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「てんじくねずみのちびすけ」
「天竺鼠のちび助」(大正10年頃)

解説

 「現代」(大正10年(1921)6月)初出、『まざあ・ぐうす』(アルス、大正10年12月)再録。
 北原白秋の翻訳詩の一つ、「天竺鼠のちび助」は、原詩の初出が1784年の古い詩です。愛らしく丸々と太った子どもの天竺鼠(モルモット)が残酷な最期を迎える内容です。
 「天竺鼠のちび助」は、文学雑誌「現代」に(大正10年6月)初出、その後単著『まざあ・ぐうす』には、初出に手を加えた形が掲載されました。
 「天竺鼠のちび助」草稿原稿は6点とバリエーションが多く、言葉の用い方などから翻訳過程を辿ることができます。草稿E001-001-005は、原詩を直訳したもので最初の草稿原稿と考えられます。また、草稿E001-001-016も書き直しが多いですが、修訂部分を確認すると「現代」の表現とほぼ一致することから、最終形に最も近い草稿原稿であることがわかります。消された部分に着目すると、いったん原詩をほぼ直訳し、その上から修正を加え、白秋独特の語調や表現を推敲していることがわかり、白秋の創作の過程がわかる貴重な資料といえます。
 白秋は、大正期に小田原で数多くの創作童謡を生み出しました。童謡創作にあたり、白秋は、国内外の童謡を収集、翻訳し、自身の創作の糧としました。特に英国伝承童謡「ナーサリー・ライムス」については、100篇以上の詩の翻訳に取り組み、白秋らしい翻訳詩を作り上げています。図書館では、34篇の白秋直筆によるマザーグース翻訳の草稿を所蔵しています。白秋は、大正8年頃からマザーグースの翻訳を始めたと述べています。白秋は、大正9年から10年にかけて30編あまりのマザーグース翻訳を、「赤い鳥」など児童文芸誌や新聞等に発表し、大正10年12月、白秋は、雑誌や新聞に掲載された唄の大部分と、新たに追加翻訳したものを合わせ、合計131編の翻訳童謡を収録した単行本『まざあ・ぐうす』をアルスより刊行しました。白秋の『まざあ・ぐうす』は日本で初めてのナーサリーライムの単行本となりました。
収蔵先/所蔵者
小田原市立中央図書館
種別
文学
所在地/展示場所
〒2500875 神奈川県小田原市南鴨宮1-5-30 小田原市立中央図書館

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