近現代（1871-2000）

1923

大正一二年(一九二三)癸亥

1.31　永塚地主小作協調組合(上府中村)が結成される[Ⅱ-222] 2.10　電気小田原町営期成同盟会,電灯電力町営化町民大会を開催[430] 〃　国府津村会,村営電灯電力供給事業を可決[Ⅱ-20] 2.23　小田原倉庫運送(株)(緑4丁目,資本金50万円,取締役内野種三郎ほか3人)が設立される[11,430] 2.24　国府津村会,景気回復・工場招致のための臨時調査員15人の設置を可決[Ⅱ-21] 2.━　魚市場仲買人,小田原養魚組合(足柄村荻窪)を創立[143] 3.15　足柄下郡在郷軍人連合総会,退役在郷軍人に選挙権交付要請を決議,在郷軍人参政運動を開始[32,186] 3.31　町会に土地発展委員会(盛興会)が組織され,小田原保勝会の観光事業を継承[Ⅱ-127] 4.1　足柄下郡小田原町ほか25か町村組合(日露戦勝基本植林管理)が設立される[15,369] 4.28　富士屋自働車(株),小田原一元箱根間に大型乗合自動車の運転を開始[430] 5.25　足柄下郡在郷軍人参政同盟,宣言・決議・覚書を作成し,神奈川・静岡の在郷軍人分会を中心に檄文を送る[Ⅱ-51][280] 5.29　相模酒類合資会社(万年2丁目,問屋業)が設立される[430] 6.1　熱海線鴨宮駅が開業[Ⅱ-258] 〃　(株)酒田銀行・(株)桜井共益銀行,(株)松田銀行に合併[182] 6.24　電気町営期成同盟会・電気値下期成同盟会,小田原町電灯問題町民大会を開催[430] 7.19　大雄山鉄道(株)起工式(関東大震災で中断後1924年4月5日再開)[21] 7.20　酒匂橋開通式(1921年7月起工,延長356.4m・幅員5.5m,工費23万8000円)[430] 8.1　足柄下郡在郷軍人参政同盟,東京で開催された参政大会で本部となり,京都・兵庫・熊本に支部を置く[280] 8.4　町内に待合茶屋・芸妓屋営業許可指定地域を定める[280] 9.1　関東大地震,町役場倒壊のため,御用邸正門前で執務(2日からは足柄下郡役所とともに第二尋常小学校に仮事務所を設置),小田原警察署と小田原区裁判所を御用邸裏門前に仮設[Ⅱ-262] 9.2　小田原警察署,演習中の世田谷野戦重砲兵第8連隊偵察員に内務省への被害状況報告書を託す[Ⅱ-159] 9.3　小田原町,町内各所倉庫内玄米を管理し,被災者に施米を開始[Ⅱ-159] 〃　囚人・朝鮮人・社会主義者襲来の流言蜚語が盛んとなり町内で警戒がはじまる,小田原警察署は事実無根を発表し,凶器の携帯を禁止,鎮静に向う[Ⅱ-161・261] 〃　小田原警察署,食糧・医療材料の回送を静岡県知事に要請(6日到着)[Ⅱ-261] 〃　小田原保勝会,臨時震災救済会を組織し,代表2人を大阪に派遣,救護を要請(17日三瓶山丸で大阪からの救援物資が届く)[Ⅱ-127・159] 9.3～7　小田原警察署,三島重砲兵連隊に援助を要請,第1次隊が到着[Ⅱ-261] 9.4　県下戒厳令施行(9月3日)により,豊橋第15師団司令部・小田原方面警備隊司令部を小田原第一尋常高等小学校に設置,10月に停車場,その後郡役所前に移す[Ⅱ-262] 〃　足柄村,震災救護・復興のため4委員会を設置[15] 〃　小田原電気鉄道(株),製氷貯蔵庫内の氷を医療用に配給(～9月20日)[Ⅱ-261] 〃　小田原警察署,飲料用共同使用の掘抜き井戸3か所(新玉・緑)を町内の井戸業者に掘らせる[Ⅱ-159・261] 9.4～10.10　小田原警察署,国府津駅前・山王橋際・土肥村門川・箱根町関所跡・真鶴村城口に検問所を設置[Ⅱ-159] 9.5　小田原警察署,京浜地方からの通過避難民7万人に炊出しを開始[Ⅱ-261] 〃　小田原町,共同便所の設置を励行させる[Ⅱ-159] 〃　小田原警察署,陸軍伝書鳩で管内状況を内務大臣へ報告[264] 〃　豊橋第15師団衛生隊員が到着,小田原町,片浦・豊川両村に救護所を設置[Ⅱ-161] 〃　日本赤十字社兵庫支部第1救護班・兵庫県明石在郷軍人分会救護班が到着[53] 〃　市街地の埋没死体の発掘がほぼ終了[Ⅱ-161] 9.10　一般官公署内の内灯が復旧,21日より1戸1灯宛,23日までに外灯450余が点灯される[Ⅱ-159] 9.14　小田原―湯本間・小田原―平塚間,自動車通行が復旧[Ⅱ-160] 9.15　小田原方面警備隊司令部,小田原から静岡県への避難民輸送を開始[Ⅱ-160・261] 〃　小田原町,米商組合に委託して玄米・外米の廉売を開始[148] 9.16　(株)小田原魚市場,仮営業所を汽船扱所前に設置し市場を開く[368] 9.17　足柄下郡町村長会,暴利取締りのため労働者の賃率を定める[37] 9.18　日本赤十字社広島支部到着,松原神社と足柄下郡役所で救護活動を開始[53] 9.20　町内に設置された11か所の救護所を閉鎖,施療延人員は8885人にのぼる[Ⅱ-261] 〃　静岡県警から応援巡査21人が小田原警察署に到着[Ⅱ-159] 9.21　熱海軌道組合,鉄道大臣に営業廃止を出願[53,411] 〃　小田原駅前の浴場を軍隊用から町民に開放[Ⅱ-160] 9.22　静岡県庵原郡在郷軍人連合会員が到着,道路復旧にあたる[148] 9.24　山梨戒厳司令官が町内を視察,町に対し配給の不公平・無秩序を訓戒[148] 9.30～11.30　町役場で材木を販売,材木商協同組合販売所も設置される[148] 9.━　国府津方面憲兵分遣所が設置される(～1924年3月,5月建物を小学校に寄付)[390] 〃　小田原方面警備隊司令部,自動車を徴発して大船―小田原間で兵士・婦人を輸送[148] 〃　安田銀行小田原支店(22日),駿河銀行小田原支店(24日)が開店,下旬までに沼津・足柄・小田原通商・曽我・国府津・大磯の各銀行,支払いを制限して開店[Ⅱ-196] 〃　東海道本線が山北駅まで開通する間は,徒歩で箱根を越える人びとが増える[Ⅱ-261] 10.1～28　小田原警察署,文武館を仮庁舎とする[53] 10.15　熱海線国府津―小田原駅間が復旧[53] 10.24　小田原町復興会が設立され(委員40人),小店舗・住宅復興用建築物資材の供給斡旋を開始[Ⅱ-161・162] 10.31　小田原警察署,露店営業者の摘発を開始[53] 10.末　日本赤十字社による施療延人数は1万5000人にのぼる(11月23日引揚げる)[148] 10.━　小田原火災保険金請求同盟会が組織され,保険金支払を総理大臣に請願[Ⅱ-127] 〃　久留米工兵第18大隊第1中隊,酒匂橋架設に派遣される[46] 〃　田島駐在所が設置される[54] 11.1　小田原乳児保護会(代表村山大仙)が創立[111,425] 11.15　熱海線小田原―早川駅間が復旧[通] 11.━　恩賜財団済生会,臨時小田原出張所(箱根口)を開設し,無料治療を開始,12月末には臨時小田原病院(万年2丁目)を設立して入院治療を開始(～1924年6月20日)[35,148] 〃　京浜地方に出稼ぎする者,箱根細工職人から転身する者,関西方面から出稼ぎにくる者など大工職の需要が高まる[148] 12.15　小田原託児所(村山大仙経営)が開所[46,111] 12.19　県,臨時小田原職業紹介所を開設(～1924年11月1日)[通] 12.29　県,巡回助産婦第8班を臨時職業紹介所内に派遣し,乳幼児保護事業を開始[35] この年　桜井村信用購買組合が設立される[179] 〃　鴨宮駅の開業により,下府中・豊川・酒匂・足柄の各村で蔬菜の栽培が盛んとなる[430] 〃　上府中・豊川・下府中村の小作人,震災被害のため小作料5割減額を要求して団結,3割減額で解決,地主側は小作地返還運動を警戒する[Ⅱ-223] 〃　震災を機に不燃化大建築が盛んになり,大企業の元請工事が行われるようになる,11月までに小田原警察署管内で本建築された家屋は647棟となる[Ⅱ-161][58] 〃　震災後食糧欠乏の不安から,小田原・国府津・真鶴駅で貨物の掠奪が行われ,小田原警察署は11月10日までに350件余りの窃盗事件を裁判所へ送致[Ⅱ-261]

1.25　小田原・箱根方面大雪,積雪約33cm[430] 1.31　幸町で火災,小田原電気鉄道(株)ほか11戸を焼失[430] 2.1　足柄村足柄女子青年団が結成される[48] 2.━　島崎藤村,病気静養のため小田原町に滞在[190] 3.31　足柄実科高等女学校,修養年限を3か年に延長[46] 3.━　大窪村女子青年会が発足[47] 4.1　足柄下郡教育会,社団法人足柄下郡教育会に組織変更(～1944年9月30日),足柄下郡図書館を経営[45] 〃　小学校名が変更となる(尋常高等第一小田原小学校が小田原第一尋常高等小学校,各校同様に,尋常高等の前に個有名詞を置く)[59] 4.2　大窪村実業補習学校,大窪尋常高等小学校に付設される[Ⅱ-274] 4.16　小田原中学校5年生と校長が対立,生徒は小峰公園に籠城し同盟休校[57] 5.━　国府津村婦人会が創立[150] 〃　小田原保勝会,平岡吟舟作「新曲小田原新八景」「ここは小田原」の披露会を御幸座で開催[Ⅱ-127] 6.━　北原白秋,詩集『水墨集』を刊行 8.━　足柄下郡教育会,第8回小学校児童天幕講習会を前羽小学校で開催[46] 9.1　修養館を文武館と改称[122] 〃　関東大地震,午前11時58分,マグニチュード7.9(震度6),足柄下郡内死者1772人,郡下の建物の罹災率は99.2%におよぶ,小田原町内建物のほとんどは全潰し,火災により51%が焼失,片浦村では,山津波により米神・根府川地区83戸が埋没,根府川駅停車中の列車が被災し海岸に押し流される,足柄村では小田原紡織(株)のレンガ造りの工場が倒壊し圧死者134人を出す,町立小田原高等女学校,小田原第一・下中・国府津・酒匂・片浦の各小学校が焼失,避難者は町内の各避難所に3日間露宿,以降避難地に仮小屋を建てて居住,10月末日までには居住地にもどる[Ⅱ-261][148,202] 〃　足柄下郡教育会編『足柄下郡史』の原稿が横浜の印刷所で焼失[4] 9.3　小田原・箱根地方に滞在中の皇族,小田原海岸から駆逐艦「夕凪」で帰京[Ⅱ-261] 9.15　暴風雨,酒匂仮橋が流失,堤防決壊被害となる[148,178,299] 9.20　大窪・酒匂・国府津の各尋常高等小学校,野外授業を開始[46] 9.22　小田原第一・第二尋常高等小学校,小田原第三尋常小学校長,教科書・学用品調達のため静岡・名古屋両市を訪問(10月2日静岡市より物品が到着)[46] 9.27　下中尋常高等小学校,5年生以上の授業を再開[46] 9.30　小田原第一尋常高等小学校,野外授業を開始[46] 10.1　小田原第二尋常高等小学校,片浦・桜井・曽我の各小学校,野外授業を開始[46] 10.2　小田原第三尋常小学校,野外授業を開始[46] 10.25　小田原中学校,野外授業を開始[57] 10.━　震災後の人びとの憔悴した顔色は幾分回復したが,服装は被災直後と余り変わらない[148] 11.12　足柄下郡連合青年団・小田原町青年団,罹災者慰安活動写真の集いを開催[46] 11.23　強い余震,10月23～24日頃まで続いていた余震は一時収束するが,11月半ば過ぎから再び活発となる[147] 11.━　小田原第一尋常高等小学校や御用邸濠端付近に約50戸の仮小屋(バラック)生活者が残る[Ⅱ-261] 12.4　小田原中学校,仮設校舎を運動場に設置[57] 12.7　足柄下郡教育会,足柄下郡図書館再建のため郡役所敷地使用を県に出願[47] 12.25～27　恩賜金伝達式を小峰公園で実施[148] 12.29　活動上映の復興館(青物町),娯楽館(代官町)が開館[148] この年　田辺一雄,自然療養社を創立し,月刊『療養生活』を創刊[60] 〃　川崎長太郎,萩原恭次郎・壺井繁治・岡本潤と詩誌『赤と黒』を創刊,後に方向転換して徳田秋声・宇野浩二の門に入り私小説をめざす[115] 〃　震災犠牲者となった著名人,閑院宮寛子は別邸で圧死,辻村伊助一家は箱根湯本の自宅で山津波により埋没死,長谷川豊吉は下曽我村の自宅で圧死[Ⅱ-261] 〃　谷津少年園(更生保護施設),事業を開始[60]

1.19　県会議員選挙区別定数改正を告示(13選挙区40人) 2.2　婦人参政同盟結成 2.11　各地で過激社会運動取締法・労働組合法・小作争議調停法制定反対デモ 2.23　東京で普選即行要求国民大会開催,デモ行進 3.6　県,農会法施行細則を制定 3.8　第1回国際婦人デー 3.30　県,郡制廃止による郡有財産の処分を告示 〃　工場法を改正公布 4.1　郡制廃止 〃　足柄上郡立農林学校を県立農林学校と改称 4.6　産業組合中央金庫法を公布 4.7　県町村長会,地租委譲・農村振興宣言を可決 4.10　瓦斯事業法を公布 4.13　県,養豚奨励規則を制定 4.14　石井・ランシング協定を廃棄 4.28　県,農会補助規程・養蚕組合設置奨励規則を制定 5.1　小田原急行鉄道(株)設立 5.8　小作制度調査会官制を公布 5.9　臨時国語調査会,常用漢字表を発表 5.14　中央購買組合連合会が設立認可 6.5　堺利彦ら検挙(第1次共産党事件) 7.1　県警察部,特別高等課を設置 7.10　市町村義務教育費国庫負担法施行細則を公布 〃　日本航空(株)設立 9.1　関東大地震 〃　知事・警察部長,関西方面へ震災救護を要請 9.2　第2次山本権兵衛内閣成立(蔵相に井上準之助が就任) 〃　非常徴発令・戒厳令中必要の規定適用の件を公布 〃　朝鮮人暴動の流言が広がり,朝鮮人虐殺がはじまる 〃　県,陸軍省に救済出動を要請 9.3　関東戒厳司令部条例を公布 〃　県に戒厳令を適用(～11月19日) 〃　国鉄,避難地までの無賃乗車を許可(～9月30日) 9.4　亀戸事件 9.5　臨時震災救護事務局県支部を設置 9.7　流言浮説取締令・支払猶予令(モラトリアム)・暴利取締令を公布 9.8　海軍,東京―清水間に航路を開き,避難者を無賃輸送 9.16　憲兵大尉甘粕正彦,大杉栄・伊藤野枝らを憲兵隊内で殺害 9.19　帝都復興審議会官制を公布 9.27　日銀震災手形損失補償令を公布 9.━　県復興促進会設立 〃　県下で組織された自警団634 〃　物価,生活必需品・建築材料を中心に高騰(前月比10%) 10.28　東海道本線復旧,開通 11.1　横浜生糸取引所,定期取引を再開 11.3　全国公娼廃止期成同盟会結成 11.10　国民精神作興に関する詔書 11.15　戒厳令適用の勅令廃止公布 11.21　県町村長会,臨時総会,震災復旧に関し県・政府に陳情運動を開始 12.14　東京帝大セツルメント創立総会 12.24　震災善後公債法を公布 12.27　難波大助,摂政宮を狙撃,失敗(虎の門事件)