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文化財指定：県指定
文化財指定（年月日）：昭和51年10月19日
種別：無形民俗文化財
保存会名：根府川寺山神社鹿島踊保存会
　根府川にある寺山神社の鹿島踊は、毎年７月の第３日曜日とその前日の宵宮（よいみや）で奉納（ほうのう）される。
　鹿島踊は、相模湾（さがみわん）の西岸小田原市石橋（いしばし）から、静岡県東伊豆町北川（ひがしいずちょうほっかわ）までの22箇所で存在が確認され、このうち県下には現在中絶しているところも含め10箇所あった。奉納される神社に共通する点は、１社を除き全て海に面していることで、石材業・漁業・海運との関係が考えられる。背後は険しい崖が迫り、前は荒海という伊豆半島東岸地方は、石材や木材運搬の主要地でもあり、その運輸を船に頼っていた。このようなことから鹿島踊は、悪疫退散（あくえきたいさん）・村落防衛や航海安全の呪芸（じゅげい）（まじない）で、平坦な農地に恵まれない人々に信仰の糧（かて）を与える芸能となった。しかし、その定着年代は不明である。

舞踊構成
　神事舞踊（しんじぶよう）の性格の強い踊りで、舞踊者は地区の成年（以前は15歳から）男子を主体とし、一家の長男が若者衆への加入の慣習として義務的に参加させられたが、現在はその制度はなく、子ども会から中年熟練者まで幅広い参加により、地元が一つになって保存に取り組んでいる。

役割と人数とその内容
黄金柄杓（こがねびしゃく）役（三役）1人
黄金柄杓の役以下、三役という。 杓の中にはヨネ（米）と呼ばれる5色の細かい色紙を入れ、 棒を振って地上に振り撒く。
日形（ひがた）役（三役）1人
金銀色紙を飾った棒の先に、日を象った採り物を持つ。
月形（つきがた）役（三役）1人
金銀色紙を飾った棒の先に、月を象った採り物を持つ。
太鼓役1人
常に踊りの中心に位置し、反り身になって太鼓を高くさし上げ、くるりと回転させ叩く。
鉦役　2人
常に太鼓の役に付き添い、目より上に鉦を突き上げて打つ。
中踊・外踊役　19人
踊りの経験者は円舞の中心部で踊り、小学校児童（子ども会）は外郭で踊る。
歌上げ　数人
歌を歌う、長老の役である。
警護の役　4人
踊りに加わらず、四隅に立つ。
　以上の役を中心に、幣束（へいそく）と扇（おうぎ）又は団扇（うちわ）を持った青年たちが踊る。
　衣装は、歌上げを除き、全員が白丁（はくちょう）（白張（しろは）り浄衣（じょうえ）、白張とも書き白木綿（もめん）で作った狩衣（かりぎぬ））を着用、頭には平礼烏帽子（ひれえぼし）をかぶり、白足袋（しろたび）白緒（しらお）の草履（ぞうり）を履（は）く。
　舞踊は円舞（えんぶ）と方舞（ほうぶ）の組み合わせで、人数は五行五列の25人が定型である。音曲は変化に富み、独特の風格がある。

舞踊の順序
　踊りは、三役（さんやく）・太鼓（たいこ）・鉦（かね）の順で現れ、左回りに大きく円を描いて一巡し、静止して弥勒歌（みろくうた）を歌い、次に円舞・方舞を２度繰り返す。踊りには全て歌がつき、歌上げが最初の一節を歌い出し、後は全員で合唱する。

鹿島踊歌（抜粋）
　誠やら鹿島の浦に　みろくお船がついたやら
　ともえには伊勢（いせ）と春日（かすが）の　中は鹿島の御社（おんやしろ）
　天竺（てんじく）の雲のあいから　十作姫（じゅうさくひめ）が米（よね）を蒔（ま）く
　その米は何と蒔き候（そうろう）　みろく続きの米を蒔く