いたりします。砂地や荒地を好み、そこにくぼみを作って、小石や( ) れ草を使うだけの簡単な巣を作ります。

コサギ<留鳥>
白いサギの中で一番小さなサギです。( くちばし ) は一年中黒く、( あし ) の指は 黄色。繁殖( はんしょく ) ( ) になると頭の後ろに2本の長い( かん ) ( ) が生えてきます。 餌をとるときは脚で水の中をかき混ぜて、出てきた魚を( ) らえます。

キアシシギ<旅鳥>
全身灰色で足が黄色です。夏羽では胸に細かい( しま ) 模様が見られます。 ピューイ、ピューイと大きな声で鳴きながら水面の近くを飛んでいきます。岩の上でじっと休んでいる姿も見かけます。

キセキレイ<留鳥>
尾が長く、お腹の黄色いスマートな鳥です。いつもお( しり ) を上下に動かしています。 チチン、チチンと強く鳴きながら飛びます。水のきれいな川の上流でよく見かけます。

セグロセキレイ<留鳥>
頭から尾にかけて黒く、顔の一部や腹・( つばさ ) には白い部分があります。ジェッ、ジェッと( にご ) った声で鳴き、波形に飛びます。お尻を上下に動かします。

ハクセキレイ<留鳥>
セグロセキレイに似ていますが頭から尾にかけては灰色で、顔も目を通る線だけが黒です。チチッ、チチッと( にご ) らずに鳴き、冬には集団で( ねぐら ) をとります。川から離れた内陸部でも見られます。

タヒバリ<冬鳥>
背中が茶色く、胸から腹にかけてしま模様があります。キセキレイやハクセキレイほど尾は長くありませんが、セキレイの仲間なのでお尻を上下に動かします。ピィッ、ピィッと鳴きます。田んぼで餌を捜す姿も見られます。

オオヨシキリ<夏鳥>
全身( あわ ) いオリーブ色で( くちばし ) は細く長いです。アシ原やその周囲の木で見られ、アシにつく昆虫やクモを食べます。ギョギョシ、ギョギョシ、ゲゲゲゲと複雑に鳴き、口の中の赤い色が目立ちます。

セッカ<留鳥>
薄茶色で背中に黒い( はん ) があり、ヒッヒッヒッと鳴きながら上昇しチャッチャッチャッと鳴きながら降りてきます。これは、オスがなわばりを宣言しているのです。そして、なわばりの中のチガヤなどにクモの糸などで巣を作ります。

ハシボソガラス<留鳥>
ハシブトガラスより小さく( くちばし ) も細め。ガァー、ガァーと( にご ) った声で鳴き、家族を中心に生活をするグループもあります。電柱にも巣を作り、人間社会とのかかわりも大きいです。

オオジュリン<冬鳥>
上面は茶色で( あま ) ( おおい ) は赤味があり、下面にはたてじまがあります。河原のアシ原でよく見かけます。雄は目立つ草などにとまり、ゆっくりした声でさえずります。夏は北海道などに渡り、オスは頭が黒くなります。

ヒバリ<留鳥>
スズメのような色をしていますが、頭の後ろの羽が長く、緊張すると立てることもあります。春を告げる身近な野鳥として親しまれています。上空でさえずっていたり、( たけ ) の低い開けた草地で見かけたりします。酒匂川の河原でよく見られます。

双眼鏡の使い方

コラム

野鳥を観察する際、双眼鏡があると便利です。8倍程度の倍率のものが使いやすく、あまり重たくないものを選びましょう。また、野鳥を見る前に、双眼鏡の調節が必要です。

① ピント合わせ

やや遠くの目標物を決め、まず左眼でレンズをのぞきながらピントを合わせましょう。ピントは中央のリングを使って合わせます。

( ) ( ) 調節

右眼と左眼の視力が違う場合があります。そのため、今度は右眼で見ながら、接眼( せつがん ) レンズにある視度調節リングを動かして、ピントを合わせます。

③ 幅合わせ

双眼鏡の左右を持って角度を変え、両眼で見たときに( ) ( ) が丸く一つの円になるように調節します。

川の中の水生生物

 小田原を流れる酒匂川や早川・久野川は、流れも速く、水もきれいなので、水中や川底の石の下などにはたくさんの生き物がいます。どんな生き物が、どんな生活をしているのか観察しましょう。

久野川の観察地点

早川の観察ポイント

シマヨシノボリ
上流から河口まで広範囲に生息していて、体色の変異が多い。

ウグイ
川の中流部から河口部まで生息し、かなり大きくなります。

オイカワ
中流部の水路等に小さな群れを作って生活しています。

ドジョウ
小川やたんぼに多く、( えさ ) を泥ごと食べてしまいます。

ヌマチチブ
中流部から河口部まで生息し、藻類や水生昆虫を食べます。

小田原市の魚

メダカ(ミナミメダカ)
最も小さい魚。酒匂川水系の農業用水路に生息地があります。

オオクラカケカワゲラの幼虫
上流部で生活する大型のカワゲラでこの仲間は( つめ ) が2本です。

チラカゲロウの幼虫
普通に見られるカゲロウの仲間で背中の白いすじが目印です。

エルモンヒラタカゲロウの幼虫
体は平たく、( ふく ) ( ) に大きなエラがあって、尾は2本です。

シロタニガワカゲロウの幼虫
体は平たく、腹部のエラは小さくて、尾は3本です。

ヒゲナガカワトビケラの幼虫
川底の石の間に、( ) ( ざつ ) な巣と( あみ ) を作っています。

ヒゲナガカワトビケラの網巣
エサをひっかける網と、その下の小石をつなげて作った巣です。

水質を判定しよう

コラム

水の汚れ具合 指標生物
きれい サワガニ、カゲロウ類、カワゲラ類、プラナリアなど
ややきれい シロタニガワカゲロウ、シマトビケラ、ヒラタドロムシなど
きたない ミズムシ、シマイシビル、フナ、オイカワなど
とても
きたない
ユスリカ、エラミミズ、サカマキガイなど

 水生生物で川の水質が( はん ) ( てい ) できます。
 正しくは石についている( もう ) ( るい ) や化学的方法を使い、その総合的数値で( はん ) ( てい ) されますが、水生生物だけでも十分目安になるので、調べてみましょう。

サワガニ(きれい)
純淡水産のカニで、一生を川で生活します。

ヒラタドロムシの幼虫(ややきれい)
石の( うら ) についていて、成虫はコガネ虫型で6月頃出現します。

ミズムシ(きたない)
汚れた水域の指標種( しひょうしゅ ) で、卵を腹に抱いて保護します。

サカマキガイ(とてもきたない)
触角( しょっかく ) が細長く、貝殻の巻き方が他の貝と反対です。

ミズカマキリ
小さな魚などを捕らえて、その体液を吸い取ってしまいます。

タイコウチ
呼吸管を使って水中に静止し、小魚やオタマジャクシ等を捕食( ほしょく ) します。

ギンヤンマのヤゴ
トンボの幼虫のヤゴは肉食性で、エサの豊富な所にいます。

ハグロトンボのヤゴ
細長い体をくねらせて泳ぎ、3本の尾鰓( びさい ) で呼吸します。

アカテガニ
河口付近の湿った場所に住み、赤いすべすべのハサミが特徴。

ベンケイガニ
ハサミに顆粒( かりゅう ) があり、甲の( かた ) の部分に切れ込みがあります。

クロベンケイガニ
河口部の草地などに穴を掘って住んでいます。

オオヒライソガニ
南方に多く、関東では少数です。酒匂川と早川で見られました。

テナガエビ
酒匂川下流部の流れのゆるやかな( どろ ) ( ぞこ ) に生息しています。

ヌカエビ
酒匂川中流部の流れのゆるやかな所に多い小型のエビです。

アメリカザリガニ
1930年にアメリカから移入され、各地に広がった帰化種です。

スッポン
カメの仲間は酒匂川に何種類かいるようです。

かんたんな植物の分類表

コラム

 植物の研究をするとき、もとになる分類表です。
よく観察し、自分の力で仲間わけをしてみましょう。

かんたんな植物の分類表

取水( ぜき ) の鳥

 酒匂川の飯泉取水堰は野鳥の宝庫です。ゆっくりと鳥を観察しに行きましょう。

取水堰の鳥
取水堰までの野鳥観察コース

飯泉取水( ぜき ) のようす

 一年中水が豊富にあり、( なか ) ( ) には野鳥が繁殖( はんしょく ) できる環境があります。また、周囲には、休息をしたり、エネルギーを補給できるような場所や植物もあるので、ここでは生態系のバランスがうまく成り立っています。そのために、1年を通して多くの野鳥を観察することができます。

酒匂川の鳥

酒匂川の鳥【春・夏】2021

酒匂川の鳥【秋・冬】2021

 取水( ぜき ) は人工的に川をせき止めているので常に水が豊富にあり、人間が近づくことができないので安心して鳥たちが休めます。また ( なか ) ( ) 以外にも水草やアシ原などもあり、上流から流されてくる植物など( えさ ) になるものも多く、カモやカモメの仲間をはじめ、シギ・チドリ・サギの仲間、そしてトビなどの猛禽類( もうきんるい ) も見ることができます。

酒匂川の鳥【身近なハンターたち】2021

アオサギ<留鳥>
首は白っぽく長く、体は( うす ) い灰色。( つばさ ) を広げると羽の外側が黒く見え、グワァーとかギャーと、きこえる大きな声で鳴きます。高い木の上に巣をつくります。

ダイサギ<留鳥>
白いサギのなかでは一番大きく、首や( あし ) も長いです。長い首がS字のように少し曲がっています。( くちばし ) は夏は黒く冬は黄色。脚の指は黒です。

ササゴイ<夏鳥>
ゴイサギよりも小さく細い体で、頭の後ろに長い羽があります。キュウとかピュウと鳴きながら飛び、昼間でも盛んに餌をとります。

ゴイサギ<留鳥>
ササゴイよりひと回り大きく、成鳥には頭の後ろに2本の白い羽があります。夜行性なので、夜空からグワァという大きな声が聞こえます。手前は幼鳥( ようちょう ) です。

ヒドリガモ<冬鳥>
首から上は( くり ) 色で( ひたい ) がクリーム色。ピューウ、ピューウとよく通る声でぜき鳴きます。飯泉取水( ぜき ) 付近は県下で有数のヒドリガモの群れが観察できる場所です。

カルガモ<留鳥>
全身こげ茶色で顔が白っぽく見えます。お( しり ) の近くの白い羽や、( くちばし ) の先端の黄色が目立ちます。夏には親子連れで泳いだり、餌を食べている姿を見かけます。

マガモ<冬鳥>
オスは頭全体が緑色で、首に白い輪があります。飛んでいる時でも( くちばし ) の黄色と尾の白がよく目立ちます。マガモとカルガモが近くを飛ぶと羽ばたく音が聞こえます。

ハシビロガモ<冬鳥>
( くちばし ) は大きくて幅が広いです。オスの頭は緑色で胸の白が目立ちます。首を伸ばして嘴を水面につけ、ジャブジャブと、こし取るようにして餌をとります。

オカヨシガモ<冬鳥>
オスの体は全体的に灰色で頭は茶色く( くちばし ) が黒いです。一見地味な色なので他のカモのメスのように見えます。オスのお( しり ) 近くの黒い羽が目立ちます。

オナガガモ<冬鳥>
名前の通り、尾の長いカモです。首が長く、体全体が大きく見えます。首の前側が白く、目の後ろ近くまで白い部分が続いています。

コガモ<冬鳥>
他のカモより小さく目のまわりの緑色とその周りの黄色が目立ちます。体の横の白い線とお( しり ) の近くの黄色い羽も目立ちます。

カワアイサ<冬鳥>
緑色に光る黒い頭はオス、茶色い頭はメスです。エサを見つけると、水に( もぐ ) って魚を捕らえます。その際、細長いくちばしが役に立ちます。

カワウ<留鳥>
カモよりもくちばしや首が長く、体全体も大きいです。水に( もぐ ) って魚を( ) らえます。潜った後に( つばさ ) を広げて( ) れた翼を乾かしている姿もよく見られます。

カンムリカイツブリ<冬鳥>
くちばしと首が長く、名前のとおり、頭には黒いかんむりのような羽があります。川のほか、陸地に近い海でも見られることがあります。

カイツブリ<冬鳥>
体全体が丸く、とても小さいので、ふわっと水に浮いているように見えます。( もぐ ) るのが上手で、一度潜ると思いがけない場所に出てきたりします。

オオバン<冬鳥>
全身真っ黒で( くちばし ) ( ひたい ) が白。酒匂川ではヒドリガモと競うように盛んに水に( もぐ ) って水草をとる姿や陸上を歩く姿もよく見られます。狩川にも多く見られます。

バン<夏鳥>
黒い体に赤い( ひたい ) ( くちばし ) の先端の黄色がとても目立ちます。警戒心が強く岸沿いの草の( かげ ) などにいてなかなか水面に姿を現すことはありません。

ウミネコ<留鳥>
( ねこ ) のようにミャーオと鳴きます。背の灰色は濃く、黄色い( くちばし ) の先端は赤と黒。成鳥で白い尾羽に黒い帯が出るのはウミネコだけです。他のカモメ達と違い、夏でも見ることが出来ます。

ユリカモメ<冬鳥>
他のカモメの仲間に比べると白くて小さいです。( くちばし ) ( あし ) がオレンジ色で、目の後ろに黒い部分もあります。春、北へ帰る頃には頭全体が真っ黒になってきます。

オオセグロカモメ<冬鳥>
( くちばし ) の先端下に赤い斑点があります。セグロカモメとよく似ていますが、セグロカモメよりも( つばさ ) の灰色が濃いです。小田原では特に春と秋の渡りの時期に多く見られます。

セグロカモメ<冬鳥>
春と秋の渡りのシーズンに多く見られる大型のカモメです。( くちばし ) の先端下には赤い斑点( はんてん ) があり、( つばさ ) ( うす ) い灰色をしています。幼鳥は全身茶色っぽいです。

ハヤブサ<留鳥>
背中は黒っぽい灰色で、腹には( しま ) 模様があります。鉄塔の上などで休んでいて、エサにねらいをつけると、急降下して捕らえます。その際のスピードは時速400㎞近くにもなります。

トビ<留鳥>
全身がこげ茶色の大きいタカの仲間です。他のタカと違い、尾を広げた時に先端が丸くなりません。ピーヒョロヒョロヒョロと鳴きます。なんでも食べる雑食性です。

ミサゴ<留鳥>
( つばさ ) は濃い茶色で体の下側の白が目立ちます。主に魚を( えさ ) として食べます。上空から( ねら ) いをつけて急降下し( するど ) ( つめ ) で魚を( ) らえ、魚をつかんだまま飛び去ります。

今年も会えるかな
―取水( ぜき ) に立ち寄る野鳥達―

コラム

 飯泉取水( ぜき ) は、渡り鳥たちの中( けい ) 地でもあります。春や秋には普段は見ることの出来ないシギやチドリの仲間に( ぐう ) ( ぜん ) 出会うこともあります。また、年によって小田原を( おとず ) れたり来なかったりする野鳥もいます。

ムナグロ<旅鳥>
顔から腹までが真っ黒なチドリの仲間。

ホシハジロ<冬鳥>
他のカモと違って、水にもぐってエサを捕る、頭が茶色いカモ。

キョウジョシギ<旅鳥>
よく目立つ模様から、京都の女性の着物にたとえられた京女シギ。

ハマシギ<旅鳥>
目的地である( ) ( がた ) や砂浜では、数万羽に及ぶ大群を作ることもある。

市の鳥 コアジサシ

コラム

 1995年に小田原市の鳥に選ばれました。毎年、酒匂川下流の( なか ) ( ) に集団で( えい ) ( そう ) をしています。巣は地上にくぼみを作り、中に小石を敷いただけの簡単なもので、卵やヒナは周りの小石や砂利と同じ様な色をしていて、注意しないと見分けがつきません。
 多くは4月下旬頃から渡ってきて卵を生み、ヒナを育て、8月下旬から9月初め頃に南に向かって渡って行きます。今までに、酒匂川のコアジサシがオーストラリアの近くのカロリン諸島まで渡って行っている事実が確認されています。
 ( つばさ ) はやや灰色をしていますが全身が白っぽく、頭の上から後ろにかけては黒いです。( くちばし ) は黄色く先端が黒い色をしています。名前のとおり空中で( ねら ) いを定めると、アジを( ) すように嘴から一気に水中に飛び込んで( えさ ) ( ) らえます。

市の鳥【コアジサシ】2021

平地の自然観察

平地の自然観察ガイド

足柄平野全景

 小田原の平地は主に水田や畑、そして、住宅地として利用されています。そこには、人間とのかかわりを深く持ちながらも色々な動植物が生きています。さあ、身近な自然の探索( たんさく ) をしましょう。

平地の自然観察ガイド

平地の自然観察ガイドマップ

 小田急の「富水駅」から東に行き、酒匂川を渡ると、水田や畑が多く見られ、あぜ道や農道で自然観察ができます。近くでメダカ(ミナミメダカ)も見ることができます。

平地の自然観察ガイドマップ
交通  小田急「富水駅」下車・乗車
注意  耕作地には勝手に入らないようにしましょう。

水田の自然

水田の自然ガイド

千代地区

 水田の中には、夏に水が入り、冬は乾くという環境に適した植物や昆虫・鳥などが生きています。( あぜ ) や用水路の周辺はそれらのよい観察場所です。

水田の自然ガイド

水田の植物

 冬から春の水田は、タネツケバナに始まり、コオニタビラコ、ノミノフスマ、スズメノテッポウ、レンゲソウなどが、田おこし直前まで花を咲かせています。
 夏、イネが育つ頃、コナギ、タウコギなどは水の中で元気良く育っています。
 秋、イネを( ) り取った後は、ホシクサ、キカシグサ、カヤツリグサの仲間やイネ科植物の天下です。

レンゲソウ(4月)
緑肥( りょくひ ) として冬の水田に植えられます。花が輪状に並ぶ様子がハスの花に似ているので「( れん ) ( ) ( そう ) 」の名があります。

オヘビイチゴ(4月)
ヘビイチゴより大きく葉は5枚の小葉からできています。

タネツケバナ(3月)
春、どの草より早くに水田一面を白い花で( かざ ) ります。

ケキツネノボタン(4月)
光った黄色い花が( あぜ ) に咲き、できた実は服に着いて運ばれます。

トキワハゼ

ムラサキサギゴケとトキワハゼ(5月)
太陽を一面に浴びて、紫の花むしろを広げたように咲きます。白花品はサギコケです。トキワハゼは夏や秋にも見られます。

キツネアザミ(5月)
アザミに似た花を咲かせますが、葉は柔らかく、とげはありません。茎の上部が枝分かれをし、赤紫色の頭状花( とうじょうか ) をつけます。

カワヂシャ(5月)
若い苗は、やや紫色をしています。川べりに生えるチシャ(レタス)の意味で若葉は食べられます。

スズメノテッポウ(4月)
花穂を引き抜き、口にくわえて吹くと( かん ) ( だか ) い音が出るので、「ピーピー草」とも言われます。

ウキクサ(6月)
水中にたくさんの根を下ろし、水に浮いて育ちます。

アオウキクサ
ウキクサより小さく、水中の根は1本で、全体は黄緑色をしています。

カズノコグサ(5月)
葉は( さわ ) るとざらつき、数の子そっくりな穂をつけます。

アゼムシロ(6月)
ミゾカクシとも呼ばれます。( あぜ ) ( みぞ ) などで育ちます。小田原では少なくなってきました。

タカサブロウ(9月)
花は目だちません。まるで人名のような名前ですが、そのわけは不明です。

スイバ(5月)
別名スカンポと言われ、春の新芽を食べると( ) っぱくておいしいです。

ジュズダマ(8月)
ままごとで、ジュズや首かざりなど作る時の材料です。始めは黒く、熟すと白くなります。

イヌホタルイ(9月)
水田や休耕田によく見られます。細長い茎は畳表( たたみおもて ) にするイグサのようです。

コゴメガヤツリ(9月)
全体がカヤツリグサによく似ています。日当たりの良い場所を好みます。

タマガヤツリ(9月)
休耕田などによく見られます。カヤツリグサとはちがい、( ) 球状( きゅうじょう ) なので区別できます。

イボクサ(9月)
全体は、ツユクサに似ていますが、花は小さく白色でうす紅をさしています。

オモダカ(9月)
葉は( するど ) い矢じり( がた ) で、純白の花が咲きます。

キカシグサ(9月)
あちこちの水田で見かけます。小さい植物なので、見つけるのは容易ではありません。

キクモ(9月)
浅くよどんだ水の中に生えています。葉が菊に似て、かすかな香りがあります。

チカラシバ(9月)
しっかり根を張り、簡単( かんたん ) ( ) けないことから、この名がついています。黒紫色の花穂をつけます。

ケイヌビエ(9月)
夏から秋にかけ、茎の( いただき ) に20㎝くらいで長いノゲのある花穂をつけます。

アメリカフウロ(4月)
最近、休耕田に多く見られるようになってきました。花はゲンノショウコに似ています。

ヒメクグ(10月)
水田ばかりでなく、校庭でも見られます。全体が小型なのでこの名がつけられました。

ヒナガヤツリ(9月)
雛蚊帳釣( ひながやつり ) の名のように、全体が小さくて弱々しい感じがします。

ヒデリコ(9月)
夏の炎天下にもめげず、褐色( かっしょく ) の小さな花をたくさん付けます。花穂は線香花火に似ています。

マツバイ(9月)
水田にかたまって生育しているのをよく見かけますが、大変小さいので観察には注意が必要です。

ホシクサ(9月)
茎の上についた白い花の集まりが星のように見えることからこの名が付けられました。

デンジソウ(9月)

ミズワラビ(9月)

この2種は、今ではほとんど見られなくなった貴重なシダ植物です。普通のシダ植物と違い、デンジソウは四葉のクローバーの型をしています。ミズワラビは、一年生のシダ植物で春に( ほう ) ( ) ( はつ ) ( ) し、秋には胞子をつくり( ) れてしまいます。

コナギ(9月)
金魚( ばち ) に浮かせるホテイアオイに似ていますが( ) のうはありません。昼過ぎになって花を開き、夕方にはしぼんでしまう一日花です。

オオアカウキクサ(3月)
水田や池などの水の上に浮かぶシダ植物です。冬、寒くなると一段と赤く色( あぜ ) やかになります。

アブノメ(9月)
水田の( ) りあとによく見られます。実の形から「( あぶ ) の目」とついたのでしょう。

ホソバヒメミソハギ(9月)
近頃水田で良く見かけるようになりました。花は小さいのですがミソハギそっくりです。

カントウヨメナ(10月)
田の( あぜ ) 一面に咲く野菊の一つです。若葉はおひたしにすると、おいしいです。

カワラスガナ(9月)
小田原の水田では、あまり見られなくなりました。カヤツリグサの仲間です。

シロバナサクラタデ(9月)
休耕田や土手などによく見られます。花がピンクのサクラタデはあまり見かけません。

チョウジタデ(11月)
タデ科ではありませんが、似ています。全体は無毛で茎は直立してます。

アキノウナギツカミ(10月)
茎などに大きなトゲがあり、ウナギをつかむ時に使えるというのでこの名前があります。

ミゾソバ(11月)
用水路で見られます。水につけておくと根を出す強い植物です。白や赤の花もあります。

水田の虫

アメンボ

ヒメイトアメンボ

水面をすべるように動き、水面に落ちた昆虫の体液を吸います。羽があり、飛ぶこともあるので注意して観察しましょう。

マツモムシ
水の中を逆さになって泳ぎます。( えさ ) は、昆虫の体液です。

ヒメゲンゴロウ
ゲンゴロウの仲間は全て肉食性で、エサの豊富な所にいます。

ヤゴ(イトトンボの( なか ) ( ) の幼虫)

ヤゴ(トンボの( なか ) ( ) の幼虫)

泥の中を探ってみると、意外にたくさん住んでいます。

アジアイトトンボ

(赤色型)

(交尾)

上府中公園では、赤色型が6月頃多く見られます。アオモンイトトンボによく似ていますが、小田原では住み分けているようです。

クサカゲロウ
成虫・幼虫ともにアブラムシ、ダニなどをたくさん食べます。

クサカゲロウの卵
「うどんげ」と呼ばれ吉凶( きっきょう ) 迷信( めいしん ) があります。

ウヅキコモリグモ
卵をつけたまま動きまわるクモです。

ヤサガタアシナガグモ
水田に多く、水平の円い( あみ ) をはります。

イネを食べる
  コバネイナゴ
ふつうのイナゴです。腹の方が羽より長いのが特徴( とくちょう ) です。腹より羽の長いハネナガイナゴは、農薬の使用で少なくなりました。

ナツアカネ
オス・メスがいっしょに田に卵をうみます。

イチモンジセセリ
白いもようが一列にならんでいます。

セセリというのはせわしなくストロー形の口を動かすチョウという意味の名です。
 ジェット機のような羽で、すばやくとび回ります。

キマダラセセリ
羽を半分開いて止まることが多いです。

アカスジキンカメムシ(幼虫)

アカスジキンカメムシ(成虫)

フジ・ミズキ・ハゼノキなどにいます。

エサキモンキツノカメムシ
背中のハート( ) ( よう ) がかわいらしい虫です。

ヒメチャバネアオカメムシ
キク科の植物のしるを吸います。

ヨコヅナサシガメ
大きさと美しさでは横綱級のサシガメ。

キボシカミキリ
イチジクやクワなどを食べます。

クサギカメムシ
クワ、クサギなどにいます。

アカスジカメムシ
セリ科の植物からしるを吸います。

クモヘリカメムシ
イネ科の植物にいます。

虫と遊ぼう

コラム

バッタつり

① さお(あみの柄でも可)に糸をつけて、えさの代わりにわりばしの後ろの方を黒く塗ったものを結びつけます。これが、おとりになります。
② バッタの居場所を見つけます。
③ バッタを見つけたら、その近くにおとりを投げ入れ、目につくようにゆっくりと動かします。
④ オスならば、そのおとりにしっかりとつかまり、無事手元につり上げることができます。
⑤ メスは、おとりに見向きもしません。なぜ、そうなのか、考えてみてください。

水田の生き物

ホウネンエビ
エビでなく、ミジンコに近い仲間で、田植えが済んだ頃発生。

マルタニシ
殻高( かくこう ) 6㎝程にもなり、全国の田や河川に住んでいます。

カワニナ
ホタルの幼虫の( えさ ) としても有名で、川や水田にいます。

ヒメモノアラガイ
水田、用水路の水草に付着していて、殻は( うす ) 半透明( はんとうめい ) です。

マシジミ
ホタルの幼虫の餌としても有名で、川や水田にいます。

シマイシビル
水田や川の下流部に生活する、きたない水の指標種( しひょうしゅ ) です。

水田の鳥

 水田の中だけでなく、田んぼの間を流れる小さな川も含めて、サギの仲間やタシギ、カルガモなどを見ることができます。 ただ単に( えさ ) ( ) るだけでなく、休息の場にもなっています。また、冬の間は夕方から朝方の間にカモが落ち穂を食べに来たりもします。

アマサギ<夏鳥>
コサギより少し小さく( くちばし ) は短いです。繁殖期( はんしょくき ) には頭から胸・背中の羽が橙色( だいだい ) になります。水田で見られることが多く、バッタやカエルなどを食べます。

ケリ<留鳥>
( あし ) の長い大型のチドリです。飛ぶと翼に白と黒のはっきりとした模様が見られ、この時の鳴き声が「ケリッケリッ」と聞こえることから、ケリの名がつきました。

タシギ<冬鳥>
全身黒と黄色と茶色の複雑なまだら模様をしています。まっすぐで長い( くちばし ) ( どろ ) の中に( ) ( ) して小動物などを食べます。

畑地の自然

畑地の自然ガイド

成田の桃畑

 小田原には、果樹園や野菜畑があちこちにあります。農家の方々の迷惑にならないように気を付けながら、自然観察をしてみましょう。きっと新しい発見があるでしょう。

畑地の自然ガイド

畑地の植物

 畑はちょっと油断すると、すぐに雑草(野草)に( おお ) われてしまいます。これは、絶えず畑の周辺から色々な植物の種が進入してくるからです。風に乗って飛んできたり、動物に付いてきたり様々ですし、土中の植物の切れ端からも育ちます。
 放置するとやがてはシイやタブの林に変わって行きます。

スギナ(3月)
春を告げるツクシは、シダ植物「スギナ」の胞子葉です。針金のような地下茎から次々に芽をだします。

ヒメオドリコソウ(4月)
ピンクの花が茎の回りに咲く様子が「踊り子」のように見えます。最近よくみかけられるようになった帰化植物です。ホトケノザと間違えられます。

セイヨウタンポポ(4月)
繁殖力( はんしょくりょく ) 旺盛( おうせい ) で在来のカントウタンポポにとって代わりつつある帰化植物です。美しい黄色の花は、春のぬくもりを伝えてくれます。

カラスノエンドウ(4月)

カスマグサ(5月)

スズメノエンドウ(5月)

種を入れるサヤが黒く大きいのでカラス、カラスより小さいのでスズメ、その中間がカスマグサです。花はどれも( ちょう ) 形できれいです。

シロツメクサ(5月)
クロ-バ-の呼び名で親しまれています。

クサノオウ(6月)
畑の周りの草地に、( ) い黄色の花を咲かせています。

コメツブツメクサ(5月)
畑に群生し、最近よく見られるようになってきました。

ノゲシ(4月)
ハルノゲシともいいます。茎や葉を切ると、白い汁が出てきます。

ハルジオン(5月)

ヒメジョオン(6月)

どちらも畑地や空き地に大変多くなっている帰化植物です。春に咲くのがハルジオンで、初夏に( ) くのがヒメジョオンです。

ノアザミ(5月)
小田原で春から初夏にかけて咲くのは、このアザミだけです。

オオイヌノフグリ(3月)
まだ冷たい春の陽に( かがや ) く青い宝石のような花は見事です。

カキドオシ(4月)
垣根( かきね ) の間から茎を( ) ばし、紫色の花を咲かせます。

ノビル(5月)
ヒルとは古語で、( にお ) う植物のことです。食用になります。

キランソウ(5月)
「じごくのかまのふた」ともいい、四方に地面をはって育ちます。

ヘクソカズラ(6月)
畑の周りや道ばたに見られます。草や実をつぶすとにおいがします。どんなにおいかな?

ヘラオオバコ(5月)
最近多くなってきた帰化植物です。オオバコに似た花穂をつけますが、葉の形がちがい、ヘラの形です。

ヒメコバンソウ(5月)
帰化植物で、近頃目立つようになってきました。

カモジグサ(5月)
道端( みちばた ) や畑の周辺の空き地などに良く見られます。

ニワゼキショウ(5月)
アヤメ科の花とは思えないのですが、葉を見れば分かります。

チガヤ(5月)
古くはツバナといっていました。若い穂は( あま ) みがあります。

ヘビイチゴ(5月)
名のイメ-ジから毒草のようですが、毒ではなく薬草です。

クサイチゴ(5月)
木なのですが草に見えます。おいしい実を付けます。

モミジイチゴ(5月)
黄色い実を付け、木なのでキイチゴとも言われます。

ナワシロイチゴ(5月)
6月の田植えの頃実が熟します。深赤色( しんせきしょく ) の実は甘く食べられます。

ドクダミ(5月)
畑の周辺だけではなく、いろいろな場所で見られる薬草です

ホトケノザ(5月)
このホトケノザは、春の七草の植物ではありません。

ヤブカンゾウ(5月)
若い葉は食べられます。甘みがあるので、甘草(カンゾウ)です。

ヒメヒオウギズイセン(5月)
園芸種ですが、最近あちこちに野生化しています。

ツルボ(9月)
畑周辺の土手や水田の畔道( あぜみち ) などに多く生育しています。夏から秋にかけて、土手や草原を薄紫( うすむらさき ) に飾ります。

スベリヒユ(9月)
丈夫な植物で、真夏に( ) いておいてもなかなか( ) れません。

シンテッポウユリ(9月)
テッポウユリに似ています。繁殖力が強く生育域を広げています。

コニシキソウ(8月)
畑や荒地の代表的な植物です。緑の葉に赤いすじ、2色の草です。

ツユクサ(9月)
露のようにはかなく消える花がこの名の起こりです。

キクイモ(9月)
もともとは地下のイモを 採るために栽培したものですが、野生化しています。 花弁数が少なく、8月に咲くイヌキクイモも生育しています。

ヒガンバナ(9月)
秋の彼岸( ひがん ) の頃、畑の土手などを赤く染めます。別名マンジュシャゲ。

キツネノカミソリ(8月)
畑近くの山裾( やますそ ) などに咲きます。葉の形からこの名が付いたといいます。

コヒルガオ(6月)
ピンクの花を昼間に( ) かせます。地下茎でふえます。

ベニバナボロギク(9月)
畑の周辺の空き地などに見られます。以前は野菜としていました。

カニクサ(9月)
一枚の葉がツルになっています。どのくらいまでのびるのでしょうか?

ベニシダ(5月)
若い葉は、赤みを帯びていて目立ちます。若い包膜( ほうまく ) も赤色です

イヌワラビ(9月)
どこにでも見られ、抜いても地下茎が残ると葉を出します。

ミゾシダ(5月)
畑の周辺の少し湿( しめ ) った所に生育しています。

畑地の虫

ヤマトシジミ
幼虫はカタバミなどを食べます。

ツバメシジミ
幼虫はシロツメクサなどを食べます。

ベニシジミ
幼虫はスイバなどを食べます。

アカタテハ

ヒメアカタテハ

秋には、よく日なたで休み、冬越しをします。

ツマグロヒョウモン
コスモスに来ます。

キチョウ

モンキチョウ

ツマキチョウ

モンシロチョウ
明るく開けた場所にいます。キャベツの害虫です。

スジグロシロチョウ
杉林のような暗がりにいます。ミカンのにおいがするものもいます。

チャドクガ(幼虫)

チャドクガ(成虫)

ツバキの葉でよく見かけます。刺針( さしばり ) に注意。さされるとはれてしまいます。

ホタルガ(成虫)
昼間活動するガなので、目につきます。

アメリカシロヒトリ(幼虫)

アメリカシロヒトリ(成虫)

北米から侵入した庭木の害虫です。

カノコガ
昼間活動します。幼虫は、タンポポなどを食べます。

ベニスズメ(スズメガ)の成虫

スズメガの仲間( なかま ) の幼虫

スズメガの仲間の成虫は、樹液( じゅえき ) を吸いますが、幼虫は、根菜等を傷つけて汁を吸うため、農家の人に害虫として嫌われています。
お尻にとげのようなものがある幼虫は、ほとんどがスズメガの仲間の幼虫と言えます。幼虫は「イモムシ」ともよばれています。

ナミハナアブ
ヤツデの花によく集まります。

マルハナバチ
地中に巣を作ります。

ミツバチ
日本全国で飼育されています。

オオハナアブ
キクなどの花によく来ます。

クマバチ
ヘチマの花によく来ます。

オオセイボウ
スズバチの幼虫に寄生( きせい ) します。

ハチとアブの違い

ハチは、触角が長く羽が4枚です。
アブは、複眼が大きく羽が2枚に見えます。

ホシホウジャク
朝と夕方活動します。ハチと間違( まちが ) えやすいガです。飛びながら蜜を吸います。

オオスカシバ
昼間活動します。羽を速く動かすので、粉がとれ透明( とうめい ) な羽になります。

この2種類は、ハチに似ていることで身を守るガの仲間です。

コガネグモ
黄色と黒の模様( もよう ) がはっきりしています。

ナガコガネグモ
危険を感じると( あみ ) ( はげ ) しく( ) すります。

コシロカネグモ
木や草の間に水平な( あみ ) ( ) ります。

コカマキリ
成虫は、8月頃から畑や草地で見られます。

ハラビロカマキリ(褐色型と緑色型)
木の上にすんでいることが多く、前羽の白い点がとくちょうです。

オオカマキリ

チョウセンカマキリと寄生虫(ハリガネムシ)
チョウセンカマキリのおしりに何かあるので引っ張ると、寄生虫が出てきました。

オオカマキリの卵のう
腹の先にある毛であわ立てながら卵をうむので、ふっくらしています。

ナナフシ
( おどろ ) かすと死んだふりをします。

ショウリョウバッタのオス

ショウリョウバッタのメス

ショウリョウバッタはキチキチと音を立てて 飛ぶので、きちきちバッタともいわれています。

ウリハムシ

クロウリハムシ

ウリハムシの仲間はウリの葉や花によく来ます。
ヘチマの観察をするとよく見かけます。

カネタタキ
チンチンと金属的な音で鳴きます。

マメコガネ

ヒメコガネ

成虫は花壇( かだん ) の花、葉を食べ、幼虫は土の中で根を食べます。
卵から成虫まで1~2年かかります。

センチコガネ
動物の死体や( ふん ) を処理してくれる虫です。

コアオハナムグリ
花粉や( みつ ) 、樹液などを食べます。

カナブン
サクラの葉などを食べます。

ナガメ
アブラナ科の植物の汁を( ) います。

ニジュウヤホシテントウ
黒い点が28ぐらいあります。

ナナホシテントウ
アブラムシを食べます。

ナミテントウ
2匹の背中の模様( もよう ) は変化に富み、まるで別の種類に見えますが、同じナミテントウです。

カメノコテントウ
1cmぐらいの大きな虫でクルミハムシの幼虫を食べます。

トホシテントウ
大きな黒い点が10こあります。カラスウリの葉を食べます。

クロヤマアリ
かわいた所でよく見かけるアリです。

ヒメシロコブゾウムシ
シシウド、ヤツデなどの葉をよく食べます。

コフキゾウムシ
クズなどの葉をよく食べます。

オジロアシナガゾウムシ
クズのくきに傷をつ けて卵を産みつけます。

ツマグロオオヨコバイ
カニのように横に移動します。

アワフキムシ
泡の中には幼虫がかくれてい ます。セミに近いなかまです。

ケラ
トンネルほりの名人です。ジーと低く鳴きます。

ハサミムシ
メスは卵や幼虫を守りながら行動することがあります。

鳴く虫

コラム

マツムシ
唱歌「虫の声」に歌われるようにチンチロリンと鳴きます。川原などの草原にいます。

アオマツムシ
木の上から大きな声でリィーリィーと鳴きます。コオロギ類ではめずらしく緑色です。

クビキリギス
夜にするどくジーン と続けて鳴きます。

ツユムシ
ジ・ジ・ジ・ジィと小さく鳴きます。

クツワムシ
ガシャガシャと大きな声で鳴きます。

キリギリス(メス)
オスはギーッ・チョンと昼間から鳴きます。

シブイロカヤキリモドキ
春にジーと鳴いているのはクビキリギスか、この虫です。やや低いしぶい声で鳴いています。

カンタン
鳴く虫の女王といわれます。
ルールーと鳴きます。

鳴く虫

コラム

ツヅレサセコオロギ
リーリーリーと石の下で、続けて鳴きます。

ハラオカメコオロギ
リリリリと切って鳴きます。

ミツカドコオロギ
リッリッリッと切ってするどく鳴きます。

エンマコオロギ
コロコロコロリーと美しい声で鳴きます

マダラスズ
ジーッジーッと鳴きます。体は小さいです。

スズムシ
リーンリーンと美しく鳴きます。

コメツキ

サビキコリ

この2種類は、ひっくり返すとはね上がります。

フタモンアシナガバチ

セグロアシナガバチ

キアシナガバチ

スズバチ

コンボウヤセバチ

これらのハチは、チョウやガの幼虫や他の虫などを( えさ ) としています。

イラガの幼虫
さわると( いた ) いです。冬見られるまゆはつぼの形をしています。

スズメバチの巣
剌される場所によっては、人間でも死ぬことがあるので、いたずらをしないようにしましょう。

畑地の鳥

 果樹園などでは、秋から冬にかけて、特にミカンやカキの実を食べにメジロ、ヒヨドリ、ツグミ、ムクドリ、などがやって来ます。
 また、ツグミやアカハラが地上にいる小動物を探して落ち葉を引っくり返しながら歩いている姿も見ることができます。

キジ<留鳥>
日本の国鳥です。顔は赤く、胸から腹にかけては緑色をしています。翼は短く、尾がとても長いです。ケーン、ケーンと大きな声で鳴きます。

チョウゲンボウ<留鳥>
( つばさ ) は細長く尾も長めです。背中は茶色く体の下側に黒い( はん ) があります。ヒラヒラと( ) うように飛んだり、空中の一ヶ所で止まったりします。

コジュケイ<留鳥>
茶色い体に黒い斑点( はんてん ) 、顔から( のど ) は赤茶色。竹ヤブや下草の中でピューと強く大きく、またチョットコイ・チョットコイとも鳴きます。家族でいるのも見られます。

ヒヨドリ<留鳥>
全身灰色で尾が長く、( くちばし ) 細長く黒色。ピーピーまたはピーヨピーヨと強く大きい声で鳴きます。 波型に飛び、秋から冬にかけて大きな群れで移動や渡りをします。 庭の木の実を食べに、よくやってきます。

モズ<留鳥>
頭は茶色で( つばさ ) や尾は黒色。( くちばし ) は太く( するど ) ( かぎ ) 形。眼の横に黒い線があります。( くい ) の上や木の( こずえ ) で尾を回してキィーキィーと鋭く鳴きます。トカゲやバッタなどを枝やバラ線に( ) す「はやにえ」をつくるという習性があります。

ジョウビタキ<留鳥>
灰色の頭に黒い背中、お腹はオレンジ色。( つばさ ) には白斑があります。( なわ ) ( ) り性が強く、アンテナや電線・木の梢などに止まります。ヒッヒッヒッと高い声やカッカッカッという声も出します。

シロハラ<留鳥>
ツグミと同じくらいの大きさですが、あまり明るいところには出てきません。ガサッゴソッと大きな音を立てながら落ち葉をはねのけ、ミミズや昆虫を探します。名前の通り、腹が白っぽいです。

ツグミ<留鳥>
頭から背中は茶色く、目の上には白い線があり、胸から腹には黒い斑点( はんてん ) があります。地上を歩いてミミズなどを捕りますが、柿の実なども食べます。

メジロ<留鳥>
全身明るい黄緑色の体の小さい鳥。目の周りには白い輪があります。花の( みつ ) や果実も食べます。チーチー、チュルチュルチュルと高い声で複雑に鳴きます。

ムクドリ<留鳥>
全身が黒っぽい灰色で顔が白く( くちばし ) ( あし ) はオレンジ色です。キュルキュル、リャーリャー、ジャージャーなどと鳴き、夏の終わりから冬には大群を作り( ねぐら ) をとったりします。

1枚の羽根から

コラム

 道ばたで鳥の羽根を( ひろ ) うことがあります。1枚の羽根から持ち主を想像してみましょう。この羽根は( じく ) の左右の幅が大分違います。 これは( つばさ ) の先端近くにある初列風切羽根( しょれつかぜきりばね ) といって、鳥が飛ぶ時に前進するための部分です。全体的にオレンジ色っぽい色をしていて、一部が濃い茶色になっています。羽根の長さは70mmありました。
 この羽根の持ち主はジョウビタキで、体の大きさはおよそ140mmになります。羽根を拾った季節や環境、模様や羽根の長さから予想できる体の大きさなどをヒントに、持ち主を想像してみましょう。

市街地の自然

市街地の自然ガイド

小田原駅西口

 人々がたくさん住んでいる市街地や住宅地でも、空き地や街路樹の根元などに自然を見ることができます。また、人間の住む所を生活の場とする虫や鳥もたくさん観察できます。

市街地の自然ガイド

市街地の植物

街路樹の下や道ぞいの花壇( かだん ) の中、歩道のコンクリートのすき間など、ちよっとした場所にも植物は、精一杯生育しています。また、ここでは帰化植物も多く見ることができます

カタバミ(4月)
種子をはじき飛ばすのでよく増え、葉が紫色なのは、アカカタバミです。

ツメクサ(4~8月)
少しでも土があれば生えてきます。葉の形が名前の由来になっています。

ヒメムカシヨモギ(9月)
どこにでも生える北アメリカ産の帰化植物です。

イノモトソウ(5月)
井戸の近くに生えるので、( ) 許草( もとそう ) の名があります。石垣の間や生け垣の周辺に見ることができます。

ハキダメギク(9月)
ゴミがたまるような肥料分の多い所や花壇などに多く見られます。

ワルナスビ(6月)
ナスによく似た植物で、多くのトゲを持っています。

クルマバザクロソウ(9月)
葉が車輪のようなつき方をしている帰化植物です。

エノコログサ(9月)
少しでも余地( よち ) があると生え、道路の舗装( ほそう ) の割れ目まで進出します。

ウラジロチチコグサ(4~7月)
花の色が茶色をおびています。 葉のうらが綿毛で白く見えます。

ヒメスミレ(4月)
コンクリートのすき間に根をはり、紫色の花を咲かせます。

市街地の虫

クロゴキブリ
家の中でよく見かけるゴキブリです。

ヤマトゴキブリ
家の中だけでなく、樹皮の下にもいます。

チャバネゴキブリ
家の中など暖かい所にいます。

ニクバエ

キンバエ

この2種類のハエの幼虫は、動物の死体やふんから発生します。

アオバハゴロモの成虫

幼虫

さわろうとすると、枝の後ろににげます。ハトともよばれます。幼虫は白い物におおわれています。

ヒトスジシマカ
薄暗( うすぐら ) いところで、昼間活動し、人の血を吸います。

ユスリカ
オスは、メスを呼ぶために蚊柱( かばしら ) をたてます。このカは人の血は( ) いません。幼虫は、水中の( どろ ) に住む赤虫( あかむし ) です。

アシダカグモ
ゴキブリ等を捕えます。

クモを捕らえたツマアカクモバチ
ツマアカクモバチの幼虫のえさにします。

オオヒメグモ
人間の住めるところなら、どこにでもいるクモです。

ヒラタグモ
円盤( えんばん ) 状の住居を作り、そこからのびる糸にふれた虫を( ) らえます。

コクサグモの幼体
( たな ) のようなあみをはり、その入り口で獲物( えもの ) を待ちます。

ガガンボの一種キリウジガガンボ
( つか ) まえるとすぐ足がとれます。

カマドウマの一種クラズミウマ
ミミズの死体を食べています。ジャンプする力があります。

ニワハンミョウ
素早( すばや ) い動きをします。

ハンミョウ
ミチオシエともいわれます。

キベリアオゴミムシ
しめった場所に住みます。

セアカゴミムシ

死んだミミズを食べるオオヒラタシデムシの幼虫と成虫

オオゴミムシ

ゴミムシと名前は悪いのですが、動物の死体を処理してくれるうえに、死体にわくハエの幼虫(ウジ)も食べてくれます。

ジグモの巣

ジグモ

巣の上に止まったり、歩いたりする虫を、巣の中からかみついてとらえます。

シオカラトンボ
メスは、ムギワラトンボと呼ばれます。よく見られます。

オオシオカラトンボ(オス)

オオシオカラトンボ(メス)

市街地でも、池を作るとやってきます。シオカラトンボよりも色が濃いです。

ショウジョウトンボ
成熟( せいじゅく ) したオスは、体が真っ赤になります。

コシアキトンボ
( こし ) のところがあいているように見えます。

ウスバキトンボ
夏に、群れで飛んでいます。

目がへこんでいる。

ギンヤンマ

羽が曲がっている。

ネキトンボ

 学校のプールにも、秋から夏までの間に落ち葉や( あし ) などを入れておくと、( めずら ) しいトンボが発生します。
 しかし、ヤゴからトンボになるときに条件が悪いと目がへこんだり羽が曲がったりすることがあります。

オオミズアオ
サクラの木にいます。

ヤママユ

クスサン

 幼虫は、コナラなどの葉を食べて育ちます。
この2種はカイコの仲間で、丈夫な糸がとれます。

成虫

幼虫

フクラスズメ

幼虫はしげきすると、首をふったり青い( しる ) をはいたりします。

成虫

幼虫

セスジスズメ

幼虫は、ヤブカラシ、ホウセンカ、サトイモなどを食べます。

ユウマダラエダシャク
尺取虫の成虫。ふわふわ飛びます。

フタスジヒトリ
ヒトリは「火取り」の意味です。

 これらのガは、夜、人家の灯りに集まってきます。

市街地の鳥

町中や住宅街ではツバメの仲間、スズメ、カラスなど人間にとって身近な鳥が見られます。特にカラスは人間の出すゴミを( えさ ) として食べるようになってきているため、いままで以上にいっそう人間との距離が近くなり、人間生活の中にうまく入り込んできています。

キジバト<留鳥>
( つばさ ) に赤茶色のうろこ模様があります。庭の木にも巣を作り、一年間繁殖( はんしょく ) することができます。電線やアンテナによくとまって、「デ デーポォポォ」と繰り返し鳴きます。

アオバズク<夏鳥>
ハトぐらいの大きさのフクロウの仲間です。神社やお寺の、大きな木の穴を巣として利用し、夏の夜にホッホッと二声ずつ鳴きます。青葉の( ) える5月ごろから見られます。

ヒメアマツバメ<留鳥>
全身が黒く( のど ) と腰が白。( つばさ ) は細長く、飛んでいる時には三日月形に見えます。上空高く、群れで飛び、日中はほとんど空中で生活しています。

ツバメ<夏鳥>
( ひたい ) ( のど ) は赤く、頭から尾にかけては光沢( こうたく ) のある黒い色をしています。飛び回りながら、空中にいる虫を捕らえます。民家の軒先( のきさき ) など人が住むにぎやかな所に巣を作ります。

コシアカツバメ<夏鳥>
腰がオレンジ色で、胸や腹には黒い班があります。ツバメより尾の切れ込みが深いので、尾が長く見えます。ツバメよりもひらひらとした飛び方をすることがあります。

イワツバメ<夏鳥>
頭から尾にかけては黒く光沢( こうたく ) がありますが、腰と腹側は白です。尾はツバメに比べて短く、切れ込みはありません。本来は山や海岸の( がけ ) に集団で巣を作りますが、都市の建造物などにも巣を作るようになってきました。

スズメ<留鳥>
( のど ) ( ほほ ) に黒い斑があります。建物のすき間に、わらやひもなどを材料に巣を作ります。大きさを覚えておくと、他の鳥を見分ける時の参考になります。

ハシブトガラス<留鳥>
ハシボソガラスよりもひと回り大きく、( くちばし ) もがっちりと太いです。鳴き声はカァーカァーまたはアーアーと( にご ) りません。集団で( ねぐら ) をとることが多いです。

留鳥・夏鳥・冬鳥・旅鳥

コラム

 鳥の名前の後ろにある留鳥・夏鳥といった表示について説明します。

留鳥:日本のその地域で1年中見られる鳥。
夏鳥:春に南から日本に渡ってきて繁殖( はんしょく ) し、秋になると南の国に渡って行く鳥。
冬鳥:春から夏にかけては北の国で繁殖し、秋になると日本に渡って来て冬を過ごす鳥。
旅鳥:日本より北の国で繁殖し、南の国で冬を過ごす鳥で、日本には春と秋に立ち寄る鳥。

ツバメの巣について

コラム

ツバメの巣は種類によって、それぞれ特徴的な形をしています。

ツバメ
おわん型で、人家や商店街、ガソリンスタンドのライトの上などに作ります。

イワツバメ
橋の裏側や、コンクリートの建物の屋根のようになった部分に作ります。

コシアカツバメ
コンクリートの高い建物などに、とっくり形の巣を作ります。

ヒメアマツバメ
自作の巣は空中に浮いている羽毛やワラを固めて作ります。

市街地の鳥【ツバメ】2021

都市化した鳥たち

コラム

野鳥の中には人間社会に適応し、都市の中に入り込んで私達人間のすぐ身近で生活しているものがいます。

ドバト<留鳥>
お城・公園、寺・神社、畑・河原と、どこでも群れになってたくさんいるのが見られます。

コゲラ<留鳥>
一番小さいキツツキの仲間です。最近では町中の街路樹でも繁殖( はんしょく ) するようになってきています。

ムクドリ<留鳥>
人家の雨戸の戸袋に巣を作ることもします。また、夏の終わり頃から大きな群れを作って飛び回ったり、電線や鉄塔にとまったりします。

ハシブトガラス<留鳥>
町の中では最強の鳥。学習する力が高く、ゴミの集積( しゅうせき ) 場所や屋外のゴミ箱で食べ物をあさる姿をよく見かけます。

丘陸の自然観察

丘陵の自然観察ガイド

久野丘陵

 小田原の西部は、箱根外輪山から続く丘が広がり、東部の曽我丘陵にはなだらかな丘が続いています。人工林やミカン畑等の合間の谷筋( たにすじ ) や林には、豊かな自然があふれています。

丘陵の自然観察ガイド

丘陵の自然観察ガイドマップ

 箱根外輪山( がいりんざん ) の東斜面( しゃめん ) にあたる久野地域は、丘陵( きょうりゅう ) の自然を観察するには大変よい所です。そこにある公園などの施設を活用し小田原の豊かな自然を満喫( まんきつ ) しましょう。

丘陵の自然の観察【夏の虫】2021

丘陵の自然観察ガイドマップ
行き帰り バス停「いこいの森」利用
注意   草むらが多いので服装をしっかり整えましょう。

雑木林の自然

雑木林の自然ガイド

いこいの森

 小田原東部の丘陵や西部山地の山( すそ ) には、スギ・ヒノキの人工林の間にクヌギやコナラの植えられた雑木林が点在しています。近頃そこは、下草刈をしていないところが増え、自然観察には良い場所となっています。

雑木林の自然ガイド

雑木林の植物

 雑木林は、クヌギやコナラ、イヌシデが多い。かつてこれらの落ち葉は堆肥( たいひ ) として、また材はまき炭、シイタケの原木として利用されてきました。最近はその利用も少なくなり、杉やヒノキの植林地と変わっていき、それにともない雑木林の植物の種類も少なくなってきました。

クロモジ(4月)
早春に花を咲かせます。樹皮( じゅひ ) によい香りがあるので、上質のつまようじの材料に用います。

ヤブレガサ(4月)
芽の出たてのころは、すぼめた( かさ ) が林のあちこちに立っているように見えます。でもそれは、やぶれた傘です。

イノデ(4月)
芽の出たての様子がイノシシの手のように見えるところからこの名がつきました。イノデの仲間には多くの種類があります。

キブシ(4月)
早春の訪れをつげる花。雌雄異株( しゆういしゅ ) です。タンニンの原料フシの代用にするところから、木ぶしと名づけられました。

シバヤナギ(4月)
富士箱根火山帯に固有( こゆう ) な植物のーつです。フォッサマグナ地域の植物で崖地( がけち ) に多く見られます。

ヤマザクラ(4月)
赤かっ色の葉と、同時にうすい紅色の花を咲かせ、ひときわ目立ち、春の訪れをつげます。

ゼンマイ(4月)

ワラビ(4月)

どちらもシダ植物で、春の山菜の代表的な種類です。ワラビは日当たりのよい草地に、ゼンマイは林の中のやや日かげに、主に生育します。

シュンラン(4月)
( しゅん ) らんの意味で、明るい林の中に見られ、花の中の赤紫色の斑点( はんてん ) が多く見られることからホクロともいいます。

イチリンソウ(4月)
かつてはどこの雑木林にも見られました。しかし、今ではまれにしか見られません。葉のうえに一輪の花を咲かせます。

コケリンドウ(4月)

フデリンドウ(4月)

春の日だまりに咲くリンドウですが、背丈は数センチメートルで、目につきにくいです。花は青く、星のようにかがやいています。

ナツトウダイ(4月)
赤みがかった芽だちから燈台( とうだい ) 連想( れんそう ) できません。この燈台は、むかし明かりに使った燈架( とうか ) のことです。

コバノタツナミ(4月)
ビロードタツナミソウともいい、一方向に立ち並ぶ花のようすから、押し寄せる波がしらに見たてて、名づけられました。

シロバナハンショウヅル(5月)
林の周辺の木にからみつき、花が火の見やぐらの半鐘( はんしょう ) に似るところから名付けられました。園芸種のクレマチスと同じ科です。

ホウチャクソウ(5月)
白く下を向いて咲く花の姿を寺の五重塔( ごじゅうのとう ) ののき下にさがっている風鈴に似た宝鐸( ほうちゃく ) に見立て名付けられました。

シャガ(5月)
湿った杉林に、大群落を作っていることがあります。緑の葉の上に群れて咲く花は、まるで天の川の星を見るようです。

ヤマツツジ(5月)
新緑の中にひときわ赤い花はよく目立ちます。花の色は個体によって( ) ( うす ) いの変化があります。

エゴノキ(5月)
下向きに白い花を咲かせ、果皮( かひ ) はえぐいのでこの名があります。

スイカズラ(5月)
よい香りをはなつこの花には、( みつ ) があって、子どもが蜜を吸って遊ぶことからこの名があり、花は白からやがて黄色に変わります。

テイカカズラ(5月)
風車( ふうしゃ ) のような花からはよい香りがただよいます。名前は藤原定家( ふじわらていか ) 由来( ゆらい ) します。

クサボタン(9月)
葉がボタンの葉に似ているのでこの名があり、花は紫色です。

コシオガマ(10月)
秋に紅紫色の花を咲かせる半寄生( はんきせい ) の植物です。

センニンソウ(9月)
夏から秋にかけて白い花を咲かせます。仙人( せんにん ) 草と書き、果実の白い毛から名づけられたものでしょうか。

イラクサ(9月)
葉や茎には、トゲのような毛が生えていて、( ) さるととても痛く、その( いた ) さはしばらく続きます。

ウバユリ(7月)
夏にテッポウユリを思わせる花を咲かせます。花の咲くころには、葉がかれて落ちてしまうことから、葉を歯になぞらえ、歯のない( うば ) にたとえて名付けられました。

ヤクシソウ(10月)
日あたりの良い道ばたや土手に多く見られ、薬師( やくし ) 草と書きます。

アキノキリンソウ(10月)
日あたりのよい場所を好み、 黄色い小さな花をたくさんつけます。

タムラソウ(9月)
草原によく生育します。ちょっと見るとアザミに似ていますが、葉にとげはありません。

ミツバアケビ(10月)
一枚の葉が三つの小葉にわかれるアケビの意味で、5つにわかれるのがアケビです。両者の雑種がゴヨウアケビです。

カラスウリ(12月)
赤く熟した果実の種子はカマキリの頭や大黒天( だいこくてん ) 想像( そうぞう ) する形をしています。花は夏の夕方、見ている間に開花します。

キカラスウリ(12月)
黄色いカラスウリの意味で、根からとったデンプンを天瓜粉( てんかふん ) といいます。この仲間は、雌雄異株( しゆういしゅ ) です。

サルトリイバラ(10月)
紅色の実は美しく、生け花に使われるほどです。ツルにとげがあり、サルもひっかかってしまいそうです。

ガマズミ(10月)
ヨウゾメ、ヨトズミなどと呼ぶこともあります。十五夜にススキとともに( そな ) えます。

ヌルデ(9月)

ハゼノキ(12月)

ともにウルシ科の樹木です。皮膚( ひふ ) の弱い人は、この樹の汁でかぶれることがあります。ヌルデの葉には( よく ) があるのですぐわかります。ハゼノキは、小田原付近で紅葉する木の代表格です。

ホラシノブ(12月)
( ほら ) しのぶの意味で、( がけ ) 斜面( しゃめん ) に好んで生え、冬の寒さにあうと、赤変して美しくなります。

シシガシラ(12月)
放射状に出た葉を、獅子( しし ) のたてがみにたとえた名前です。胞子をつける葉が中央に出ます。

フユノハナワラビ(12月)

オオハナワラビ(12月)

ともにシダ植物です。形は普通のシダとは( こと ) なり、胞子( ほうし ) のみをつける葉と、栄養分を作るための葉とに別れています。オオハナワラビは、葉のふちにとがったきょ歯があり、区別は容易( ようい ) です。

イズセンリョウ(3月)
暖地( だんち ) の木かげに生え、小田原 付近ではまれな樹木です。 伊豆から西には多く生育しま す。

ヤドリギ(1月)
ケヤキやエノキに寄生( きせい ) します。木々の葉が落ちた冬が観察のよい時期です。まれに実の赤いアカミノヤドリギがあります。

オオバヤドリギ(1月)
どんな木にも寄生してしまうようです。小田原はこの植物の北限に近く、小田原高校の森ではよく観察できます。

ドングリの話

コラム

アラカシ

ドングリは、今では、シイやカシの仲間の実をまとめた言い方で、代表的なのは、丸くて大きいクヌギのドングリです。小田原高校から城山公園にかけては、ほとんどのドングリが観察できます。この実から、コマややじろべえを作ります。シイの実は、食べることもできます。

シラカシ

イチイガシ

ドングリの種類

1.クヌギ
2.コナラ
3.スダジイ
4.マテバシイ
5.アラカシ
6.シラカシ
7.ウラジロガシ
8.イチイガシ

人間と自然 -自然を守る-

コラム

 私たち日本人は、野山に咲く花を愛し、それを生活の中に取り込んでいました。また、軽やかに舞うチョウに春を喜び、木で鳴くセミの声に暑さを( しの ) び、青い空に飛ぶ赤トンボに秋の訪れを感じていました。そして、暗闇で明滅する淡いホタルの光に寄せる思いには深いものを持っていますし、野山を飛ぶ鳥に生きる喜びや未来の夢をたくし、地域に育つ大木に不思議な力を感じみんなで大切にしてきました。 このように、自然と一緒になって生き、嫌な生き物も含めて「なかま」として自然の命を大切にしてきたのが日本人なのです。
 しかし、今や人々の暮らしや文化が変わり、環境の汚染やコンクリート化が進み、周りから生き物達の姿が消えつつあり、自然の中で舞うチョウやトンボやホタルを見ることはだんだん夢のようになってしまいました。 小田原の豊かな自然の姿は地域にすむ長老の話の中でしか感じることができなくなってしまっているように思います。
 近年、このまま自然環境を変え続けると人間そのものが地球上で生き続けられなくなるのではないかということが分かり、あちらこちらで自然や緑を守るいろいろな取り組みが行われるようになってきました。
 小田原市でもビオトープ(生き物のいる場所)を造ったり、生き物が住める用水路の改修や自然公園を建設したりしています。また、地域の方々が河川の清掃活動して下さっていますし、落ち葉や生ゴミの再利用などが行われています。
 色々な生き物がすんでいる自然豊かなきれいな場所は、私たち人間にとっても大切なところなのです。

おだわら諏訪の原公園

雑木林の虫

雑木林 昼のパーティ

雑木林 夜のパーティ

 樹液を出す木には、虫が多く集まります。昼でも、夜でも、常にお客でいっぱいです。カブトムシ、クワガタムシを観察するときには、スズメバチに注意しましょう。
 ふだんは、木の皮のように見せかけるガも、派手な下の羽を見せながら、樹液争いに加わっています。

キシタバ
木の皮のようなガ。下の羽が特徴です。

コロギス
木の上に住んでいます。後足で葉をたたきます。

オニスズメバチ
日本のハチでは最大種です。

ベニスズメバチ
夜、活動するガの仲間です。

カブトムシ(オス)

カブトムシ(メス)

夜間に活動し、樹液や果物に集まります。水銀灯の下にも集まります。

ミヤマクワガタ(オス)

ミヤマクワガタ(メス)

クヌギ、コナラなどの樹液に集まります。成虫になるまで、約4年もかかります。

ノコギリクワガタ
クヌギ、コナラなどの 樹液に集まります。大きさに差があります。

コクワガタ(オス)

コクワガタ(メス)

クヌギ、コナラの樹液に集まります。冬( ) しもするので、大切に飼ってみましょう。

ヒラタクワガタ
クヌギ、ミカンなどの樹液に集まります。

アブラゼミの羽化

アブラゼミの成虫
ジジジと鳴きます。

アブラゼミの交尾

ニイニイゼミ
夏のはじめからチーチーとよく鳴きます。

クマゼミ
街中にも増えました。シャーシャー鳴きます。

ツクツクボウシ
夏の終わりにツクツクホウシーと鳴きます。

ヒグラシ
杉林などで、朝方と夕方カナカナ鳴きます。

ミンミンゼミ
8月頃ミーンミーンと鳴きます。

オサムシの一種
夜間活動し、ミミズなどを食べます。

マイマイカブリ
夜間活動し、カタツムリなどを食べます。

ミヤマフキバッタ
下草や低い木の葉の上にいます。

アカハナカミキリ
林内をよく飛び回ります。

ウバタマムシ
松の木の近くで身をかくしています。

タマムシ
エノキの近くで時々見かけます。

ジョロウグモ
大きいのはメスで、はり金のようなのがオスです。

ヤマシロオニグモ
夏の山道に巣をはっていることが多く見られます。

ザトウムシ
クモの仲間( なかま ) のように見えますが、ダニの仲間です。

ヒメウラナミジャノメ
林の周りやススキの間を低く飛びます。

ヒメジャノメ
明るい林の周りをはねるように飛びます。

コジャノメ
暗い林の中をはねるように飛びます。

クロヒカゲ
ササ類の多い林を夕方飛び回ります。

サトキマダラヒカゲ
メダケ類の多い林にいます。

クロコノマチョウ
南の地方のチョウですが、このごろ小田原でも見かけます。

 上の6種は、暗い色をしていますが、チョウの仲間です。ガとチョウの見分け方は難しいのですが、次のようなポイントで見分けると良いでしょう。

(1)チョウは、体が細長く、毛は、あまり生えていない。
(2)触角の先にふくらみがあるものは、チョウが多い。
(3)幼虫から成虫に変わるとき、さなぎを作るのはチョウに多い。ガは、まゆを作るか、土の中でさなぎになるものが多い。
(4)チョウは、めったに夜とばない。(昼とぶガはいる)

コミスジ
3本のすじがきれいなチョウです。

キタテハ(夏型)
夏型は、樹液を好みます。

キタテハ(秋型)
秋型は、花のミツを好みます。

ルリタテハ(ビニールの上)
なわばりをつくり直線的に飛びます。

ゴマダラチョウ
樹液に集まり、花にはあまり来ません。

サカハチチョウ
さかさの「ハ」の字が特徴( とくちょう ) です。

ウラギンシジミ
オスは、オレンジ色。メスは、青白色のはねをしています。直線的に飛びます。

ムラサキシジミ
表のはねは、きれいな( むらさき ) 色をしています。

ヨツスジトラカミキリ
ハチにそっくりなカミキリムシ。葉の上にいることが多い。

ルリボシカミキリ
青色の美しいカミキリムシ。くさった木などいることが多い。

ミヤマカミキリ
大きなカミキリムシです。樹液にやってきます。つかむとギーギー鳴きます。

ベニカミキリ
クリやネギなどの花に集まります。幼虫はタケを食べます。

ラミーカミキリ
帰化昆虫です。カラムシ(ラミー)、ムクゲに集まります。

ジョウカイボン
この仲間はほかの虫をつかまえて食べます。体が柔らかい甲虫です。

オオホシカメムシ
人の顔に見えます。アカメガシワや灯火に集まります。

トゲナナフシ
かれた枝にそっくりです。秋になると雑木林で目立ちます。

アオカミキリ
金属的な緑色のきれいなカミキリムシ。色々な花に集まります。

最近よく見かけるようになった植物

コラム

ペラペラヨメナ
石垣の石のすきまに根をはり、一年中花を咲かせています。

アカバナユウゲショウ
道端や荒地で小さな赤い花を咲かせる、マツヨイグサのなかまです。

ナガミヒナゲシ
初夏のころ、うめ立てをした造成地や道ばたに 咲いています。ポピーと同じケシ科の植物です。

イヌホウズキ
ナス科の植物。黒く熟す実がホオズキに似てるとか。

チチコグサ
ホオコグサ(ハハコグサ)と比べて色が地味です。エーデルワイスに近い仲間の草です。

ムラサキハナナ
春早く土手等で群れて咲いています。オオアラセイトウともいわれています。

ビオトープづくり 学校編

コラム

身近かに自然を取り戻そうとする取り組みがビオトープ(生き物のいる場所)づくりです

(1)報徳小学校のビオトーブ(報徳ランド・報徳の池)

 平成5年中庭に井戸を掘り、水の流れや池を造 りました。池や周辺には水生植物や地域の草木を植え、酒匂川水系のメダカを放流しました。ゲンゴロウの仲間なども見られるようになってきました。

報徳小学校のビオトーブ(報徳ランド・報徳の池)
(2)千代小学校のビオトーブ(ほたる田)

 平成6年学校の裏にあった休耕田と井戸を借用し、流れや池を造りました。周辺は、自然状態を保つようにし、歩く所には木道を造りました。一部は実習用の水田や畑にしています。

千代小学校のビオトーブ(ほたる田)
(3)下曽我小学校のビオトーブ(自然ランド)

 平成17年にプール横の市営住宅跡地に子どもの思いを生かした自然ランドをつくりました。古井戸を改修し、その水を流して小川や池をつくり、木を植えて生き物の来る場所にしました。クロスジギンヤンマが羽化し、放流したホタルも飛び始めました。

下曽我小学校のビオトーブ(自然ランド)

雑木林の鳥

クヌギ林に代表される雑木林では、秋から冬になり落葉すると林の中の見通しもよくなり、シジュウカラ、エナガ、コゲラなどが、一緒に( えさ ) ( さが ) して移動する姿なども見られます。また、カシラダカやイカル、シメなども見かけることがあります。

ルリビタキ<冬鳥>
オスの背中は明るいブルーで脇はオレンジ色をしています。( くちばし ) は黒色で細く、( あし ) も黒色で細長いです。地面に降りて餌も捕りますが、樹上で木の実も食べます。

ウグイス<留鳥>
体全体は暗い緑色をしています。 ホーホケキョウと鳴くのは有名ですが、冬にはヤブや垣根の中でチャッチャッと鳴いています。

エナガ<留鳥>
背中から尾は黒く、頭から腹にかけては白いです。尾がひしゃくの( ) のように長くジュリッジュリと鳴きます。冬は色々な鳥と一緒に餌を求めて移動します。

シジュウカラ<留鳥>
( のど ) から腹にかけてはネクタイのような黒い線があります。ツツピー、ツツピーと鳴き、地上でも餌を捕ります。巣箱もよく利用します。

ヤマガラ<留鳥>
顔はクリーム色で、( のど ) は三角に黒く、胸から腹はオレンジ色です。ニーニーと鼻にかかったような声で鳴いたり、ツツピーン、ツツピーンとゆっくり鳴きます。

ホオジロ<留鳥>
目を通る線は黒く、その上下が白いです。繁殖期( はんしょくき ) には木の( こずえ ) などで鳴きますが、冬には明るい草原や下草の中でチチッ、チチッと鳴きます。ホオジロのさえずりは、「札幌ラーメン味噌ラーメン」など、様々な聞きなしがされています。

カシラダカ<冬鳥>
ホオジロに似ていますが、頭の毛が立っていることと、お腹が白いことで区別できます。冬には群れでいることが多いです。地上で草の実を探して食べます。

カワラヒワ<留鳥>
全身が緑色がかった茶色で、飛ぶと( つばさ ) に黄色い帯が見えます。木の上やアンテナの上で、強くビィーンと鳴いたり、キリキリ、コロコロと飛びながら鳴いたりします。

ウソ<冬鳥>
頭や( つばさ ) ・尾が黒く、背中は青色。( くちばし ) は太くて短く、( ほほ ) が赤いです。フィーッ、フィーッと口笛を吹くように鳴き、春先には桜のつぼみなどを食べにやってきます。

シメ<冬鳥>
頭が大きく、全身がずんぐりしています。太くてがっしりした( くちばし ) で、プチッ、プチッまたはチチッと鳴き、大きな波型を描いて飛びます。

イカル<留鳥>
黄色くて太いくちばしと長めの紺色の尾が目立ちます。( かた ) い木の実を好んで食べ、コーキーコ・キィーとよく通る声で鳴きます。波形に飛びます。

トラツグミ<冬鳥>
体は茶色に黒の横しまや三日月のしまがあります。平地から山地の比較的暗い林で見られます。落ち葉をくちばしでめくって、えさをさがしたりします。夜に「ヒー、ヒョー」と口笛のような声でさえずります。

オナガ<留鳥>
名前の通りに尾の長い鳥です。頭は帽子をかぶっているように黒く、( つばさ ) と尾は空色です。ギューイギューイと濁った声で強く、大きく鳴きます。

特定外来生物(外来種)の話

コラム

ソウシチョウ

ガビチョウ

 きれいな声で鳴き、姿も美しいのですが、彼らはもともと日本にいた野鳥ではありません。人為( じんい ) 的に日本に持ち込まれ、野生化したもので、特定外来生物に指定されています。彼らの繁殖( はんしょく ) が増え続けると、日本で生息域( せいそくいき ) が重なるウグイスやツグミ類などへの影響が心配されています。

ミカン畑の自然

ミカン畑の自然ガイド

早川のミカン畑

 小田原の丘陵の多くはミカン畑として利用されています。そこでは、( ) め池や周辺の雑木林を利用した生き物がたくさん観察できます。作物を( いた ) めたり、農作業のじゃまをしないように気をつけて、自然観察を楽しみましょう。

ミカン畑の自然ガイド

ミカン畑の虫

ゴマダラカミキリ
日中よく飛び、ミカン、バラ類をかじります。

ノコギリカミキリ
後ろあしと羽をこすって音を出します。

ミヤマカミキリの仲間ウスバカミキリ
夜間活動します。

 鋭いあごを持ち、髪の毛を切ることができることから、カミキリムシと呼ばれます。でも、いじわるしなければ、まずかまれることはありません。
 ゴマダラカミキリは、ミカンの木に大きな被害を与えるため、ミカン農家が子ども達に駆除を手伝ってもらった時期もあったそうです。

シロスジカミキリ

チョウガタシロカネグモ
水平に円い網をつくります。

ヤブヤンマ
やぶを好み、なわばりをもちます。

カトリヤンマ
夕方カをねらって飛びます。

ミカン畑のため池で幼虫が育つようです。

成虫

幼虫

アゲハ(ナミアゲハ)

成虫

幼虫

キアゲハ

春型は、夏型に比べて小さいです。キアゲハの方が色が( ) いです。

モンキアゲハ
捕まえた時の手ごたえが大きいチョウです。

オナガアゲハ
夏型は、暗い所を好みます。

クロアゲハ
赤い色の花によくみつを吸いに来ます。

アゲハの仲間を紹介しましたが、この中で、ミカンの葉を食べて育っているのは、アゲハ、モンキアゲハ、クロアゲハなどです。

カラスアゲハ

アオスジアゲハ
素早く飛ぶので、写真を( ) るなら、水を飲んでいるときが一番です。

アケビコノハ(幼虫と成虫)
木の葉そっくりのガになります。幼虫の目玉模様がユニークです。

ジャコウアゲハ(幼虫)

ジャコウアゲハ(成虫)

毒草であるウマノスズクサを食べて育つため、鳥におそわれにくい。

ナガサキアゲハ
最近、小田原で見かけるようになりました。ミカン畑で飛んいるのをよく見かけます。

アゲハモドキ
ジャコウアゲハにそっくりですが、ガのなかまです。

イタドリハムシ
イタドリやスイバ、ギシギシの葉を食べます。

オオトビサシガメ
大きなサシガメです。小さな虫を捕らえて体液を吸います。

オオハキリバチ
松ヤニを集めて、竹筒の中に幼虫を育てる部屋を作ります。

カツオゾウムシ
赤色の粉は落ちやすく黒くなります。イタドリの葉を食べます。

キバラヘリカメムシ
マユミやニシキギの汁を吸います。

トウキョウヒメハンミョウ
近づくとよく飛び、ハエのように見えます。

キクスイカミキリ
胸の赤い紋が特徴。ヨモギやキクの茎をかじります。

清流の自然

清流の自然ガイド

 小田原の丘陵には、きれいな水の流れているところがたくさんあります。そこには多様な生命が育まれていますので、自然観察には最も適した場所になります。

久野川上流

白糸川の上流

清流の虫や生き物

オニヤンマの産卵
水中に腹をさし込み、水底に卵をうみます。

ヒゲナガカワトビケラ
水中でくらしていた幼虫が羽化したもの。

オオヤマトンボ
金属的な緑色の模様がオニヤンマと違います。

ミルンヤンマ
山地の小さな沢に発生し、昼間は、こずえにぶら下がっています。

モンカゲロウ(成虫は亜成虫)
亜成虫の後にもう一度皮を( ) いで本当の成虫になります。幼虫はエラが大きく、口部がとがっています。

成虫

幼虫

へビトンボ
 つかむと頭をひねってかみつきます。気をつけましょう。

ツノトンボ
触角( しょっかく ) が長いのが、特徴( とくちょう ) です。トンボと間違えないでください。

成虫

幼虫

ウスバカゲロウ
幼虫(アリジゴク)は、神社などの( かわ ) いた地面にいます。

ゲンジボタル(メス)

ヘイケボタル

ヒメボタル

これらのホタルは、卵、幼虫、さなぎ、成虫のすべてが光ります。光るのは、オスとメスとの交信のためと考えられています。

カワトンボ
地域によって、羽のもようや胸の色が違うと考えられています。

ミヤマカワトンボ
褐色( かっしょく ) の羽の色と金属的な体の色が渓流を飛ぶときれいです。

ハグロトンボ(幼虫)

ハグロトンボ(成虫)

酒匂川の中流にもいました。左の写真は幼虫が羽化のため、木にのぼったところです。

オオアオイトトンボ
薄暗い所に多く、植物の中に産卵します。

トンボのオス・メスの見分け方

メスには、腹の先に生殖器が有り、オスには、腹のつけ根に副生殖器が有ります。

イトトンボの交尾

ナミウズムシ(プラナリア)
渓流の石の裏側で生活し、きれいな水の指標生物です。

ガガンボの幼虫
空気呼吸をします。成虫は大きな蚊のような形をしています。

コオニヤンマのヤゴ
枯れ葉のように偏平な独特の体形をしています。

ヤマトクロスジヘビトンボ
強力な口器でカゲロウ類の幼虫などを捕食します。

ヒラテテナガエビ
酒匂川下流部はテナガエビ、本種は流れの早い白糸川産です。

タカハヤ
山地の渓流に生息し、白糸川は太平洋岸の分布の東限です。

丘陵地のキノコ

ドクツルタケ
夏から秋に林床( りんしょう ) で見られます。毒が強いので要注意です。

オニフスベ
直径30cmぐらいの大きさに成長します。食べられます。

コガネタケ
びっくりするほど大きく黄色なカサを開きます。(食用)

イヌセンボンタケ
枯れ木に群生する様子が面白いキノコです。

カワラタケ
サルノコシカケの仲間です。屋根瓦みたいです。(薬用)

ホコリタケ
草原などにボ-ルの様なカサをつけ、穴から胞子を飛ばします。

山地の自然観察

山地の自然観察ガイド

箱根外輪山を望む

 小田原には明星ケ岳・塔の峰・白銀山や星山など、800mら1000mに近い山々があります。そのほとんどはスギやヒノキの人工林ですが、所々で山地ならではの自然が観察できます。

山地の自然観察ガイド

山地の自然観察ガイドマップ

 宮城野林道沿いの(旧)塔の峰青少年の家から明星ケ岳の登山口に至る道の周辺は、小田原の山地の自然を観察するには大変良い所です。足をのばし、明星ケ岳に行ってくるのもよいでしょう。

山地の自然観察ガイドマップ
行き方 箱根登山線 塔の沢下車
帰り方   〃   箱根湯本駅乗車
注意
・塔の峰までは、急な上りなので、すべらないくつが必要です。
・山道なので一人では行かないようにしましょう。

山地の植物

山地は杉やヒノキの植林地や落葉樹( らくようじゅ ) の林、そして草原と環境条件が異なるところに適する植物の生育を見ることができ、種類も豊かです。

カントウミヤマカタバミ(4月)
林の中のやや暗い静けさの中に、ひっそりと白い花を咲かせます。

ヒトリシズカ(4月)

フタリシズカ(6月)

シズカは静御前( しずかごぜん ) の意味、花穂( かすい ) が一本のものをヒトリシズカ、二本のものをフタリシズカといいますが、フタリシズカは二本とは限らず4本、5本とたくさんつけることもあります。

ヤマルリソウ(4月)
沢ぞいのやや湿ったところに好んで生え、るり色の花をたくさん付けます。ワスレナグサと同じ科です。

エイザンスミレ(4月)

スミレの仲間
スミレの名の由来( ゆらい ) は、大工さんが材木に線を引くのに使っていた( すみ ) ( ) れに花の形が似ているからです。小田原付近には8種類ほどが確認されています。

ナガバノスミレサイシン(4月)

ニオイタチツボスミレ(4月)

タチツボスミレ(4月)

アカネスミレ(4月)

エビネ(5月)
杉林の中によく見られ、地下茎( ちかけい ) エビの尾のように曲がっているのに見立てて名づけられました。花の色、形に変異( へんい ) があり、( ) り採られてしだいに数が減っている植物です。

ミミガタテンナンショウ(4月)
落葉樹( らくようじゅ ) の林の中にすっくと立つように生え、花の( ほう ) のつつぐちが耳たぶのように広くなっています。

ナベワリ(4月)
林内でまれに見られます。毒をもった植物です。

ウラシマソウ(5月)
花の( ほう ) から出ている糸を「浦島太郎」のつり糸と見たてました。

カヤラン(5月)
モミの木に着生しています。ややまれなランの仲間で、形がカヤの木の葉に似ているのでこの名があります。

サイハイラン(5月)
花の様子から、むかし武将( ぶしょう ) 指揮( しき ) をとるときに使った采配( さいはい ) に似ているので、この名がつけられました。

アカショウマ(5月)
明るい林や草原に生育し、地下茎を調べると赤色をしています。近い種類に、箱根に多いフジアカショウマがあります。

ホオノキ(5月)
とても大きな花を咲かせ、香りが高く、風に乗ってくる香りから、花の時期を知ることができます。

フジ(5月)
他の木にからみついて高く登ります。右巻きがノダフジ、左巻きがヤマフジです。

シモツケ(6月)
林のへりや草原など日あたりのよいところに生育し、うす桃色の小さな花がたくさん集まって咲きます。シモツケの名は下野( しもつけ ) の国(現在の栃木県)で見つけられたからです。

ウワミズザクラ(5月)
桜の花とはまるで似ていないふさ状の白い花が咲きますが、一つの花のつくりは桜とまったく同じです。

ハナイカダ(5月)
葉の上の真ん中に小さい花をつける様子から、葉をいかだにたとえて名付けられました。雌雄異株 ( しゆういしゅ ) です。

アリドオシ(6月)
( あり ) でも( ) し通してしまいそうなトゲがあることからこの名があり、千両万両ありどおし( ●●●●● ) と、縁起( えんぎ ) 良い植物として庭に植えます。

ネジバナ(7月)
芝生( しばふ ) の中によく見かけます。花がらせん状にねじれているので、この名があり、モジズリともいいます。

ウツギ(6月)
童謡( どうよう ) の『夏は来ぬ』の中の[うの花( ●●● ) のにおうかきね]は、この花のことです。

マルバウツギ(4月)
ウツギより少し早く咲きます。

ホタルブクロ(6月)
この花の中にホタルを入れて遊んだことに由来します。よく観察するとヤマホタルブクロも見つけられます。

ネムノキ(7月)
夜になると葉をとじてしまうので、この名があります。これを睡眠運動( すいみんうんどう ) といいます。

ヤマボウシ(6月)
4枚の白い花びらのように見えるのは、総包( そうほう ) と呼ばれるものです。中心の玉のような所が花の集まりです。

シシウド(8月)
背丈は2mにもなります。イノシシが食べるようなウドという意味の名です。

ヤマアジサイ(6月)
山あいの沢に沿って多く見ることができます。サワアジサイともいいます。

ヤマユリ(7月)
神奈川県の花です。 花の季節には香りが強く、白く大きな花は遠くからよく目立ちます。

コガンピ(8月)
草原に見られ、ややまれな植物です。

オカトラノオ(7月)
梅雨明けごろから咲き始める夏の花です。

ウツボグサ(7月)
花の穂のようすが弓矢を入れる( うつぼ ) に似ているのでこの名があります。夏になると花穂( かすい ) は枯れるので夏枯草( かこそう ) ともいいます。

タマアジサイ(8月)
つぼみが玉の形をしているのでこの名があります。 沢ぞいの湿( しめ ) り気が多い所に生育しています。

セキヤノアキチョウジ(9月)
木かげで育ち、細長い青い花を、リズミカルに咲かせます。

ツリフネソウ(9月)
花は( ) かけ船をつり下げたようです。種子はホウセンカと同じように、自力で飛び散ります。

キバナアキギリ(10月)
秋に( きり ) の花に似た黄色い花を咲かせます。花壇( かだん ) に植えるサルビアも、同じ科の植物です。

ギンリョウソウ(8月)
くさった植物に寄生し、やや暗い木かげで見られます。

ツリバナ(9月)
枝から( ) れ下がった花や実をつけるのでこの名があります。

ホトトギス(10月)
花びらの斑点( はんてん ) の様子が、ホトトギスの羽毛( うもう ) によく似ているので名付けられました。

ミズヒキ(9月)
花穂( かすい ) を紅白の水引きにたとえて名づけられました。山ぎわに見られます。

ヤマ卜リカブト(10月)
花の形が昔の人がかぶった( かんむり ) に似ているのでこの名があります。根には毒の成分を含んでいます。

リュウノウギク(10月)
野菊の代表的な植物で、葉の香りは強いものがあります。

マルバフジバカマ(9月)
帰化植物で、箱根外輪山よりにますます分布域( ぶんぷいき ) が広まっています。

フユイチゴ(12月)
冬に実を結ぶいちごで、( ) もれ( ) のさす林の中に多く、食べることができます。

オオバノハチ ジョウシダ(7月)
暖帯性のシダ植物で、水辺に好んで生え、1m以上にもなります。 ワラビと同じ科です。

クジャクシダ(6月)
クジャクが羽を広げたようでとても美しいシダ植物です。

ノキシノブ(4月)
岩や木に着いて生育します。湿度の高いところを好み、乾燥( かんそう ) にも強いです。

ウラジロ(9月)
葉の裏が白く正月かざりに使われます。暖帯性のシダ植物で、箱根外輪山にそって点々と分布します。

山地の虫

アサギマダラ
気流に乗って( ゆる ) やかに飛びます。記録では、1,000㎞とんだとか?

テングチョウ
てんぐの鼻のように頭部の先がとがっています。

マユタテアカネ
顔にマユのような模様( もよう ) があります。

ミヤマアカネ
はねにある褐色( かっしょく ) の模様が特徴( とくちょう ) です。

キンモンガ
チョウのようにきれいなガもいます。

アキアカネ

ナツアカネ

アキアカネはナツアカネよりも先に羽化し暑さをしのぐために山にのぼります。秋になると、平地へおりてきて、水田やプールに卵を産みます。
 ナツアカネは、山には行かないので夏によく低地で見かけます。

山地の鳥

山地には自然林と人工林(植林地)がありますが、それらの場所ではそれぞれの環境にあった野鳥を観察することができます。 自然林ではアオジやキビタキの声が聞かれたり、植林地ではクロツグミ、アカハラ、カケス、ハシブトガラスなどが見られます。

キビタキ<夏鳥>
頭から背中・尾は黒く、目の上と( のど ) や腹は( あざ ) やかな黄色。林の中を飛んでいる小さなハエやアブなどを捕まえて食べます。

アオジ<留鳥>
頭は濃い緑色で、目先と( くちばし ) の周りが黒いです。冬には平地の草むらや草原で見られ、チッとひと声、強く鳴きます。

カケス<留鳥>
背中と腹は薄紫色で頭はゴマ塩頭。( つばさ ) にはコバルトブルーの美しい羽根があります。ジャージャーと大きくて( にご ) った声で鳴きます。他の鳥の鳴き真似( まね ) もします。

小田原の生き物(虫や鳥等以外の生き物)

サル

タヌキ

ドブネズミの子

モグラ

コウモリ

アオダイショウ

ヤマカガシ

アマガエル

ヒキガエル

トウキョウダルマガエル

カジカガエル

トビズムカデ

コウガイヒル

ヤスデ

キセルガイ

ヤモリ

トカゲ

カナヘビ

ミスジマイマイ

ヒダリマキマイマイ(大)とコハクオナジマイマイ(小)

小田原の自然観察ノート No.2picture_as_pdf

地形・地質の観察

小田原の地形・地質

 小田原は山地、丘陵、平地、海と変化に富んだ大地です。そこには1000万年以上の年月をかけた地球の活動の痕跡( こんせき ) が見てとれます。この章ではそんな小田原の地形や地質を観察してみましょう。

宇宙から見た日本(小田原周辺)~地球観測衛星の魅力~

神奈川県立生命の星・地球博物館 提供

 小田原市の地形は、大きく東部・中央部・西部の三つに分けられます。形成年代の順に見ていくと、東部は大磯丘陵( きゅうりょう ) の南西部にあたります。西部は箱根火山で、外輪山とその山麓( さんろく ) にゆるやかに広がる 軽石流堆積面( かるいしりゅうたいせきめん ) (軽石流とは火砕流( かさいりゅう ) の一種です。)があります。外輪山の斜面は侵食( しんしょく ) (けずること)による放射状( ほうしゃじょう ) の谷が発達しています。中央部は足柄平野で、東部の大磯丘陵とは国府津-松田断層( だんそう ) を境にして接しています。足柄平野内にも軽石流堆積物が残っている千代台地、約2900年前に発生した富士火山の御殿場岩屑( ごてんばがんせつ ) なだれ堆積物が残っている鴨宮台地、酒匂川に沿ってできた自然堤防( ていぼう ) などの微地形( びちけい ) が発達しています。
 では、これら3つの地域について詳しく観察していきましょう。

小田原市の地形分類

小田原市東部の観察

(1)国府津-松田断層

曽我山(大磯丘陵南西部)と足柄平野との境界は急傾斜でしかもまっすぐです。理由は国府津-松田断層という活断層があるためで、急傾斜は断層( がい ) という地形です。世界的にみても活発な断層で、現在のプレート境界を形つくる断層の一つと考えられています。
 活動の歴史は約30万年前にさかのぼります。当時、足柄平野だった場所で断層の活動が始まり、平野の一部が地震のたびにもちあげられた結果、曽我山となったと考えられています。曽我山西側の谷の中には国府津-松田断層にともなう多数の断層が見られます。
 なお、JR御殿場線はこの断層崖に沿って走っています。

大井ー松田断層【千代台地】2021

★1 沢突き当たりの滝
(A点とB点はもとはつながっていた。落差は1m30cm。平成8年撮影)

★1 断層崖に見られる礫層( れきそう )
(地層の傾斜は北の方向に30~50 度。平成8年撮影)

★1 礫層中にみられる圧縮力で割れた石
(平成8年撮影)

★2 田島の第六えん提上の断層
(A-B の落差は30cm。平成8年撮影)

★3 断層によってできた剣沢
(弓張りの滝。平成8年撮影)

下の写真は国府津-松田断層のトレンチ調査をしたときのものです。国府津-松田断層は平均すると3000年で約10mの割合で動いている活断層ですが、断層そのものは地表に現れていません。そこで、( みぞ ) (トレンチ)をほって断層を調査する方法(トレンチ調査)がとられました。平成14年に曽我原地 区で断層が発見され、最も新しい活動は鎌倉時代ころであることが分かりました。今後30年以内に再び動く(大地震を発生させる)確率は0.2~16%とされています。

★4 トレンチ現場の様子
(平成14年撮影)

★4 現れた国府津-松田断層(平成14年撮影)

(2)大磯丘陵南西部(曽我山周辺)

ここで観察する地層はすべて海や河口付近など水の中で堆積したものです。羽根尾周辺では( がけ ) や切通しなどで、( どろ ) や砂の縞模様( しまもよう ) の地層を見ることができます。約70万年前の海に積もった物(堆積物( たいせきぶつ ) )と考えられており、羽根尾層と呼ばれています。この泥岩や砂岩の地層の上には約50万~25万年前の曽我山層という厚い砂や( れき ) (小石)の縞模様の地層が重なっています。この礫を中村川に沿って採取していた砂利採石場がありました。上町( かのまち ) にある砂利採石場跡では、箱根火山の石が多くまざった厚い砂や礫の縞模様の地層が見られます。これらの地層は国府津-松田断層がまだ活動していないころに、箱根火山や丹沢山地から川で運ばれてきた砂や礫が、当時の海岸付近に堆積した物と考えられています。
 中村川沿いや海岸沿いには中村原面と呼ばれる標高20mほどの台地が広がっています。台地の下には下原層 ( しもはらそう ) という約7000年前(暖かかった縄文時代)の海岸付近の海でたまった地層があり、この台地は海岸付近の平らな土地が、国府津-松田断層による地震活動でもち上がってできたものと考えられています。なお、この付近にはこれらの地層より古い前川層(約80万年前)、剣沢層 ( つるぎさわそう ) (約500万年前)などが部分的に分布しています。

★1 泥岩と砂岩の互層
(羽根尾。平成8年撮影)

★1 堆積中に地層が海底地すべりにより曲げられたスランプ構造(羽根尾。平成8年撮影)

★ 中村川流域に発達した段丘面

★2 地層が水平に奥行きを持って広がっている様子(上町砂利採石場。平成8年撮影)

★2 地層中に見られる小さな断層
(上町砂利採石場。平成8年撮影)

★3 泥岩・砂岩・礫岩の地層
(上町土砂廃棄場。平成8年撮影)

★4 前川層の、スコリアを含む砂岩(黒い層)と泥岩の互層(羽根尾JR線北側。平成8年撮影)

★5 中村原面をつくっている下原層
(白いぽつぽつは貝。小船( おふね ) の山西橋付近の土手だったが、現在は橘住宅団地として整備されて見えない。平成8年撮影)

★5 箱根火山の軽石と炭化した枝
(平成8年撮影)

★5 下原層の貝化石(縄文時代は暖かく、海が今より内陸に入っていた。現在の中村原は当時、海底であった。そこに堆積した地層が下原層である。平成8年撮影)

下原層中の貝化石
1.コゲツノブエ
2.シオヤガイ
3.サルボウ
 
4.アサリ
5.マガキ
6.ゴカイとフジツボ

これらの化石が整った形をしているのは、ここで生息し化石になったことを示します。

 中村原の地形を空から観察しましょう。二枚の空中写真の同じ場所をそれぞれの目で遠くを見る感じで見ていると立体的に見えてきます。中村原が平らな段丘面( だんきゅうめん ) であることがよく分かります。

〈昭和4年 神奈川県撮影〉

小田原市西部の観察

(1)箱根山麓( さんろく ) の観察

1.久野採石場
2.根府川石採石場
3.白糸川上流採石場
4.北の窪の旧道沿い
5.北の窪友愛幼稚園向かい
6.城址公園のトンネル
7.城山競技場の駐車場
8.入生田( いりゅうだ ) の道路わき
9.水之尾( みずのお ) 露頭( ろとう )

 箱根火山の地形は斜面の急な外輪山( がいりんざん ) 山麓( さんろく ) のなだらかな軽石流堆積面( けいりゅうたいせきめん ) の2つに分けることができます。ここで見られる地層はすべて陸上で堆積したものです。外輪山はいくつもの成層( せいそう ) 火山が集まったもので、溶岩と火山( さい ) せつ物からできています。溶岩は灰色の安山( あんざん ) 岩で、溶岩を石材として( ) っている採石場がいくつかあります。溶岩は何枚もあり、その間には同じ外輪山から降り積もった火砕物( かさいぶつ ) の地層がはさまれています。
 軽石流堆積面は約8万~6万年前に発生した火砕流( かさいりゅう ) によるものです。火山灰と軽石に火山ガスが加わって外輪山を流れ下り、山麓をうめてなだらかな平らな地形をつくりました。軽石流堆積物の地層の上には中央火口丘( ちゅうおうかこうきゅう ) からの軽石や富士山からのスコリア(黒っぽい軽石)などの火砕物が、陸上で降り積もってできた関東ローム層と赤褐色( せきかっしょく ) の地層が見られます。軽石流堆積面は、諏訪( すわ ) ノ原から、北ノ( くぼ ) 、府川、穴部の方向と、久野、多古( たこ ) へ向かう2つの方向に、また、水之尾から星山、荻窪の方向と、谷津、城山へ向かう2つの方向に広がっています。

★1 箱根外輪山溶岩・輝石安山岩の板状節理( ばんじょうせつり )
(板状のわれめ)(久野採石場。平成8年撮影)

★2 箱根外輪山溶岩の一つである根府川石
米神( こめかみ ) 。平成8年撮影)
きめのこまかい輝石安山岩で、板状に節理が発達している。石碑( せきひ ) などに用いられている。清水川と白糸川の間に分布している。

★3 箱根外輪山溶岩
(白糸川上流。平成8年撮影)輝石安山岩( きせきあんざんがん ) の厚い溶岩流。上部には火山砕せつ物やローム層が見られる。

★4 吉沢ローム層中の軽石層
(北の窪。平成8年撮影)ややピンク色か黄色味のある粒状の部分が層になっている。

★5 軽石流堆積物
(北ノ窪。平成8年撮影)ピンクや黄白色の軽石が厚くが堆積している。

★7 箱根中央火口丘軽石を含むローム層
(城山競技場。平成8年撮影)( だいだい ) ( いろ ) は軽石、暗褐色( あんかっしょく ) ローム。

★6 東京軽石にともなう軽石流堆積物
(城址公園。平成8 年撮影)軽石や岩片がぎっしりつまっている。

★8 溶結凝灰岩( ようけつぎょうかいがん )
(風祭~入生田の道路わき。平成8年撮影)高温の軽石流堆積物が固まったもの。レンズ状の結晶が見られる。かまどに使われたためカマド石と呼ばれている。

代表的な柱状図( ちゅうじょうず ) とかぎ層

 かぎ層とは、はなれた土地のつながりや年代を調べる手がかりになる地層のことで、代表的なものには独特の名前もついています。

富士山の宝永( ほうえい ) スコリア(上曽我)→

箱根中央火口丘( かこうきゅう ) 軽石を含むローム層
(水之尾)↑

軽石をはさむ地層
(曽我山)→
断層も見られる

*AT 現在の鹿児島湾にあった始良火山の大爆発で、ガラス質の火山灰がほぼ日本全域に飛ばされたものです。

柱状図とかぎ層

(2)( いそ ) の岩石の観察

 早川の漁港より南の海岸には外輪山の溶岩がせり出した岩場(磯)が続きます。これは箱根火山の一部が海の侵食作用( しんしょくさよう ) を受けてできた地形で、磯の溶岩は安山岩です。割れ目がたくさんありますが、これは節理( せつり ) といい、溶岩が冷え固まるときに( ちぢ ) んだためにできたものです。溶岩の他に赤っぽい色をした火山砕屑物( かざんさいせきぶつ ) の地層もあり、溶岩と火山砕屑物が交互( こうご ) に重なった断面( だんめん ) が見えています。

米神( こめかみ ) 海岸の場所

岩石海岸

米神の安山岩
赤っぽい火山砕屑物( さいせつぶつ ) と灰色の溶岩が 交互に堆積しているのがわかります。岩石は輝石安山岩( きせきあんざんがん )

(3)4つの平坦面( へいたんめん ) の観察

 箱根火山の山麓( さんろく ) 周辺( しゅうへん ) には4つの平坦な地形面が観察できます。一番高い面はフラワーガーデンや県立おだわら諏訪ノ原公園がある平らな土地で軽石流堆積面です。次は( かり ) 川と山王( さんのう ) 川に沿って分布する河岸段丘面( かがんだんきゅうめん ) で、内山面( うちやまめん ) と呼ばれ、川のレキ層とそれをおおう関東ローム層からできています。山王川に沿う面は船原( ふねはら ) ( かき ) の上、中宿( なかじゅく ) 下宿( しもじゅく ) と続いています。その次の御殿場( ごてんば ) 岩屑なだれ堆積面( たいせきめん ) は富士山の泥流でできた平坦面で、玄武岩質( げんぶがんしつ ) の砂レキ層からなり酒匂川に沿う河岸段丘をつくっています。一番下の府川面は谷底平野( たにぞこへいや ) に接するところで、府川から穴部にかけての軽石流堆積面のはじにあたり、狩川の 低地からの高さは15~20mあります。観察してみましょう。 ↓諏訪ノ原

〈昭和44年 神奈川県撮影〉

軽石流堆積面
山王川沿いより久野丘陵の稜線( りょうせん ) をのぞむ。(稜線が軽石流堆積面)

内山面(( かき ) の上)
住宅の建っているところが内山面。背後( はいご ) の丘は軽石流堆積面。

府川面(府川)
道路の一段上がっているところが府川面。

曽我山より箱根山、足柄山地を望む

小田原市中央部の観察

足柄平野の微地形( びちけい )

足柄平野は酒匂川が上流から運んできた砂や( れき ) が堆積してできた扇状地( せんじょうち ) 状の平野です。扇頂( せんちょう ) は山北町大口付近です。川の水は伏流水( ふくりゅうすい ) (川底にしみ込んだ水)となって小田原市のいたる所で湧き出しています。そのためか飯泉、富水など豊富な水量をうかがわせる地名が見られます。しかし、一見平らに見える足柄平野も個々に見ていくと微地形があり、ただ平らに広がっているだけではないことがわかります。それらの地形も観察しましょう。

①自然堤防と砂礫堆の観察

 川によって運ばれる砂や礫は、流れのゆるやかな川岸にたまりやすいため、川岸には自然堤防と呼ばれる高まりができます。酒匂川は過去、氾濫( はんらん ) によって流れを変えてきたため、自然堤防が現在の流れとははなれたところのもあり、しかも流れを変えたときに自然堤防が切られるため、小高い地形(砂礫堆)が複雑に分布しています。これらの場所は洪水でも水につかりにくく、古くから集落があった場所で、栢山 ( かやま ) 飯田岡( いいだおか ) 小台( こだい ) 桑原( くわばら ) 、扇町の一部などがそれにあたります。

桑原の自然堤防

宝永の噴火と二宮尊徳
 1707年の宝永噴火( ほうえいふんか ) で出された宝永スコリアによって、酒匂川は大量の土砂を流す荒れ川になった。米の産地も壊滅( かいめつ ) 状態になり、治水( ちすい ) 工事も長年かかった。その後、二宮尊徳( にのみやそんとく ) (1787-1856)は河川敷の荒れ地を開墾( かいこん ) し、松の苗木を土手に植え、坂口堤の補強に一役かった。

②鴨宮台地の観察

 約2900年前、富士山の東側中腹で山体崩壊( さんたいほうかい ) が発生しました。これは御殿場( ごてんば ) 岩屑なだれとよばれ、多量の礫や砂が地元の御殿場はもちろん酒匂川の谷間を通って、相模湾にまで達しました。足柄平野を埋めつくしたこの泥流堆積物はその後、酒匂川によって侵食されたり、新しい堆積物でおおわれたりして、今では西部山麓や鴨宮台地で見られるだけです。鴨宮台地は、泥流発生以降に隆起したため酒匂川の砂礫がその上に堆積しないで、泥流がそのまま残っているのです。

鴨宮台地(手前の池の向こう側がいちだん高くなっている。西酒匂付近)

千代台地(坂の上が千代台地。千代小学校付近)

③千代台地の観察

 東大友から永塚( ながつか ) 、千代、高田付近にかけて足柄平野より20~30mの高台が観察できます。ここは約8万~6.6万年前の箱根火山の軽石流とロームが堆積しています。千代台地の地形が最も分かりやすいのは、千代小学校から下曽我方面をのぞむ景観です。バス通りを下曽我駅に向かうとすぐにS字に曲がって台地に登ります。少し平らな土地が広がり、東に向かってゆるやかに下っています。西側の台地の縁の方が急傾斜になっていますが、これは断層活動によって千代台地全体が東に傾いたためと考えられます。

↓千代台地を含む空中写真

〈昭和44年 神奈川県撮影〉

資料1 小田原の大地の成り立ち(地史)

地球の表面は十数枚のプレートと呼ばれる( かた ) 岩盤( がんばん ) でおおわれています。その動きはそれぞれのプレートで異なり、地球上の火山活動や地震活動といった地殻変動( ちかくへんどう ) の盛んな場所の多くがこのプレートの境目にあります。
 日本列島周辺では図1のようにせまい地域に4枚のプレートの境界線が通っているため、火山が多く、地震活動も活発で地殻変動の盛んな場所となっています。

図1

この境界の一つが図2のように国府津-松田断層という活断層として小田原市内を通っているため地震の発生が心配されています。
 また、小田原市西方にある箱根火山はフィリピン海プレートの北端部に位置する火山です。これは太平洋プレートが北アメリカプレートあるいはフィリピン海プレートの下にもぐり込むことによってできた火山であると考えられています。

図2

図3は海洋プレートが沈み込むことによってマグマが発生し、上昇して火山ができたり、沈み込んだときのひずみが開放されて地震が起きたりする様子を表しています。

図3

 日本列島の今日の姿もプレートによるもので、プレートの動きを過去にさかのぼれば、どのように日本ができたのかを考えることができます。
 小田原周辺の大地の成り立ちは次のように考えられています。約1700万年前、丹沢山地も伊豆半島も南の海でできた火山島でしたが、フィリピン海プレートにのって北へ移動してきました。
 約700万~300万年前、関東山地ののったユーラシア大陸に丹沢をのせたフィリピン海プレートが沈み込み、衝突 ( しょうとつ ) しました。

約700万年前

約250万~60万年前、丹沢が付いた本州に伊豆を乗せたフィリピン海プレートが沈み込み、深い海ができ、泥が堆積しましたが、とうとう衝突し、海は砂や礫(小石)で埋められ、次第に隆起 ( りゅうき ) (土地の上昇)し、傾斜したり断層をつくったりして、貝化石を含む堆積岩とそこに入り込んだ火成岩(矢倉岳など)から成る足柄山地をつくりました。そして伊豆は陸つづきになりました。

約250万年前

現在フィリピン海プレートは海底では相模 ( さがみ ) トラフ(海底の盆地)と駿河( するが ) トラフで沈み込んでいます。 相模トラフの延長が国府津-松田断層という活断層に続いているため、断層の南西側の足柄平野では沈降(しずみこみ)、断層に接した曽我丘陵を含む大磯丘陵では隆起が続いています。

現在

資料2 箱根火山の成り立ち

 箱根火山がどのようにできたのかみてみましょう。
 箱根火山では、約40万~23万年前までのおよそ20万年の間にいくつもの成層火山( せいそうかざん ) ができました。その後、約23~13万年前の間には、何度も大きな火砕流( かさいりゅう ) が流れ出し、カルデラと外輪山ができました。 この時、できたばかりの外輪山では小さな火山がたくさん噴火しています。約13万~8万年前までにたくさんの火山からなる中央火口丘ができました。 約8万~4万年前には爆発的な噴火がくり返され特に約6.6万年前には大規模な火砕流(軽石流)を起こす噴火がありました。この時に噴出された軽石は東京軽石と言われています。 約4万年前~現在は、カルデラの内側に粘り気のある溶岩が噴出して神山、駒ケ岳、二子山など、ドーム型の中央火口丘ができました。 一番最近のマグマの噴出はおよそ3千年前で、大涌谷でおこりました。この時の山崩れ堆積物が早川の上流部をせきとめて現在の芦ノ湖ができました。 (作図 長井雅史)

箱根火山たんけんマップ 日本地質学会C
※年代については諸説あります。

資料3 小田原における地形・地質の歴史

資料4 火山の噴出物について

 火山の噴火はマグマが地表に出ることでおきます。マグマは地下の岩石が溶けたものですが、中には水や少量の硫黄( いおう ) なども含まれています。これらは火山ガスとしてマグマから泡となって出て爆発の原動力となります。マグマをつくる岩石の違いも影響しますが、火山ガスの量が多いと噴火は( はげ ) しくなり、マグマは細かくくだかれて噴煙となります。逆に火山ガスの量が少ないと噴火はおだやかになり、マグマはそのまま流れ出して溶岩流となります。噴煙( ふんえん ) の中にはさまざまなものが含まれますが、これらをまとめて火砕物( かさいぶつ ) (広い意 味での火山灰)と言います。溶岩も火砕物も元は同じマグマです。
 噴煙には、空気より軽くなって上昇するものと、軽くならずに流れ下るものの2種類があります。 空高く上昇した噴煙からは広い範囲に火砕物が降ります。これを降下火砕物と言います。一方、流れ下る噴煙は火砕流と呼ばれています。 高温の噴煙が時速100kmをはるかに超える速度で流れるので、とても恐ろしいものです。 火砕物は『テフラ(ギリシャ語で「灰」という意味。)』とも呼ばれますが、大きさや形で色々な名前が付いています。 細かい(2mm以下)ものを火山灰、それ以上の大きさで火山ガスの泡がたくさんできていて白っぽい色をしたものを軽石、黒っぽい色をしたものをスコリアと言います。 軽石やスコリアの地層の中には溶岩の破片が含まれている場合があります。これは火口近くの岩石が噴火に巻き込まれて飛んできたもので火山岩片( かざんがんぺん ) と呼んでいます。

火山砕屑物分類表
1.運ばれ方による分類 テフラの形を加えた呼び方
テフラ
(火山砕屑物)
(広い意味の火山灰)
空中から降下するもの
降下火砕物(下降テフラ)
降下軽石(浮石)、降下スコリア、降下火山灰など
乱流となって地表を流れるもの
火砕流堆積物(テフラ流)
火山灰流、軽石流、スコリア流、熱雲、泥流など

2.形による分類

粒の大きさ 特定の形、構造をもつもの
径 64 ㎜以上
火山岩塊
火山弾 軽石(パミス)
溶岩餅 スコリア
火山毛(ペレーの毛)
火山涙(ペレーの涙)
径 64 ㎜ ~ 2 ㎜
火山礫
径 2 ㎜以下
火山灰

図 小田原周辺で観察できる広域テフラ(1977町田より)

 ここにあげた4つの広域( こういき ) テフラは、日本の代表的なものです。火山列島である日本は、たくさんのテフラで( ) もれています。中でも、鹿児島湾ができた時の姶良( あいら ) 丹沢火山灰(AT)の分布はほぼ日本全土に広がり、箱根火山の大爆発で生じた東京軽石(TP)の分布と比べても比較にならないほどの爆発であったことがうかがえます。また、テフラの分布が東方に広がっているのは上空の偏西風 ( へんせいふう ) に運ばれていくためです。

図 宝永火山灰の分布(2002富士山ハザードマップ検討委員会より)
 1707年(宝永4年)富士山の宝永火口で噴火が起こり、大量のスコリアが降り積もりました。当時の江戸でも記録が残されています。(図によると)小田原では16~30cmほどの黒い層を観察できます。

図 東京軽石層・軽石流の分布(2008生命の星・地球博物館より)
 約6.6万年前、箱根火山の大爆発で噴出された軽石は広く南関東をおおいました。また、これに続いて発生した軽石流は遠く横浜付近にまで達しています。

小田原の自然観察ノート No.3picture_as_pdf

小田原の天然記念物

 小田原には記念物に指定された多くの樹林や森などがあります。地域の人々が古くから親しみ、守り育ててきた自然への思いを大切にしながら、ゆっくり観察したいものです。

No. 記念物名 場所 観察のポイントなど
1 ビランジュ 早川 国指定の天然記念物(推定樹齢300年)
正式和名 バクチノキ(バラ科)
暖かい地方の木で、これほどの巨木はめずらしいので、ぜひ観察したい。
2 小田原高校の森 城山 暖かい地方の自然に近い林で、県指定の記念物
シラカシ、クスノキ、ホルトノキ、ヤブツバキ、タブノキなどの木やヤブラン、ベニシダなどの草が観察できる。
3 イチョウ 飯泉の勝福寺 推定樹齢700年以上の古木で、県指定の記念物。イチョウの特徴である乳柱も観察できる。
4 飯泉勝福寺の林 飯泉 古い時代に植えられた巨木の林で、県指定の天然記念物
ケヤキ、クスノキ、カヤ、エノキ、ナギ等の古木が28本もある林がすばらしい。
5 クロマツ
ノダフジ
イヌマキ
小田原城址公園 城址公園内には樹齢400年以上のクロマツや「御感の藤」という樹齢190年以上のノダフジ、樹齢500年以上のイヌマキなどの名木が生育している。
6 ホルトノキ 城山 暖かい地方の木です。常緑の木ですが、年中紅葉した葉を落とすのが特徴。
「ポルトガルの木」が和名の元です。
7 長興山の森 入生田 長興山のシダレザクラは有名ですが、その周辺のスダジイやイヌマキの林は自然に近い林で、市の指定記念物です。
8 近戸神社の森 前川 暖かい地方の海岸の樹木や草本が自生していて、貴重な照葉樹の自然林です。
タブノキ、モッコク、シロダモ、モチノキやモクレイシ等があります。
9 カヤ 久野 総世寺にある樹齢300年ほどの巨木。

 他に、入生田駅近くのカゴノキ、早川「真福寺」のタブノキやイトヒバ、鴨宮「光照寺」のヒイラギ、千代「三島神社」のケヤキ、上曽我「瑞雲寺」のモッコク、沼代「王子神社」のスギなど、一度は見たい名木が多くあります。また、上曽我「須賀神社」のクスノキにはオオバヤドリギが30以上も寄生していますし、酒匂「上輩寺」には、長い乳柱がたくさんぶら下がっている変わったイチョウもあります。また、国府津の「真楽寺」にはボダイジュ、菅原神社にはムクノキ、中村原の広済寺には樹齢300年以上ものカキの木など珍しい木もあります。

★小田原市HPも参照ください

自然観察のできる施設等の案内

番号 施設名 主な観察事項 備考
1 いこいの森 雑木林の自然
 ・クヌギ・コナラ・イヌシデの林
スギやヒノキ等の植林地の植物
清流の生き物(水生昆虫など)
2 辻村植物公園 外国産の樹木(ユーカリ等)の観察
梅の木の観察
クヌギやコナラのカブトムシなどの昆虫
3 わんぱくらんど クヌギ・コナラなどの植樹林の樹木
カブトムシやクワガタムシなどの昆虫類
草原の野草や野鳥
4 旧塔の峰青少年の家周辺 山地の自然
 ・ヤマボウシやホウなどの温帯林の樹木
 ・サラシナショウマやヤマトリカブト・ヒメヤブラン・リンドウなどの草本類
 ・キアゲハ・カミキリムシなどの昆虫類
足柄幹線林
道の沿線
5 フラワーガーデン 芝地の生き物の観察
池や小川の生き物・水辺の植物
梅などの栽培樹木の観察
温室内の熱帯の植物も観察できる。
6 小田原城址公園 ククスノキ、クロマツ、イヌマキ等の大木
桜(ソメイヨシノ)の花の観察
火山灰で出来た地層の観察
7 城山公園 暖帯の自然林の観察
 ・スダジイ、タブノキ、イヌマキなど
 ・ヤブニッケイやヒメユズリハなど
落葉樹の林
 ・イヌシデやケヤキ
 ・林間の野鳥(コゲラ・シジュウカラなど)
 ・樹林や草はらの昆虫(クチキコオロギなど)
小田原高校の林を含む。
8 大稲荷様 スダジイの林
 ・シイの実の採集
9 長興山鉄牛和尚の森 暖帯の自然林の観察
 ・スダジイ・イヌマキの大木
 ・ハナミョウガ・カギカズラなど
 ・サワガニやアカガエルなどの生き物
入生田の長興山の森
10 紀伊神社 暖帯林の植物
 ・クスノキやバクチノキの大木
 ・キチジョウソウなどの下草
11 一夜城址 丘陵の自然
 ・ヒメボタルの観察
 ・キノコ類の観察
 ・芝地の植物や昆虫
12 上府中公園 池や庭園の自然
 ・水辺の植物
 ・トンボ類の観察
 ・ケヤキなどの樹木
13 弓張りの滝 丘陵の自然(カシ林)
 ・地層や断層の観察
 ・アラカシやシラカシなどの林と下草(キチジョウソウやオオバのハチジョウシダなど)
 ・ウワミズザクラ・クサギなどの花・サワガニやトンボ類
剣沢の上流
14 飯泉観音 大イチョウ(名木)
スダジイやタブノキなどの暖帯林の樹木やケヤキの大木
15 菅原神社 ムクノキの大木
 ・ムクノキの葉で物をみがいてみることができる。
国府津
16 近戸神社の叢林 暖帯林の自然植生の観察
 ・スダジイやタブノキなどの林
 ・ヤブニッケイやクスノキの大木
 ・モクレイシ・ヤブツバキ等の低木
 ・キチジョウソウなどの下草類
前川
17 桜の馬場 桜(ソメイヨシノ)の花
草原の植物の観察
18 王子神社 スギの大木
シャガやホシダ等の草本類
19 六本松周辺 丘陵の自然
 ・アラカシ・シラカシなどのカシ類
 ・サネカズラやヤブミョウガの花や実
20 おだわら諏訪の原公園 丘陵の自然
 ・桜(ソメイヨシノ・ヤマザクラ)の花
 ・バッタやカブトムシなどの昆虫

「小田原の自然」観察会に参加しましょう!!

 この本を活用し、小田原で見られる植物や昆虫、地層や岩石、野鳥、磯や川の生き物などを観察する会を行っています。かれこれ20年近くも続いている観察会で、講師は、「小田原の自然」を作った先生方や自然観察指導員などが担当しています。
 本では紹介できなかったものもたくさん見られますし、色々な質問も出来る楽しい観察会です。
 観察会の案内は教育研究所から小田原のすべての小中学校に配布されています。いつでも、だれでも気軽に参加できますので、学校で案内書を見たら、家族の方や友達を誘って参加の申し込みをして下さい。楽しく一緒に小田原の自然を探検しましょう。

「小田原の自然」観察会に参加して、自然のすばらしさを発見しましよう!

一年間の観察会のあらまし
実施月 講座(観察会)名と内容 主な観察物 場所 時間
4月 平地の自然
 あぜ道の花や虫そしてメダカ
メダカ
ケキツネノボタン
イワツバメなど
富水~桑原 午前中
5月 ツバメの観察会
 ツバメの観察・調査
ツバメ
ヒメアマツバメなど
市役所周辺 午前中
6月 海岸の自然
 磯の生物を探そう
ウミウシ・イソガニ
ハチジョウススキなど
江の浦海岸 午前中
6月 丘陵の自然
 夏の虫を探そう
カブトムシ・クワガタ
ラミーカミキリなど
辻村植物公園 午前中
10月 小田原の地形
 地質・地形を調べよう
大磯丘陵・国府津-松田断層
アサギマダラなど
下曽我
千代台地
午前中
10月 山地の自然
 山の花や鳥を探る
キバナアキギリ・シロヨメナ
ウラギンシジミ
シジュウカラ・コゲラなど
長興山
荻窪用水
午前中
11月 酒匂川の自然観察
 河原の岩石・植物
石英閃緑岩など
カワラヨモギ・ツルヨシなど
報徳橋付近 午前中
1月 酒匂川の野鳥
 カモなどをみよう
ハヤブサ・カワラヒワなど
ヒドリガモ・オオバンなど
酒匂川水系
蛍田 狩川
午前中

秋の紅葉(曽我山)

めだかの学校(荻窪)
童謡「めだかの学校」は、小田原の川で泳ぐメダカの様子をもとに作られたものです。

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