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しょさいのはくしゅう
書斎の白秋(大正13年)

解説

 震災後の「白秋山荘」書斎で撮影された白秋の肖像写真です。カメラを見据えた白秋は、円熟期の自信に溢れた表情です。机の上には、万年筆、インク壺、水仙の花が活けてある花瓶、短歌雑誌「日光」(大正13年(1924)4月創刊)、本棚には近代日本文学の本、手前にはヤシの実や胡桃まで配置されています。
 書棚には、『しがらみ』(中村憲吉著、岩波書店、大正13年)、『水墨集』(北原白秋著、アルス、大正12年)、『一茶旅日記』(古今書院、大正13年)、『自然科学の話』アンリ・ファーブル著、大杉栄、安城四郎訳、アルス、大正12年)などが並ぶことから、撮影年代は大正13年頃、白秋の服装や卓上に水仙が活けられていることから、季節は秋から冬頃であると考えられます。さらに、「天神山での白秋と隆太郎」と同じ時に撮影されていることを踏まえると、撮影時期は大正13年秋から冬と考えられます。
 この書斎は白秋のお気に入りの場所でした。書斎の窓からは、家の周囲に植えた竹林と箱根の山々が見え、白秋は仕事の合間に窓から四季の風景に癒されました。関東大震災の時には、白秋は書斎のソファに座り、「詩と音楽」の校正作業をしていましたが、揺れとともに階段を駆け下り、一命をとりとめました。長男誕生以来、白秋は揺れを感じると、子どもが心配になり、真っ先に階段を駆け下りる習慣がありました。「白秋山荘」の一階は大破しましたが、階上の書斎や寝室、屋根裏は無事でした。白秋は震災後も書斎で仕事を続け、食堂は壊れたために竹林で食事を取りました。
収蔵先/所蔵者
小田原市立中央図書館
種別
文学
所在地/展示場所
〒2500875 神奈川県小田原市南鴨宮1-5-30 小田原市立中央図書館

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