文化財指定：国登録
文化財指定（年月日）：平成14年8月21日
種別：登録有形文化財
形状等：木造２階建
銅板瓦棒葺（どうばんかわらぼうぶき）（一部瓦葺（いちぶかわらぶき））
建築面積　503.4㎡
　小田原市街の中心、本町二丁目（旧大手前（おおてまえ））で料理店を営むだるま料理店は明治26年（1893）創業の老舗である。関東大震災で店舗を損壊し、現在の建物は大正15年（1926）に、二代目廣澤吉蔵（ひろさわきちぞう）により再建された。網元でもあった吉蔵は、ブリの大漁により潤沢な資金を得て、店舗の建設に情熱と資財を投じた。材料に桧（ひのき）、松、欅（けやき）などの良材を惜しみなく用いたので、職方もその熱意に応えたという。
　主屋は楼閣風（ろうかくふう）の造りで、２階屋根の正面に破風（はふ）を二つ連ねて、比翼入母屋造（ひよくいりもやづく）りの形に凝（こ）らした外観に特徴がある。また、１階店舗入口の向唐破風造（むかいからはふづく）りのポーチも特徴的である。正面玄関からの外観は老舗の雰囲気をよく伝えている。
　２階の客座敷は、数寄屋風（すきやふう）の書院造（しょいんづく）りが基調で、床（とこ）・棚（たな）・付書院（つけしょいん）などの座敷飾や、建具（たてぐ）・欄間（らんま）などの造作に様々な趣向を凝らしたきめの細かい仕事が施されている。
　また、１階食堂と２階座敷に上がる階段、及び１階洋風応接間の意匠にはアールデコの影響が見られる。